ひろし
地下鉄の通るゴォッ、という低い音が、通路の中にまで響いて聞こえる
ひろし
俺はひろし。25歳、見習い建築デザイナー。
ひろし
薄暗いその中を案内板の通りに進みながら、思わずぶるりとみぶるいをした。
ひろし
「クッソ・・・・・・迷路みたいだな。遠すぎないか?」
ひろし
学生時代の友人の結婚式のために、初めて降りた駅だった。
ひろし
最終電車を残すのみとなったこの時間
ひろし
見たところオレ以外誰も居ない。
ひろし
乗客どころか駅員の姿も見えないのは、職務怠慢なんじゃないのか?
ひろし
目的の場所を聞きたいのに聞けなくて、なんだかイライラしてきてしまう。
ひろし
「いったい、この国はどうなってるんだ?経済ばっかりでかくなっても、こうゆうところがダメなんだよ!おもてなしの精神はどこだ!」
ひろし
なんのへんてつもない直線通路の真ん中に、「トイレ」と書かれた薄い表示を見つけて、オレはつい走り出しそうになった。
ひろし
そう、つまり。
ひろし
オレは
ひろし
今
ひろし
・・・