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一滴の水滴は小さな花からすれば大きな塊だ

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一滴の水滴は小さな花からすれば大きな塊だ

1 - 一滴の水滴は小さな花からすれば大きな塊だ

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2021年01月17日

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韋駄天走り

冬奈

もう一周…

はぁはぁと自分の口から吐息が吐き出される

それでも前を向いて走る

陸上の「希望の星」なのだから

冬奈ー!

冬奈

ん?

新記録だって!お前すげぇな!

冬奈

何秒?

9秒63!

世界大会優勝できるんじゃね?

冬奈

まだ無理よ

でも100メートルでこれは凄いぞ?

冬奈

…………

さっすが希望の星だな!

嬉しくなかった 希望の星だからなんだと言うのか。

ただ私は走っているだけでいい

称えられたい訳じゃないから

そう思っていた

けれど一応責任感は感じていた

冬奈

(リーダーだから)

それが私の口癖だった

しかし私は気づいたら病室にいた

冬奈

………

冬奈

ここ…は

ふ、ふゆ、な…

冬奈!

私の名前を呼ぶ碧

冬奈

ここ…は

俺と下校してる途中お前…事故にあって…

冬奈

え…

それで…

私の足は一瞬ズキッとして

見てみると針で縫われた後が沢山あった

冬奈

何…これ

冬奈、聞いてくれ

冬奈

ん?

お前の足、後遺症で

もう走れないって…

その言葉を聞いた瞬間

これが夢なのか現実なのか分からなかった

石の上にたまたま咲いた一輪の花が波に攫われたような、そんな気がした

冬奈

嘘…

すまん、あの時俺が、助けていれば

海に攫われた花は陸に上がる事はもう無いだろう。

海の中でただひたすらに沈み行くだけだろう。

冬奈

ごめん、1人にして

分かった。

一旦落ち着くために私は1人になりたかった

冬奈

走っていればいつかはゴールに辿り着く

冬奈

それは定められし運命なんだ

冬奈

けれど歩いていればそのゴールを見失う、と

冬奈

師匠が言っていた

師匠と言っても憧れていた人だ

何を教えてくれることも無く静かに

消えて行った人

冬奈

私はまだこの言葉の意味は分からない

冬奈

歩いていても

冬奈

必ずゴールにたどり着ける

冬奈

ただの競走なのだから

冬奈

答えを教えてもらう前に消えて行った

冬奈

その答えを知りたいがために陸上に入ったというのに…

そう、憧れていたその人はいつも

海を泳ぐ魚のようにすらすらと地面を蹴って走っていた

冬奈

もう、走れないなんて…

けれど私は諦めることを知らない

退院したその日から私は散歩をするようになった

いつも決まって海辺に来る

冬奈

海に映る空は

冬奈

空へ飛び立てない私達のために移してくれているのかな

冬奈

少しでも

冬奈

ほんの少しでも

冬奈

取りになれるようにと

そして私はそれから1人でリハビリをした

冬奈

痛いけど頑張らないと

冬奈

また走らないと…ダメなんだ

私は師匠に近づくためと ただ走りたいという欲の為にリハビリをした

そしてまた数ヶ月

新しく入部してきた1年がいた

よろしくお願いします!

その人は翠(みどり)と言った

先輩!!

冬奈

ん?

俺、先輩に憧れてきました!

私の前に顔を赤らめてそういう後輩

俺と一緒に走ってくれませんか?

冬奈

……

ほんの少し躊躇したが答えはあっという間に決まった

冬奈

いいよ、走ろ

え、ちょ!

皆が止める、でも私はもう一度走りたい

あざっす!

こんなまっすぐ私を見てくれていて 走りませんか?と聞かれれば

走らないという選択肢は私には無かった

そしてピストルの音がグランドに響く

ドンッ!!

はぁはぁ

冬奈

はぁ…はぁ

とてつもなく痛い足を精一杯力を入れて走る

そしてゴールするも

14秒と言う結果

冬奈

嘘……

え…先輩

前はもっと、速かった…はず…

そ、それでも速いよ!

男子の平均タイムが出たんだぜ?

冬奈

それも中学生男子、1年でしょ?

冬奈

私は高校3年

冬奈

それに、前まではもっと…

事故かなんかで…

冬奈

うん、そう

謝れ、翠

嫌っす

は?なんで!?お前が悪いだ

冬奈

いいの、碧

怪我しててもそんなの関係ないっす

1度走ると決めたのなら

走るのが希望の星なんじゃないんすか?

そう言われて私の中にあった何かがプツンと切れた

冬奈

怪我してるんだよ?もう走れないって言われたんだよ!?

冬奈

希望の星だから何!?

冬奈

それでも私、走ったんだよ!?

俺は今走れなんて言ってないです

冬奈

え?

今走れなくとも

一緒にリハビリして

あと5ヶ月後の試合に

一緒に出ましょう!

少し諦めかけていた私の心は再び

強く燃えるようにメラメラと ゆらゆらと揺れていた

それから試合当日

私はリハビリをして何とか少しだけ走れるようになった

先俺っすね

俺も頑張ります!

冬奈

うん!頑張れ!

そして翠はゴールまで走り終わった

タイムは10秒23

冬奈

早い…

それでも優勝は無理な数字

だけど私は諦めない

冬奈

はぁはぁ

私の番が来て思いっきり全力で走る

走る走る走る

そしてゴール

1位は 冬奈選手!!!

私は走り終わった

冬奈

走れた……

ここでやっと師匠の言葉が分かった気がした

「走って入ればいつかはゴールに辿り着く、それは定められし運命なんだ」

「けれど歩いていればそのゴールを見失う」

この言葉はきっとこういう事なのだろう

冬奈

走らなければ一位になれる者もなれない

冬奈

そして歩いていたら

冬奈

同じステージになっている選手に追い抜かれる

冬奈

そう言いたかったんでしょ?師匠

冬奈

その為にはまた精一杯努力して

冬奈

1位になる

冬奈

私はこれからもリハビリを頑張ってもっともっと走ります、師匠

私はとてもスッキリしたんだ。 言葉の意味も分かって優勝もできたのだから。

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