勿忘草

「懐かしい匂いがする」

「あの夜と同じ」

「思い出せるのはあの暖かい手」

「ただ...それだけが覚えてる」

「灯籠流しの日迷子になった僕を見つけて帰り道まで案内してくれた」

「優しい手で連れてってくれた」

「灯籠の揺れる光を見ながら母の所まで」

「....あれ？」

「あの人の顔が思い出せない」

「また...会えれば」

鍵を閉める

裏路地

ドンッ

「おい」

「そこで何をしている」

「ここは私の屋敷だ出ていかぬなら焼き殺すぞ」

「ﾊｧ...」

「まだやるかい？」

「まったく」

「....そこに居るのはわかってんだ出て来い」

「私はアイツらみたいに襲う者では無い」

「おっと...命の恩人から逃げるのは無礼だよ」

「まぁね」

「それは....」

足音

「おや、誰かが来るね君は隠れてなさい」

「早く」

「やぁカワズなにか捜し物かい？」

「うーん...見てないなぁ」

「あ...そういや噂でカチが土地神の決まりを破って此岸の物を持ち込んだってゆうのは本当かい？」

「しかも、その中に人の子も混じってるって...」

「はて？どこだったかな？」

「で...どうなんだ」

「どうしようかねぇ」

「酒とお菓子だけ？」

「うーん....」

「そこまでゆうなら仕方ないな」

「今回だけだからな」

「じゃぁカワズはカチを見つけてこい私は人の子を探して何とかしとくから」

「もうでてきていいよ」

「大丈夫彼奴らに引き渡したりしないよ」