古びた懐中時計

お客さん、お待ちしておりました。
お客さんは古びた懐中時計をお持ちですね？流石にお目が高い、その古びた懐中時計は別名、龍の巣と云われております。
お客さんの先先代も先代も私のよきパートナーでお客様でございます。
お客さんにはこれから、私の館にある、秘密地下城で、その古びた懐中時計の食事となる、鬼を捕獲する、
試練を与えます。
もしも、試練に合格すれば、お客さんは龍の恩恵を受け、さらにお客さんの御子孫をお約束して、そして、さらにお客さんに生まれてくる子に
古びた懐中時計、龍の巣を与えてよい、資格を与えます。
悪い話ではないでしょう。

なーに、私は何処にでもいる
普通の老人。
さっきも言ったようにお客さんの
ご先祖様が私から古びた懐中時計、
別名、龍の巣をお買い上げされたのですよ。
何故ならお客さんのご先祖様は子宝に恵まれなかった。
もちろん、女にも疎いお人だった、
単純なことですよ。

いやー、しかし、因果は巡るもの。
お客さん、今は分からぬとも後で
分かることがありますので、もしも、試練を受けたいならもう一度、この場所に来年の3月3日にこの場所で
お待ちしてますのでよろしくお願いします。
尚、試練に関しては死を覚悟のつもりで来て下さい。
なーに、いきなり試練を与えません、試練を受ける前に訓練を与えます、まあ、修行のようなものです。

それでは、また会いましょう。
謎の老人は煙のようになって消えた。

起きてください。
あなたには、事情聴取をさせて
頂きます。
さあ、来て下さい。

あなたは彼女とどんな関係でしたか？

何故、あの場所に居たのですか？

分かりました、質問は手短くします、あなたは彼女を殺したんですか？

分かりました、証拠不十分であなたを解放します。
しばらくは外出を避けて下さい。

お客さん、分かりましたか？
納得いただけたなら、こちらも
いい商売になりますからね。

いやー、お客さんって、せっかちですね、私がそんなことする訳ないじゃないですか。
大体、お客さんには前もって伝えていましたよ。
あの時、理解して頂けなくて残念です。
何か知りたいことがあるんじゃないですか？
例えば、真実など。

私が試練を与えると言ったことを
覚えていますか？
古びた懐中時計、別名、龍の巣が、
捕獲した鬼を食事にすると伝えていましたよね！
つまり、お分かりの通り鬼が彼女を
呪い殺したんですよ！

今こそ、お客さん、古びた懐中時計をお買い上げありがとうございます。私の館の秘密地下城にて試練を与えます。まずは修行からです。

老人は蒼に木刀を渡した。
この秘密地下城はカラクリ城になっております、この三日間の間、出発点の最下層から最上階の場所まで、
生き延びてたどり着いて下さい。
最上階には小鬼がいるので、倒して下さい。それで修行は終わりです。

よくぞ、果たされました。
お客さんは末代まで続く名高い血の
持ち主、後は鬼を捕獲するだけです。尚、殺してはなりません、死んだ鬼は不味いと龍の巣がお怒りになられる、では、鬼を捕獲して下さい。

良くできました。
それでは古びた懐中時計、龍の巣を
お買い上げありがとうございます。
では、頂きます！！！

いや、正確には龍神。
古来から日本を守護する者。
それでは、この鬼を頂く。

ああ、約束は成就した。
暁として、お前の子孫を約束する、
そして、お前の子に龍の巣、古びた懐中時計を与える許しを与える。
これからは龍の恩恵の限りを蒼、其方に与えよう。
それではな！
龍神は天へと昇龍した。