テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あのお茶会の後。
間もなくして、争いの火蓋が切られた。
オーストリアの皇帝さんの傲慢な態度に怒ったらしい、
首都・ウィーンを包囲するという話が出てきた。
僕からしてみれば、好都合だ。
もしかしたらこれで彼を手中に収めることができるかもしれない。
そうしたら...あの香りを、食べられる。
ここまで強く『喰らいたい』と思ったのは...初めて、だったから。
だから、できるならなるべく早く彼を手に入れたいというのが事実だ。
…ただ、彼との交流は、
あのお茶会が最後になるかもしれない。
何度も何度も経験してきた戦争なのに、
僕は何故か、どこか、引っかかっていた。
まぁ、どうせ支配したらしたで毎日会うことはできる。
完全に喰らい尽くさない限りは。
だから別に、寂しくなんてない。
不意に、銃声が鮮明に聞こえた。
いけない。今は戦時中、僕は前線にいる。
ぼーっとしてたらすぐに撃たれる。
いくら頑丈とはいえ、油断してはいけない。
僕らだって、気絶はするんだから。
オスマン帝国
敵兵を捌き続けると、遠目で彼の姿を確認できた。
同時に、あの香りが戦場を駆け巡る。
…今日は、香りが強い日らしい。
彼を捕らえるのは、もう少し後の方が良い。
だったら今は近づかぬが吉だろう。
見て見ぬふりをして、真横から襲ってきた敵兵の首を捌いた。
…暫くして。
僕らが優位に進んで、さらに包囲を強化。
敵の内側へと、歩を進めた。
そして...ついに、彼が間近で見えた。
僕より高い位置にある彼の瞳が、僕らの兵を睨んでいる。
一瞬、彼と目があったが、言葉もジェスチャーも、
なにも交わさなかった。
再び、銃声が響く。
それを合図に、僕は彼を捕らえるため、
全速力で彼の方へと走り抜けた。
オーストリア
少し驚いた表情をした後、彼は何故か笑っていた。
香りが、全身にまとわりつく。
まるで蜂蜜のように、その香りは全身に絡みついた。
その香りを見て見ぬふりをして、彼に剣を振るう。
だいぶ早めに振ったのに、彼は適応してきた。
その、瞬間だった。
近くで銃声の音がした。
…それと、ほぼ同時に、
カキィン、という金属音が鳴り響く。
彼に振るった僕の剣は、
いつの間にかその音の方向にあった。
オスマン帝国
しかもその方向は、ほっとけば彼に直撃をしていた場所。
…いや、そんなはずはない。
気のせいだろう。
そして、彼の声を、
鼓膜が拾った。
オーストリア
オーストリア
オスマン帝国
剣を、彼に対して振るう。
彼は即座に距離をとったが、剣は彼の肩をかすめた。
オーストリア
オスマン帝国
オーストリア
彼は失笑をすると、どこかへ行ってしまった。
呼ばれたのだろう。
その方向は、オーストリア軍が押されてる方向だった。
逃げられたが、僕だってそこまでして体力を使いたいわけじゃない。
向こうは向こうに任せよう。
そう思って、僕は適当にその辺にいた敵兵を斬り裂いた。
あれから、暫くして。
僕はひたすらに敵を捌き続けた。
真正面から来る敵、横からくる敵、真後ろからくる敵、
漁夫の利を狙ってくる敵。
それらを返り討ちにしていると、流石に身体に疲弊が溜まっていった。
最前線を一時的に離脱し、疲労を除きつつ、戦線を見る。
その間にも、死体になっていたり、血を吹き出していたり、
そんな兵が何人もいた。
人間は脆いなぁ、と。
そう思っていた、その時だった。
再び、鋭い銃声が近くで火を吹く。
今度こそ敵兵に当たっただろうか。
そんなことを考えていると、奇妙なことが起こった。
オスマン帝国
"ソレ"を視認したと同時に、受け止めた腕に負荷がかかる。
いつの間にか抜かれていた剣の刃先には、
銃弾が、刺さっていた。
僕自身すらも困惑して、辺りを見渡すと、
そこは、最前線だった。
オスマン帝国
オスマン帝国
まさか、と思い、銃弾の行き先に視線を向ける。
そこには、あの香がいた。
オスマン帝国
僕はその場で、
唖然とするしか、できなかった。