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想い心

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想い心

1 - 想い心

♥

20

2021年01月25日

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私によく笑いかけてくれるの。

すごく素敵な笑顔でね。

私によく話しかけてくれるの。

優しい口調で、標準語に濁された関西弁で。

とっても素敵で好きなの。

でも少し、ほんの少しだけ

何故だか分からないけれど

すっきりしないんだよね。

修也

いやあ、
この海岸も何回来たんやろな!

結衣

修也この海岸大好きだよね笑

修也

海岸て、ええやろ?

修也

目を閉じてみや

修也

静かに波の揺れる音、風が頬をかすめる感覚、海なんやで?って言われてるようなこの磯の匂い

修也

落ち着くんよなぁ

結衣

結衣も好き

結衣

海に来ると、お疲れ様ー!!

結衣

って言われてるような気がして

結衣

ありがとー!!!

結衣

って言いたくなる笑

修也

結衣はほんまおもろいよな笑

修也

でもこの海岸でさらに好きな曲ながすんが最高なんよ

結衣

知ってるって!笑

結衣

毎回修也が変な曲流すじゃん笑

修也

いいツッコミやなあ笑

修也

けど変ちゃうで?笑

結衣

関西人にツッコミするのは怖いです笑

結衣

変でしょ!知らないのばっか!

修也

そうそう

修也

最近ハマってる曲あるのです!

結衣

でた、修也のおかしい標準語笑

結衣

どうせまた変な曲笑

修也

おかしないねん笑

修也

まあまあ笑
その曲やねんけど

修也

ドライフラワーっちゅう名前やねん

ドライフラワー?

修也

結構前に流行った曲やねんけど

修也

知っとる?

結衣

あっ、

結衣

いやううん知らないけど

結衣

どうせ変な曲だから聞きたくないよ〜笑笑

だめ、今は聞けない

修也

今回はまじで変な曲ちゃうねん!

修也

まあまあ聞いてみや、流すで〜

だめ、その曲を聴いたら

結衣

待って!

修也

なんやねん笑

修也

1回きいてみやって!

修也

ほら!

二人しかいない海岸。 波の音を背景に、 ゆっくりと流れ出す しっとりとしたイントロ。

これが止まっていた時間を動き出させた瞬間だった。

修也

な?好きやろ?

修也

イントロからええねん!

結衣

だめ、、

修也

いや嘘やん!笑

修也

見栄はらんでええねんで?

修也

好きなら好きっていいや!

修也

懐かしい感じがするねんな?

修也

結衣は懐かしい曲好きやろ〜!

懐かしい。

結衣

懐かしい、

修也

やろ!?

修也

懐かしいの好きやって知ってんで!

懐かしい、

隼人が。

修也

どら〜いふ〜らわ〜み〜た〜い、じかんがたてば

私に笑いかけるその素敵な笑顔が、

標準語に濁された優しい口調のその関西弁が、

 好きなのにすっきりしなかった。

それは、

あまり笑わない君を、

少し口の悪い標準語を使う君を、

隼人を、

心の奥の方

深く深く奥の方で、

想っていたから。

結衣

ごめん修也、

結衣

私ここにはいれない

修也

え?

修也

どうしたんや、

結衣

私、、いくねごめん!!

ガッ

修也

いったらあかん

修也

何故かはわからん

修也

でも今止めなあかん気がする

修也

違和感はずっと感じてたんや

修也

俺の目を見つめてるんやけど

修也

俺の事を見てくれてへんような

修也

行ったらあかんで結衣

結衣

修也、、

声も顔も不器用なとこも

全部、全部、嫌いじゃないの

ドライフラワーみたい、君との日々も

きっと

きっと

きっと

きっと

色褪せる

波の音が混じりながらも流れる曲に

もう私の想いはとどまれないところまで来てしまっていた。

結衣

修也、、

結衣

ごめん

掴んでくれたその手を 苦しさと共に振り払い

バッ

波の音を背に、 ドライフラワーを背に、 彼のことを背に、

私は駆け出した。

修也

きづいてたんやけどなあ、、

修也

そうやなぁ、、

修也

ふぅ〜!!

修也

俺は主役になれんねんなぁ笑

修也

結衣

修也

俺を振ったなら

修也

幸せになって貰わんと困るで!!

修也

行ってらっしゃい。がんばれ。

咲いたまま色褪せた花が

咲ききらずに色付ききらない幸せの 邪魔をする

思い出の曲は

枯れずに色褪せたドライフラワーに 水をやる

波の音に沈み、潮風に撫でられ

またひとつ

新しいドライフラワーが彼の心に咲く

結衣

不在着信

不在着信

結衣

不在着信

不在着信

お願い隼人、電話に出て

結衣

不在着信

不在着信

隼人、お願い

隼人

もしもし

結衣

隼人!

隼人

なんだよ急に

結衣

隼人いまどこ!

隼人

久しぶりの一言くらいいえよ

隼人

公園

結衣

いつもの公園?

隼人

いつものってお前が来てたの5年前だろ笑

結衣

いくからまってて!

ブチッ

隼人

はぁ?

隼人

なんだよアイツいきなり

タイムリーすぎんだよな

さっき思い出したばっかだっつーの

5年連絡無しで

俺が思い出した日に連絡してくんなよ

まあ悪い思いはしねえけど

隼人

はぁ、

隼人

タイミングわりいのは変わってねえなあ

1人空を見上げる

輝く星を見つめて

深くため息を吐いた。

結衣

隼人!

隼人

ほんとに来たのかよ

結衣

久しぶり、

隼人

おう

隼人

ほんと急だな

結衣

はやとあのね

結衣

やっぱり隼人を忘れられない

結衣

やっぱり隼人のことが好き

隼人

え?

隼人

本気か?

結衣

本気じゃなかったらわざわざ来ない!

隼人

なんで今いきなりそんなこと

結衣

ドライフラワー

結衣

聞いて思い出したの

結衣

全部。

ああ

同じかよ

隼人

はあ、

隼人

俺らってほんと

隼人

運命かもな

結衣

え?

隼人

俺も今日街中できいた

隼人

ドライフラワー

隼人

お前を思い出したんだ

隼人

お前が好きで俺が嫌いな曲

隼人

やっぱり嫌いだったよ

隼人

お前のことを思い出させて悲しくさせる

結衣

え、

結衣

ほんと?

隼人

ああ

隼人

お前との思い出や

隼人

お前の優しさ

隼人

お前の大切さを

隼人

全部忘れてたのに、鮮明に思い出した

結衣

私も、聞いた時に

結衣

全部思い出したの。、

結衣

あの日私が出てったこと

結衣

後悔してて、

結衣

もっとしっかり話し合えばよかった

結衣

もっと優しく伝えればよかった

結衣

あなたにもっとそばにいて欲しかった

結衣

って

隼人

今になってほんと笑

隼人

ばかだなあ俺ら笑

結衣

ほんと

結衣

ばかだよね笑笑

結衣

だからさ、

結衣

もう一度

隼人

ごめん

結衣

え、、

2人だけしかいない公園で 夜風に揺れる木々の声が 静かに響く。

隼人

ごめん

結衣

どうして、

隼人

俺らが別れて5年経った

隼人

お互い大学を卒業して

隼人

就職した。

隼人

お前と別れた1年後

隼人

俺には彼女が出来た。

隼人

お前のことが忘れられなかった俺は

隼人

告白されて、戸惑った

隼人

幸せにする、好きにさせる。

隼人

その言葉に騙されてみようと思った

隼人

いつでも俺の心の奥底の方には得体の知れない違和感があった。

隼人

今日曲を聴いてその正体わかった

隼人

お前だったんだ。

隼人

だからお前から電話が来た時、タイミングがわりぃ、こんな奇跡起こるかよ

隼人

と思った。

スッ

ゆっくりと前に出した左手

薬指には輝きがあった。

隼人

もう、戻れねえんだ。

隼人

新しい命も授かった。

隼人

もう、

隼人

簡単じゃないんだ。

頭が真っ白になった。

全てを話した後に うつむいて唇を噛むあなたを見て

もっとやりきれない気持ちになった

結衣

そっか、、

気づいた時にはもう

涙が溢れ出ていた。

隼人

忘れよう

隼人

明日からまた

隼人

それぞれ別の空を見上げるんだ

隼人

お前の描く未来の中に

隼人

俺が居てはいけない

隼人

お前がその可愛い笑顔を向ける相手が

隼人

俺ではいけない

隼人

今までほんとに

隼人

ありがとな

隼人

大好きだったよ

隼人

じゃあ

ゆっくりと背中を向けて歩き出すあなたの姿を見て

溢れ出て止まらない 悲しさと切なさ達を

一生懸命手で拭った。

立ち去ったあなたの肩が 震えているのが私にはわかった。

夜空を見上げると

君との思い出が

浮かんでは消えた。

水をやっても

元の輝きは取り戻せない

美しく色づく花には戻れない

ドライフラワーは

枯れることもなく

また美しく咲くこともなく

 心の奥底に眠り続ける

道端に枯れる花を 夜風がそっと吹き上げるのと同時に、細かく散らせてどこかへ消えた。

私の想いも ドライフラワーではなく

枯れてどこかへ散ってしまえば楽なのに。

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