中にはこちらからは後ろ姿しか見えないが、明らかにブチギレているグルちゃんと、対してこちらは大先生の座席に座り、正面からしっかりと姿が見える、心愛がいた。
グルッペン
聞いているのか…貴様!!

心愛
聞いてませぇ〜んwww。それより、この椅子タバコ臭ぁい

心愛が今にも殴りたくなってくるアヒル口をしながら、カチ…カチ…と大先生のパソコンをいじっていた。そして、唐突に不敵な笑みを浮かべたと思うと、ようやくグルちゃんの方に目を向けた
心愛
で、話ってなんですかぁ?

グルッペン
テメー、分かってんだろ??言いたいことは…。俺が言いたいことは、2つ

グルッペン
まずは、1つ目だ。これは、質問だ。俺の部下たち…大切な仲間たちに何をした…?

心愛
何って、まさかまだ分かんないの笑。それでも、一国の総統様かな??だから、幹部達もザルなんだよぉ❤

グルッペン
貴様、質問に答えろ。あと、俺のことは何とでも言っていい。仲間のことを次悪く言ったら潰す

心愛
キャ~キャ~、格好いい!悪く言うなって、今その仲間たち(笑)に苦しめられてるのに…www

グルッペン
ボカッ!!

夜宵
ッ!?

心愛
ゲホッゲホッ!ビ、ヒド〜イ!女に手をあげた

グルッペン
貴様は女でも、人間でもない!まともに血が通ってるやつが、あんなこと出来るはずがない!貴様は一体なにが目的なんだ…?

心愛
フフ……。目的ってのが2つ目の質問なの…?

グルッペン
違うし、言っといてなんだが、実際の所興味もない。気のふれたヤツのいうことなんて、聞いたって理解できる訳ないゾ

心愛
そ。つまんないヤツね。まぁ…いいわ。最初の質問は……ええと…アナタの間抜けどもに何をしたかでしたっけ…?

グルッペン
テメー、まだ言うか💢

心愛
………いいの?手をあげて?総統さん。聞きたいこと、聞けなくなったゃうかもよぉ??

グルッペン
グッ…。さっさと話せ

心愛
合点承知❤て言っても、私も手の内明かすようなもんだから、そこまで喋らないけどねぇ

心愛
私の能力は洗脳みたいなもんよ。い〜い?理解?

夜宵
!!(じゃあ、やっぱり皆がああなったのはこの女のせい…!てことは、元に戻す可能性もあるってこと…?)

心愛
そして私の能力は半永久的。どんなに名実で、実力のある人間でも操れるし、解除できるのも私だけ。最高難度の洗脳は一人にしかできないけど…それこそ、他の誰にも解けないわ❤

グルッペン
つくづく貴様は掴みどころのないやつだゾ。手の内明かしたら〜とか言いつつ、言っとるやないか…。だったら、こっちも行動に出ることもできるのだゾ?少し、考えが足らんのではないか??

心愛
考えが足らないのはアナタの方よ。総統さん。別にいいのよ?それを皆に言っても。実際洗脳してるから、聞く耳を持たないでしょうし、何ならどなたかに総統さんを殺すように仕向けてあげましょうか?キャハハ❤

夜宵
(この女の言うことを信じるなら不可能ってこと…?でも、まだ分からない!今度、街の大図書館で洗脳系の能力について調べてみよう)

グルッペン
このクズがっ!!いつか絶対に我々に手を出したこと、公開させてやる!その余裕もいつまでもつか見ものだな

心愛
人の心配するならご自身の心配ど〜ぞぉ

グルッペン
チッ。2つ目。何故…何故夜宵なのだ?夜宵は、入りたてのお前に一番優しかったじゃないか

心愛
それは簡単。計画の邪魔だからよ

夜宵
(たった、それだけの理由で…?私はこんな目に…)

グルッペン
テ、テメー。そんだけの理由で…!!

そう言うとグルちゃんは懐から何かを取り出すと、心愛に向かって投げつけた
心愛
シュッ。危ないわね!!一体何を投げたのっ!?

パリーーン
惜しくも心愛に避けられたそれは、後ろの窓を突き破り、外に飛んでいった。
だが、さっきまでおかしなぐらい余裕綽々だった心愛の不意はついたようだ。一瞬、かなり取り乱しているようだった
グルッペン
チッ。外したか…。まあいい。それよりも……

グルッペン
計画…?その計画とは、なんだ…?

心愛
ハァ……。そこまで答える義理はないわ。それより、アナタも自分の身を心配したら?私が何故こんなに話したか、ノコノコついてきたか。分かんないのかしら…?

夜宵
!!(ま、まさか!)

そう気づいたのには、あまりにも遅すぎました…。心愛は、グルちゃんに瞬時に近づき、彼の顔に手をあて、無理矢理自身の顔へと近づけた
グルッペン
なっ!?

心愛
い〜い?グルッペン。世界の中心は私なの!何も考えず、私に堕ちていきなさぁい…❤

夜宵
ダ、ダメ!

最後まで黙って見続けるつもりだったのに…。これ以上大切な仲間を失う訳にもいかず、そう私が声をあげたとき……
グルッペン
……………けろ。

心愛
ん?

グルッペン
この薄汚い手をどけろって言ったんだっ!!ドンッ

心愛
キャッ

夜宵
へ?

私は目の前で起こったことが理解できず、間の抜けた声を漏らした
グルッペン
ん?夜宵。いつからいたんだゾ?

夜宵
………最初からだよ

グルッペン
ニヤァ

グルッペン
なら、話は早いゾ。俺は、こんなちんけな洗脳なんかにかからない!!いつでも、夜宵の味方だっ!!

夜宵
ほ…本当に?

グルッペン
何を今更言ってるんだゾ。これまでも、そうだっただろう?

夜宵
……………

夜宵
うん!ありがとう(*´ω`*)

グルッペン
グフッ( ´ཫ` )

夜宵
え!?大丈夫!?

グルッペン
…おう。これは幸せが溢れすぎたときの、副作用だから。必要経費だから…

夜宵
……………???

グルッペン
ま、まぁとにかく

グルッペン
おいクソ女。テメーの能力は俺にはきかんようやな

心愛
フ…フフフ……なんか、勝ったきになってない…?アンタら。ソイツに私の能力画効かなかったからといって、現状は何もいい方に進んでないのよ…!!

心愛
目先の勝利に喜んで、次に目を向けないなんて…ホント無能よ。アンタら

夜宵
負けは認めるのね………

夜宵
(でも、実際にそう。何も変わってない。でも、こっからグルちゃんと一緒に頑張っていけば、もしかしたら…!)

夜宵
ねぇグルちゃ…!!

その時、話しかけようとしたときに見たグルちゃんの顔……いや、あの目は一生忘れらない。心愛が出て行ったドアを、冷たく、忌々しそうに、どんな光も通さない虚ろな目で凝視していた…
恐らく、静かに怒りで燃えているのだろうが…私にはそれが不気味に思えてならなかった…