亥水晴翔
『メトが好きだよ』
幼い頃から晴翔はそう言ってくれた
蕪木メト
(嬉しくて時には俺も言ってみたっけ)
蕪木メト
『晴翔お兄ちゃん、僕も好きだよ』
でも、晴翔は体を硬直させただけで…その顔は…笑っていなかった
蕪木メト
(あれ?そういえば、あの時晴翔は何て言っていたっけ?)
亥水晴翔
『ーーー』
蕪木メト
(泣きそうな顔で何かを言っていた様な…)
部屋中に甲高い機械音が鳴り響いた
蕪木メト
…朝か…
デジタル時計を止め、時間を確認する
蕪木メト
午前、七時
蕪木メト
(早く起きないと…もうすぐ晴翔が来る)
蕪木メト
(体が重い)
蕪木メト
(入学式初日から遅刻とか嫌だし、早く起きよう)
起き上がり、ズボンを履きベルトを締め、ブラウスの袖に腕を通す
蕪木メト
(あれ?)
蕪木メト
(ネクタイがない?)
亥水晴翔
おはよう、メト
蕪木メト
晴翔⁉︎何で部屋にいるの!?
亥水晴翔
えっさ、メトのお母さんに通してもらったから?
蕪木メト
お母さん…
亥水晴翔
メト、今日は入学式式だね
亥水晴翔
頑張って
蕪木メト
う、うん
亥水晴翔
そういえば…メト、探し物ってこれ?
蕪木メト
何で晴翔が俺のネクタイ持ってんの?
亥水晴翔
そんなこと、どうでもいいでしょ?
蕪木メト
……
亥水晴翔
そうだ、メト
亥水晴翔
今日は俺がネクタイ、結んであげる
蕪木メト
い、いらない!!自分でするから!!
亥水晴翔
でも、メト、ネクタイ結ぶの下手だもん
亥水晴翔
入学初日からいいの?ゆるゆるのネクタイで
蕪木メト
う、そ、それは
蕪木メト
わ、わかっ、た
蕪木メト
お願い、します
亥水晴翔
うん、じゃあやるから今度から出来るように覚えてね
蕪木メト
分かった
晴翔が近寄り、俺の首元に手が触れる
蕪木メト
(近い!!)
蕪木メト
(はずかしい…)
亥水晴翔
…で、ここをこうして…
蕪木メト
(そういえば、あんまり考えたこと無かったけど晴翔、優等生なんだよな)
亥水晴翔
よし、できたよ
亥水晴翔
覚えれそう?
蕪木メト
え、あ、うん!!
蕪木メト
(やば、聞いて無かった!!)
亥水晴翔
そっか。良かったよ
亥水晴翔
じゃあ、朝ご飯食べて行こっか
蕪木メト
う、うん
蕪木メト
(後からもう一回聞こう)
朝ご飯を食べ学校へと向かった