わたしの救世主

標的が、涙目でこっちを見ている。

わたしに、言われたって救えるはずがないじゃない。

標的は、ジリジリと後退りしながら、私との会話を続けている

ものすごい力でわたしの両腕を、掴み

何度も、助けを求めて来る。

お願いだ、もうしないから。と

でも、わたしは少しも痛くなかった。

心も、腕も。

込み上げてくるのは、ものすごい程の怒りだけ。

掴んでいた力に自信があったのか、わたしがはらりと、腕をすり抜けると

標的は驚いたような、悔しそうな、

そんな、表情になっていた

その時、標的は最後の力を振り絞って、わたしに殴りかかってきた。

少し手荒だった。でも、これしか方法がなかった。

少し遅れてしまった、

怖い。怖くて仕方がない。

目を合わせたら、すぐにでも殺されそうで。

嘘なんかついてない。つけるわけない。

つい、わたしはボスを見つめてしまっていた、

どうしよう、間違えた。どうやら、ボスの怒りに触れたようだ

怒ってる。

と、鈍い音がした瞬間

わたしは、地面に倒れていた、

どうやら、倒れた勢いで、頭まで打ってしまったらしい。

わたしは、ボスの脅威に耐えきれず涙目になっていた。

痛みなんて感じない。心も痛くない

痛くないはずなのに、何故かすごく苦しかった。

苦しくて、喋れなくて頷く事しかできなかった。

すると、ニコッと笑って

ボスがわたしのところに、しゃがみ込んで

叩かれた頬を、優しく撫でてくれた。

さっきまでは、あんなに怖かったのに、