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ヤヨイ
ナカト…私……怖い…
ナカト
どうしたんだ？
ヤヨイ
今、家に一人なんだけど
ヤヨイ
さっきからずっと
ヤヨイ
2階から物音がするの……
ヤヨイ
すごく怖いの……
ナカト
泥棒とか？
ヤヨイ
分からない……
ナカト
俺、今からそっち行くわ。
ヤヨイ
うん…
ヤヨイ
なるべく早く来てね……
ナカト
あぁ。
五分後
ナカト
来たぞー
ヤヨイ
ナカト…？
ナカト
大丈夫かー？
ヤヨイ
こっち来て!
ナカト
分かった。
ナカト
大丈夫か?
ナカト
ヤヨイ。
ヤヨイ
ごめんね。ナカト。
ヤヨイ
急に頼んじゃって。
ナカト
それはいいけど……
ナカト
2階の物音、何なんだ？
ヤヨイ
それがね、ナカトが来た瞬間
ヤヨイ
聞こえなくなったの。
ナカト
やっぱり泥棒じゃないか？
ナカト
俺、見てくる。
ヤヨイ
気をつけてね……
三分後
ナカト
ヤヨイ……
ヤヨイ
どうだった?
ナカト
誰かがお前の部屋をあさってる。
ヤヨイ
え……
ナカト
と、思う。
ヤヨイ
えぇ？
ナカト
お前の部屋が散らかってた。
ヤヨイ
私、この前掃除したばっかりだよ？
ヤヨイ
なんか、おかしいよ……
ヤヨイ
通報しよう。
ナカト
いや、それは辞めといたほうがいい。
ヤヨイ
なんで？
ナカト
お前、物忘れが激しいだろ？
ナカト
自分が散らかして、
ナカト
忘れてたとなると
ナカト
迷惑かかるだろ？
ヤヨイ
それもそうだね。
ナカト
今はおとなしくしてるほうがいい。
ヤヨイ
うん…
一時間後
ナカト
音も鳴り止んだし、
ナカト
俺、帰るわ。
ヤヨイ
うん。
ヤヨイ
ありがとね。
ナカト
また何かあったら呼べよ。
ヤヨイ
うん。
ナカト
じゃあ。
ヤヨイ
バイバイ。
五分後
ガタンッ!
ヤヨイ
！？
ヤヨイ
また、物音…
ヤヨイ
なんなのよ……
ヤヨイ
ナカトを呼ぶにしても
ヤヨイ
迷惑かかるし……
ヤヨイ
自分で行ってみよう。
2階
誰？そこにいるのは。
すごく怖い……
でも…行かなきゃ!
ヤヨイ
誰！？
そこにいたのは……
ヤヨイ
嘘でしょ……
ヤヨイ
どうして……
ヤヨイ
どうして、
ヤヨイ
ナカトがいるの？！
そこにいたのは、ナカトだった。
ナカト
ヤヨイ……
ヤヨイ
何してるの…？
ナカト
バレちゃったか……
ヤヨイ
どうして!
ナカト
分かんないのかよ！
ナカト
俺が家に来た瞬間
ナカト
音が消えた、
ナカト
俺が帰ったらまた音が鳴り出す、
ナカト
普通、俺だって気付くだろ！
ヤヨイ
酷いよ…ナカト……
ヤヨイ
騙すなんて……
ナカト
気付かないお前が悪い。
ヤヨイ
するアンタも悪いでしょ！
ナカト
うるせぇ!!
ナカト
あとちょっとだったのに……
ナカト
お前を殺して、楽しい人生になるはずだったのに……
ヤヨイ
殺すですって！？
ヤヨイ
頭おかしいんじゃないの！？
ナカト
黙れ！
ナカト
もういいだろ……
ナカト
やめてくれよ……
ヤヨイ
通報する…
ナカト
…………
ヤヨイ
あ、もしもし警察ですか?
これでいいんだ。
今まで楽しかった。
ありがとう、ヤヨイ。
さよなら、俺。
警察
高口ナカトの死刑を執行する！
ガタンッ!
ナカトは、死刑に処された。
大量殺人を犯していたから。
あの時のことは今も忘れない。
ナカトが警察に連行されている時
ナカトの横顔が
笑っているような気がした。
やめてくれよ…
あの言葉にどんな意味が込められて いたのか。
知る由もなく、ナカトの物語は 幕を閉じた。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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