なおきり
逃げ出して走り続けた。
彼女が着いてきていないのは知っていたが、ずっとずっと走っていた。
そうしないと、自分の感情が抑えられる気がしなかったから。
歩き出すと後悔の悲しみが溢れだしそうで僕らしくないから。
いや、泣いて忘れた方が、僕的には軽いのかもしれない。
でも、忘れられるか?あの子の事を。
帰路をそれて走り続けた。
急に静かになった公園に一人。
ただ立ち尽くすだけで何も出来ない私は、忘れようにも忘れられない姿に浸っていた。
帰りたくなかった。お話していたかった。
いなくなった彼にもう告げられない後悔の言葉が少しずつ溢れてくる。
『ああ、そうだ…もう今は話せないんだ…』
忘れて欲しいと自分から言ったくせに忘れられない。
どうしても蘇る彼の姿に、少しだけ涙を流した。
帰ろう。そう思ってやっと帰路に立った。
その日から、何度もその公園を覗いた。
たまに見かけることもあったが、声をかけたりはしなかった。
なおきり
楽しそうに取り組む姿。
最後に交した忘れるという約束。
忘れられないのは私だけなのだろうか。
周りが秋に染るころ、私たちはもう一度話した。
なおきり
木々が赤く秋になりかけていた頃、僕はもう一度だけ彼女を見つけることが出来た。
本当は毎回のように見つけていたが、タイミングが分からず、話しかけていいのかも分からず躊躇していた。
シオン
恐る恐ると言った感じで振り向いた彼女の第一声はこれだった。
シオン
なおきり
シオン
やっちゃったと言いたげに口元を塞ぐ彼女。
僕の一目惚れはまだ冷めていなかった。
シオン
なおきり
シオン
なおきり
なおきり
シオン
なおきり
シオン
なおきり
大きく息を吸って、伝えるんだ。
なおきり
なおきり
なおきり
なおきり
シオン
シオン
なおきり
なおきり
シオン
なおきり
冗談ですよと言いたげにクスクス笑う彼女。
絶対に戻る。そう誓って約半年後、その県を後にした。
主
なおきり
主
なおきり
主
主
主
主
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おお!