彼だけ

今日も周りの女子たちが騒いでいる。私は例外だが

原因はこの人ら。この学園の王子様だかアイドルだか知らないがこの人たちはこの学園の女子からの人気がとてつもない

でも今日は一つおかしなところがある

そう、いつもあの五人の中央にいる人。ポケカメンさん。あの五人は誰が見てもわかるくらいにポケカメンさんに甘く優しい。だから自分の中では一番印象に残っている人物なのだが…今日は彼が見当たらない

学園の王子の一人、ふぇにくろさんに話しかけた女の子はどうやらポケカメンさんのファンらしくポケカメンさんが遅れてくることを知って少ししゅんとしながら校内へと入っていった。その子を始め次々にポケカメンさんのファンの子たちだけが校内へ入っていき先程よりは減ったがまだ多い

五人が動き出すと同時に屯っていた女子たちが一斉に動き出し思い思い好きな人へとついていく

教室で二人で話しているとさっき校門前でキャーキャーと騒がれていたうちの一人、ふぇにくろさんが教室に入ってきた

ほか四人は別クラスだが今日はいなかったポケカメンさんもこのクラスで二人はよく一緒に話している

ふぇにくろさんと男子たちの会話を聞いて自然と口角が上がる

そう、私たちは所謂腐女子。

いつもふぇにくろさんとポケカメンさんが付き合っているんじゃないかと妄想している

ふぇにくろさん、というよりあの五人はポケカメンさんに対してとにかく甘いのだ。ほかの女子や男子たちとは違う扱いをしていて五人はポケカメンさんに恋をしているんじゃないか、はたまたあの五人とポケカメンさんの誰かが付き合っているのではないかと考えている

その中で私たち二人はふぇにくろさんとポケカメンさん、通称ふぇにポケが付き合っていることを望んでいる。

他にもかにちゃんさんとポケカメンさん、かにポケを望んでいる人やゆぺさんとポケカメンさん、ゆぺポケを望んでいる人などもいて私たち腐女子界隈では有名な六人。腐女子界隈での全員が共通しているのは必ずポケカメンさんがネコ側ということだ

二限目が終わったあとの中休み、一人携帯を触っているふぇにくろさんを見て少し離れたところからまた騒いでいる女子たちとそんな女子を見て呆れる男子

そして、ふぇにくろさんの様子を見てまた妄想を捗らせる私たち

なんて話をしているとガラガラ、と音を立てて教室の扉が開いてある人物が教室へと入ってきた

ずっと待ちわびていたポケカメンさんが登校してきた

するとふぇにくろさんは携帯を机に置いて即座にポケカメンさんの方へと走っていく ふぇにくろさんからは嬉しい感情が溢れ出ていてゆらゆらと揺れ動くしっぽが見えてくる。

ポケカメンさんと話しているふぇにくろさんの横顔は他の誰にも向けないようなキラキラとした笑顔だった

ポケカメンさんにだけ甘々なふぇにくろさんを見て悔しがるふぇにくろさんのファンと

またまた妄想を捗らせる私たち(腐女子たち)

｢｢あー、ふぇにポケ尊い…｣｣