オリバー
アルバート
俺はアルバートの前にポトフを置く
碧色の瞳が、ポトフを覗き込む
俺の記憶が正しければ、アルバートの結構好きな料理の筈だ
オリバー
アルバート
オリバー
オリバー
オリバー
アルバート
やっぱり気にしていたんだ
その言葉を俺は喉の奥へと飲み込む
今日は散々色んな事思い出させちゃったから、あまりからかったらダメだよね
アルバート
アルバート
オリバー
アルバート
アルバート
オリバー
アルバート
オリバー
アルバートはいつもお礼はしてくれるいいやつだ
でも、何でかな
今のお礼は、いつもより格段に嬉しかった
というか、初めてお礼されたかの様に感じちゃった
アルバート
オリバー
アルバート
アルバートは軽く息を吐いて応答すると、フランスの家庭料理を無言で口に含んでいく
よっぽど美味しいんだろうな
俺はそう思っておく事にし、自分で作ったポトフを一口食べてみる
フランス人の友人が作ったやつには遠く及ばないけれど、初めて作った時よりは結構マシになったかな
アルバート
アルバートは、ポトフを一滴残さず食べきると手を合わせそう言った
オリバー
アルバート
アルバートは、無意識に左上の方を見ながら考える
人間は過去の事を思い出すときは右上、未来の事を考える時は左上を見るって言われているからそれもあるんだろう
やがてアルバートは、こちらを向き俺の提案を断ると、ソファの方へ移動した
オリバー
アルバート
アルバートはソファの前に行き、うまく体重を前にかけてソファに乗り、腕の力だけで向きを変えた
アルバート
オリバー
俺は半分くらいになったポトフを口に入れ、そう答えた
アルバートの好きなラジオのチャンネルのドラマが聞こえてくる
アルバート
オリバー
俺はラジオ越しに聞こえる叫び声を横に、オリバーに話しかけた
アルバート
オリバー
予想通り、オリバーは目を輝かせる
ここ三年くらい考えていた事が、もしかしたら正解なのかもしれない
アルバート
オリバー
アルバート
オリバー
ああ……俺は残酷だ
オリバーに期待させている
でも、俺にはこう言うしかできない
そんなに、優れた人間じゃねーからな
オリバー
オリバー
もしかしたら、俺の気持ちに気付いてくれたのかもしれない
そうだったら、どれ程幸せだろうか
三年間、ケイティに失礼なくらいに嫉妬していた
それでも、ケイティを失ったアルバートの為にも、死んだケイティの為にも
絶対にその思いは顔にも口にも出さないと決めていた
この想いがやっと届くのか、また別の話なのかは分からないけれど
ワクワクするのは変わりない
オリバー
アルバート
オリバー
リビングからの声に応答した俺は、この何とも言えない気持ちをぶつけるかの様に
石鹸をつけたスポンジで、スープカップを擦り続けた
夜、俺はアルバートと寝室に行くタイミングで、話を聞く事になった
今は、アルバートを抱えて、ベッドに寝かせているところ
オリバー
ベッドから離れようとする俺にアルバートは
アルバート
オリバー
本当に俺の心臓は今バクバクしている
本当に、俺の願いは叶うのか!
アルバート
アルバート
アルバート
オリバー
オリバー
これはチャンスだ
神はまだ、俺を見捨ててはいなかったんだ!
アルバート
オリバー
オリバー
オリバー
オリバー
アルバート
オリバー
オリバー
俺ははらわたが煮えくりかえりそうになった
俺の気持ちを知って、こいつは…
何も知らないという顔をしていたのか!
きっとこんな事をするのは間違っている
それでも、それでも!
俺は許す事が出来なかった
アルバート
オリバー
ああ、これが俺の本性か
足が不随になっている人間の胸ぐらを掴んで、罵倒する
なんて情けない
アルバート
アルバート
アルバート
オリバー
思いっきり顔面に頭突きを食らって、思わず数歩後ずさる
アルバート
アルバート
オリバー
あまりの剣幕に、思わず返事をしてしまう
ふつうに軍の上官よりも怖かったとか言ったら後で怒られそうだけど
アルバート
アルバート
アルバート
オリバー
あれ?なんでだろ
さっきは、はらわたが本当に煮えくりかえりそうだったのに
いざ事実を突きつけられても、大して怒りは湧いてこない
こうなることは、分かっていたからだろうか
アルバート
アルバート
オリバー
アルバート
アルバート
アルバート
アルバート
アルバートは、掛け布団に顔を埋める
うう…ううと嗚咽を圧し殺す声が聞こえてくる
あーあ、気付かれていないと思ってたのになぁ
俺はそんなに演技が下手かと、少し残念に思った
でも、今は俺の事なんかよりも
オリバー
アルバート
フルネームを呼ばれたからか、アルバートは驚いて顔を上げた
少し目が腫れている
オリバー
オリバー
オリバー
アルバート
オリバー
あれ?どうしてこんなに簡単に諦められちゃうのかな
あれほど執着していたのに
それほどケイティとアルバートがお似合いだったのだろうか
俺は好きなやつとその彼女がお似合いだからって、簡単に諦められる様な男か?
ケイティ
アルバート
ケイティ
ケイティ
アルバート
ケイティ
アルバート
ケイティ
アルバート
ケイティ
ケイティ
ケイティ
ケイティ
ケイティ
アルバート
ケイティ
ケイティ
ケイティ
アルバート
ケイティ
アルバート
アルバート
ケイティ
いいや、あの二人は本気で愛し合っていた
似合う似合わないって話じゃない
あれほど心の底から繋がりあっている恋人同士はなかなかいない
きっとケイティは、死してなお
アルバートと繋がっている
アルバートがケイティを忘れないのはそのお陰だ
もう俺には、二人の中に入る余地はない
いや、最初から
なかった
オリバー
あれ?目頭が熱い
そうか…そうか
また俺
オリバー
アルバート
オリバー
オリバー
ケイティ
オリバー
ケイティの澄んだ声が、俺の脳内でこだまする
ケイティ
オリバー
おかしくなってしまう程に
アルバート
あ、お前今…叫んだでしょ
ごめん、今は涙で前が見えなくて
でも、倒れてる…気がするなあ
翌朝
アルバート
アルバート
アルバート
なんかアルバートの声がする
昨日あのまま、発狂して疲れて寝ちゃったんだ
もうケイティの声はしない
大丈夫、俺は再び笑える
オリバー
アルバート
オリバー
アルバート
アルバートが慌てて口を押さえる
それが少し面白くって、俺は笑って
オリバー
オリバー
アルバート
アルバート
オリバー
アルバート
オリバー
そこまで話したところで、俺たちは床に寝転んでいるのに気づいた
俺はともかく、アルバートはどうやって下に?
オリバー
アルバート
アルバート
アルバート
オリバー
アルバート
ったく、こいつは
オリバー
俺たちの日常は変わらない
でも、何となく互いに吹っ切れた
アルバートは永遠の愛を守り続け
俺は永遠に愛を見つめる傍観者とし在り続ける
アルバート
オリバー
アルバート
オリバー
アルバート
オリバー
大丈夫、俺はこれからも笑っていける
ケイティ・マイラス
俺はいつまでもお前達を愛してる
勿論likeの方でね!
コメント
6件
うわあ…すごい(´;ω;`)( オリバーは失恋してしまってけれども… アルバートとケイティのことを…(´;ω;`) テキストや壁紙の使い方がすごく良かったです! 参加ありがとうございました(´;ω;`)(((
d(^q^).。o(尊い)