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韋駄天走り
冬奈
はぁはぁと自分の口から吐息が吐き出される
それでも前を向いて走る
陸上の「希望の星」なのだから
碧
冬奈
碧
冬奈
碧
碧
冬奈
碧
冬奈
碧
嬉しくなかった 希望の星だからなんだと言うのか。
ただ私は走っているだけでいい
称えられたい訳じゃないから
そう思っていた
けれど一応責任感は感じていた
冬奈
それが私の口癖だった
しかし私は気づいたら病室にいた
冬奈
冬奈
碧
碧
私の名前を呼ぶ碧
冬奈
碧
冬奈
碧
私の足は一瞬ズキッとして
見てみると針で縫われた後が沢山あった
冬奈
碧
冬奈
碧
碧
その言葉を聞いた瞬間
これが夢なのか現実なのか分からなかった
石の上にたまたま咲いた一輪の花が波に攫われたような、そんな気がした
冬奈
碧
海に攫われた花は陸に上がる事はもう無いだろう。
海の中でただひたすらに沈み行くだけだろう。
冬奈
碧
一旦落ち着くために私は1人になりたかった
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
師匠と言っても憧れていた人だ
何を教えてくれることも無く静かに
消えて行った人
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
そう、憧れていたその人はいつも
海を泳ぐ魚のようにすらすらと地面を蹴って走っていた
冬奈
けれど私は諦めることを知らない
退院したその日から私は散歩をするようになった
いつも決まって海辺に来る
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
そして私はそれから1人でリハビリをした
冬奈
冬奈
私は師匠に近づくためと ただ走りたいという欲の為にリハビリをした
そしてまた数ヶ月
新しく入部してきた1年がいた
翠
その人は翠(みどり)と言った
翠
冬奈
翠
私の前に顔を赤らめてそういう後輩
翠
冬奈
ほんの少し躊躇したが答えはあっという間に決まった
冬奈
碧
皆が止める、でも私はもう一度走りたい
翠
こんなまっすぐ私を見てくれていて 走りませんか?と聞かれれば
走らないという選択肢は私には無かった
そしてピストルの音がグランドに響く
ドンッ!!
翠
冬奈
とてつもなく痛い足を精一杯力を入れて走る
そしてゴールするも
14秒と言う結果
冬奈
翠
翠
碧
碧
冬奈
冬奈
冬奈
翠
冬奈
碧
翠
碧
冬奈
翠
翠
翠
そう言われて私の中にあった何かがプツンと切れた
冬奈
冬奈
冬奈
翠
冬奈
翠
翠
翠
翠
少し諦めかけていた私の心は再び
強く燃えるようにメラメラと ゆらゆらと揺れていた
それから試合当日
私はリハビリをして何とか少しだけ走れるようになった
翠
翠
冬奈
そして翠はゴールまで走り終わった
タイムは10秒23
冬奈
それでも優勝は無理な数字
だけど私は諦めない
冬奈
私の番が来て思いっきり全力で走る
走る走る走る
そしてゴール
1位は 冬奈選手!!!
私は走り終わった
冬奈
ここでやっと師匠の言葉が分かった気がした
「走って入ればいつかはゴールに辿り着く、それは定められし運命なんだ」
「けれど歩いていればそのゴールを見失う」
この言葉はきっとこういう事なのだろう
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
冬奈
私はとてもスッキリしたんだ。 言葉の意味も分かって優勝もできたのだから。