本当の幸せ

僕は桃くんと分かれてから

海に来た

そう

大嫌いで醜い自分を終わらすために

これまでの人生を思い返していた

ふと頭に残ったのは

1番長い時間を共にした

僕が心から愛する人

そういえば、もう読んでくれたかな

手紙…

黄くんへ これを読んでるってことは桃くんと仲直り出来たってことかな？ 本当は大切なことだから直接お話しないといけなかったのにこんな形でお別れを伝えることを許してほしい。 僕はもう自分のせいで誰かが泣いて気づつく姿を見たくない、もうこれ以上 大切な人を喪いたくない。 だから死んで生まれ変わる。 次の人生はもっと華やかでみんなから愛されて大切な人に囲まれたい、なんて笑 黄くん、 辛い時は誰でも頼っていいんだよ？ 泣きたい時は泣いてもいいんだよ？ たまにはわがままも言っていいんだよ？ だから、僕がいなくても元気でね。 僕と一緒にいてくれてありがとう。 僕を好きでいてくれてありがとう。 愛してます。さようなら。 青より

黄くん、大好きだよ

飛び降りようとしたとき

大きな声を出して彼は息をきらせながらこっちに向かって走ってきた

どうして黄くんがここに？

どうして病院外に…

しかも走って…

今にも泣き出してしまいそうな顔で こちらを睨んでくる君

それに比べて僕は冷静に返事を返す

いつも温厚な君が聞いたことの ない声で怒鳴る

僕はこのとき自分が何か大切なことを 忘れていたことに気づいた

どうして死なせてくれないの？

もう楽にさせてよ

お願い、だから

生きて

幸せになって

忘れていた記憶がうっすらと 思い出してくる

お母さん？

幸せになってね

これは、、

赤くん？

どうして、、

…………ん

……ちゃん

青ちゃん！！

さっき、僕の頭の中に浮かんできた 言葉と同じ…

赤くんは僕に幸せになってって言った？

そう言い君は暖かく僕を包んでくれた

生きてていい

幸せになっていい

僕はずっと取れなかった心の中の モヤモヤが一気になくなって、 気持ちが軽くなった気がした

自分の中の問題はすっかり解決して 油断しきっていた

後ろを振り返り手を伸ばした先は

苦しそうに胸を押さえる君がいた

あらためて考えたら この状況はおかしい

病室からの外出も限られている黄くんが僕を探しに外を走ってきた

今まで普通にお話ができていたことが 不思議なんだ