楽しみだな〜笑
でも大丈夫。
制服を破ったり
教科書に落書きしたり
靴を隠したり
そんな昭和みたいな
幼いことなんてしない
確実に、一歩ずつ
潰してくから
最初の矢は小さく
目立たない
最初の標的は
取り巻きの
美香。
美香(みか) 高校2年生(いじめメンバーの中で唯華と唯一の同クラ) ほかの取り巻きとは少し違って優しくて静かな子だった。 1年生の頃は。ただ1年生の途中から宮滝を中心にいじめられてグループにはいった。 2年生に上がっていじめを宮滝の後ろでじっと見ているだけの子。 始めはこの子からがいいだろう。
宮滝の後ろに隠れるような子だから
ね?笑
美香は
忘れ物をよくする
だから
教科書を見せてあげる
廊下ですれ違うときは会釈をする
そうやって懐に入り込む
もちろん助けたい。
なんて善意なんて0
美香の心に入り込むための
丁寧な手探り。
南 唯華
南 唯華
美香
美香
美香の声は震えていたが
少しずつ話すことによって
私と美香の間の壁は薄くなる
そして
美香の「ありがとう」を宮滝に聞かせるため
そうやって、静かに計算する
次の矢は
授業の間にも刺さる
授業参観のとき
私はいつも通り車椅子で教室に入る
だが、その日は違った
チャイムがなった
決戦の合図。
まぁもちろんうちの親は仕事でいない笑
親が見に来るなんて…
って恥ずかしそうにしてる人が大半
ただ
一人だけは違った
宮滝紬。あいつは親が来たことに喜びを感じ
自慢している
宮滝 紬
宮滝 紬
宮滝 紬
取り巻き
取り巻き
宮滝 紬
宮滝 紬
取り巻き
取り巻き
取り巻き
取り巻き
取り巻き
宮滝 紬
南 唯華
挨拶をして
授業が始まった
淡々と時間が過ぎていく
ノートを開く音
シャーペンで文字を書く音
教師の声
親同士の会話
クラスメイト同士の会話
宮滝は母親が到着するのが遅く
数分後、教師のドアが開く
宮滝の母親だ。
取り巻きが笑っている
母親が宮滝に興味をしめしていないからだ
宮滝 紬
取り巻き
そんな取り巻き同士の会話が
宮滝には聞こえていた
取り巻き
取り巻き
その言葉を聞いた瞬間
宮滝の手が震えた
授業が終わった
宮滝は笑顔を貼り付けて
母親の元へ行った。
宮滝 紬
宮滝 紬
宮滝のママ
宮滝のママ
宮滝のママ
宮滝 紬
母親の声には
心なんかこもってなかった
軽くて、薄くて、冷たい
私は静かに息を吸った
怒りなんかわかなかった
同情もしなかった
可哀想。とも思わかなった
矢ってね放つ前が一番静か
そして
一番大事なんだよね
去年の夏祭りの射的で
つむが言っていた言葉を思い出した
音もなく、息を止めて
的を見据える瞬間が、一番鋭い
瞳がゆっくりと冷えた感覚
怒りでも悲しみでもない
“狙いを定める目”
つむが言っていた意味が分かった。
そっか。
私は矢を番えたところなのか
私の矢、しっかり受け止めてね
そう思ったとき
私の何かが音もなく途切れた
矢が放たれるのはもうすぐだ。
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続き楽しみにしてます!!