TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

カチカチカチ

僕は虚空をペンライトで照らす。

ペンライトの光は

一瞬ガラスに反射して

闇に消える。

カチカチカチ

それでも僕は

ペンライトを押し続ける。

誰かがきっと

この、閉塞した空間から助け出してくれる。

それだけを信じて。

僕は闇の中から呼びかける。

ー・ー・/ーー・ー

ガラスの向こうが

うっすらと白み始めた。

夜が終わったことを確認して、僕は目を閉じる。

叫ぶノドは潰れてしまった。

ここは地獄だ。

弱い者から

深い眠りに堕ちてゆく。

息苦しいほどに狭い空間で

僕の右手を握る

老婆の枯れ木のような手だけが、暖かい。

僕は目を閉じる。

再び夜が訪れるまで。

ー・ー/ー・

耳が聞こえないのは幸いだろうか。

僕は老婆の手を握ったまま

ペンライトを窓の外へ向ける。

ー・ー・/ーー・ー

カチカチカチ

・・・/ーーー/・・・

ペンライトがガラス窓に反射する一瞬

地獄絵図が浮かぶ。

耳が聞こえないのは

きっと幸いなのだろう。

苦悶に満ちた人々の表情が、割れたガラスに映るたびに

そう思う。

ー・ー・/ーー・ー

誰かいますか

・・・/ーーー/・・・

助けてください

ー・ー・/ーー・ー

誰かいますか

・・・/ーーー/・・・

助けてください

僕は夜通しペンライトで合図を送る。

音の聞こえない闇の中で

老婆の手の暖かさだけが現実だ。

・・・/ーーー/・・・

叫ぶ声の代わりに

僕は虚空を照らし続ける。

ー・ー/ー・

隊員

隊長!間違いありません!

隊長

本当か!?

隊員

ええ!生存者です

隊長

……

隊長

何も聞こえないが

隊員

光です

隊長

光?

隊長

どこかで懐中電灯が、つきっぱなしになってるんじゃないか?

隊員

俺も最初はそう思いました

隊員

でもあれはCQ

隊長

場所は?

隊員

まだ特定はできません

隊長

急げ!

隊長

こちらから見えているなら

隊長

向こうからも見える可能性がある!

隊員

やってみます

隊員

ー・ー・/・・ー・/ーー
〈確認した〉

隊長

くそ!!

隊長

光はどこだ!

隊員

ー・ー・/ーー・ー
〈応答願います〉

隊員

ー・ー・/・・ー・/ーー

・・・/ーーー/・・・

隊長

応えた!

・・・/ーーー/・・・

隊員

・ー・〈了解〉

・ーー・/・・・/・ 〈お願いします〉

・・・/ーーー/・・・ 〈助けてください〉

・ーー・/・・・/・ 〈お願いします〉

隊員

ー・ー・/・・ー・/ーー
〈確認した〉

隊長

生存者の状態は?

隊員

ーー・ー/ー/・ーー

ー・・・/ー・・ 〈よくない〉

ーー・ー/ー/ーー・・/・・ーー・・ 〈捜索を続けていますか?〉

隊員

ーー・ー/ー/ーー・・
〈探している〉

・・・・/・ー・ 〈ここにいます〉

・ーー・/・・・/・ 〈お願い〉

・・・/ーーー/・・・ 〈助けて〉

隊員

・ー・〈了解〉

隊員

ーー・ー/・ー・/ー・・ー
〈少し待ってて〉

ーー/・ー/ー・/ー・ーー 〈MANY〉

・・・/ー・ー〈死んだ〉

隊員

ー・/ーー・/・・ー
〈諦めるな〉

隊員

・ー・/・ーー・/ー
〈繰り返す〉

隊員

隊長!!まだですか!?

・・・・/・ー・〈ここ〉

ーーー/・ーー〈老婆〉

ー・・/ー・〈下へ〉

ーー・/ー・・・ 〈GOOD BYE〉

ーー・/ー・・・ 〈神の祝福を〉

・・・/・・/・ー・・/・/ー・/ー 〈SILENT〉

ー・・/ー・〈下へ〉

ー・ー/ー・

夜が明ける。

ペンライトの弱い光では

もう助けを呼ぶこともできない。

老婆の手が

強く僕の手を握った。

眠りなさい。

音のない耳では

老婆の声を聞くことはできない。

それでも

眠りなさいと

そう言われた気がした。

リポーター

生存率が急激に低下するとされる、災害発生から72時間

リポーター

倒壊したビルの下から、少年が救助されました

リポーター

少年は頭部に重傷を負っており

リポーター

発見当時、意識がなかったということです

リポーター

少年と一緒に発見された被災者は

リポーター

20数名にものぼり

リポーター

脱水症状は見られるものの

リポーター

健康状態に大きな問題はないとのことです

リポーター

救助に当たった関係者は

リポーター

頭部に重傷を負いながらも、ペンライト一本で助けを呼び続けた少年に対し

リポーター

彼がいなかったら、被災者を発見することはできなかっただろうと

リポーター

語っています

リポーター

現場からは以上です

ー・ー/ー・

この作品はいかがでしたか?

36

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚