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睡蘭
夜境
夜境は緊張しつつも、しっかり言えているし静かに動けていて安心した。
???
睡蘭
怖そうな星の子だと思ってしまう。でもなるべく動じずに、穏やかなトーンのまま答える。 大丈夫。同じような星の子を何回も案内したことがある私ならきっと、大丈夫.....。
???
睡蘭
隙を見せないように即答した。 こんな星の子は久しぶりだ。ランタンを持つ手が震えそうになる。必死に手に力を入れた。
???
睡蘭
???
睡蘭
めちゃくちゃに?こんな暗闇で、できるの? 不安が心の中で渦を巻き、黒く染めていく。 夜境は困惑して何も言えていない。それはそうだろう、私だって、本当はこんな星の子とは会話もしたくない。
???
睡蘭
先代の星の子たちが辛い思いをして守ってきたこの空間が、要らないわけがない。 それにこの空間は、空の王国の秩序と理を守っている。 会って早々この空間の案内人である私になぜそんなことが言えるのか。 感情が入り交じって言葉にできずにいると、突然夜境が声を出した。
夜境
???
夜境の言葉を遮り、星の子が放った言葉は想像通りの酷さだった。 一瞬で怒りが込み上げてきて、つい言ってしまった。
睡蘭
こんなに怒ったのは久しぶりだった。言ってすぐに、やらかしてしまったことに気がついた。 感情的になりすぎた。ここでは、 ......ここじゃなくても、こんなに失礼なことを言ってはいけないのに。
???
星の子が私を見た。いや、睨んだ。 頭に被っている黒い笠の陰から、鋭く光る目が見える。 一瞬だけ闇の生物の気配が私を包み込み、その目に釘付けになる。その一瞬で闇の気配が恐怖に変わり、全身に寒気が走る。 すると、急に星の子は笑顔を見せた。
???
睡蘭
その星の子が勢いよく私の腕を掴んだと思った瞬間、腕に感じたことのない気味の悪い感触が伝わってきた。
睡蘭
自分の腕を見ると、なにかが謎の星の子の手から伝わってきたかのように赤黒く染まっていっていた。
???
星の子はまだ私を見つめ続けている。 恐怖に飲み込まれそうになる。 駄目だ......。地面が歪んでいくのを感じる。 一体どうやってこの狭間に影響を.....?
┈┈┈┈┈┈┈✧┈┈┈┈┈┈┈ 目の前で睡蘭が、狭間が危機に晒されているのだというのに僕は2人を前に呆然と立つことしかできないのだろうか。 それは違う。睡蘭にたくさん助けてもらった恩が、睡蘭への気持ちが、まだここにある。 不安定な地面の上、足の感覚に集中しながら一歩進む。 勇気を振り絞り見知らぬ星の子の腕に手を伸ばした──と同時に、見知らぬ星の子は睡蘭から手を離した。 睡蘭の腕から赤黒いなにかがすっと消える。 睡蘭の腕は何事も無かったかのように綺麗ですらりと細い。
???
夜境
なぜか悔しそうな星の子を睨みつけながら言った。
???
睡蘭
睡蘭も分からないらしく困惑している。 今はとにかく、早く危険な星の子をどうにかしたい。 混乱と焦りでどうにかなりそうな頭を必死に回転させる。
???
星の子は急に僕たちに背を向け歩き出した。 睡蘭の案内もなしに一体どこに向かうのだろうか。
???
???
夜境
必死に回転させていた頭が、見知らぬ星の子に言われた言葉によって一瞬で真っ白になる。 生前のことが、記憶の中にすこし蘇ってきた。 聖光守護組織にいたこと。コードネーム*Yとして活動していたこと。 なぜ見知らぬ星の子がこのことを知っているのか解らなくて怖くなった。
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