コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
玲
颯斗が籠ってしまった作業部屋を開けようとするけど、開かない。
鍵はかかってないみたいだから、 向こうで颯斗が押さえてるんだろうけど。
玲
そう声をかければ押さえる力が少し弱まったから 思い切りドアを押し開くと、
玲
颯斗
颯斗
玲
ひとりになんかするか、できるわけないでしょ。
恋人が泣いてるんだよ、 しかも多分だけど、自分のせいで。
そこからしばらく静かに泣き続けた颯斗。
何をそんなに溜め込んでたの、 俺は何に気づけなかったの?
颯斗
颯斗
玲
玲
颯斗
颯斗
しゃくりあげながら、小さな声で話し始めた颯斗。
気を抜いたら聞き逃してまう程の弱くて小さな声は 颯斗らしくなくて。
玲
玲
颯斗
そうだったの?
俺は生活リズム的に早起きだから、 それに合わせようしたってことだよね?
…しんどかったでしょ、颯斗は遅くに帰っても、 そこから仕事始めて没頭しちゃうタイプだから。
無理して早起きしなくても、 言ってくれれば俺だって時間合わせたのに。
玲
玲
颯斗
颯斗
颯斗
なんで、話しかけてくれたらいいのに。
なんだったら俺が話しかけようと思ったタイミングでよくスタッフさんと打ち合せとかしてるから、
仕事中はあんまりベタベタしたくないんだと思ってた。
玲
颯斗
颯斗
それは、歌のこととか話してるだけで。
玲
颯斗
颯斗
ま、それはそっか。
でも、永玖ちゃんと話してない時間も多いよ?
颯斗
颯斗
あの2人は... まあこっちのタイミング無視して絡んで来ることあるしな。
そんなのに負けないで来てくれたら 俺も颯斗優先するのに....。
玲
玲
俺の予想だと、
颯斗
颯斗
玲
そんなこと、気にしなかったらいいのに。
颯斗はちゃんと俯瞰で周り見て、他の人が嫌な思いするなら俺が、って我慢してまう節がある。
だからきっと、いつも遠慮しちゃうんだろうな。
玲
颯斗
颯斗
颯斗
なおくん、ありがとう。
それで"颯斗は長男だから"なんだね、
同じ立場なのに気付いてあげられなかった。
玲
恋人に甘えられて嫌な男なんかいないでしょ。
颯斗
玲
玲
玲
颯斗
颯斗
颯斗
颯斗
この子は、我慢が得意な子だから。
だから自分のなかで溜め込んで、 ひとりで解決しちゃう。
しかも、俺の悩みだったり不安も抱えようとしてくれるから。
しんどくてもそれを表に出さないように隠すのが上手くて、本当に気をつけて見てても気づけないこともあるくらい。
だからつい俺も"颯斗だったら平気”って思っちゃうんだよね。
ほんとは寂しがり屋さんなのにまた我慢させちゃったな、ごめんね。
玲
玲
玲
玲
玲
ドラマに出させてもらえるようになって、同じ現場になることも少ない俺らはなかなか休みも合わないけど、明日は珍しくどっちも休みだし。
思う存分、颯斗のこと甘やかせる。
颯斗
え、いや絶対"ぎゅってして”って言おうとしてたでしょ。
玲
いつも颯斗がいっぱいいっぱいになった俺のこと抱き締めてくれるけど、俺に抱き締めてほしいなんて言ってきたの初めてだよ?
いや、正確には言おうとした、だけど。
そっと抱き締めれば、 颯斗の大きな両手が遠慮がちに俺の腰に回された。
抱き締めたら、シャツの肩がじんわりと温かく濡れて、
”ああ、ほんとに我慢してたんだな”って実感した。
玲
颯斗
こんな時でも俺だけが悪者にならないようにって考えてるのか。
でかい身体で、なんでもかんでも背負い込んで、 潰れそうになってるのも隠し通して。
玲
颯斗
くぐもった声で遠慮がちにそう言う颯斗。
言った後に背中側で彼の手に力が入ったから、 きっとまた我が儘、とか思ってるんだろうな。
玲
玲
颯斗
それからしばらく颯斗は俺の肩に顔を埋めて静かに泣き続けた。
どんだけ溜め込んでたの、とも思ったけど今それを言ったらまたこの子は我慢するだろうから。
そっと背中を擦りながら自分の近況を話し続けた。