主
初兎
父さんも母さんも龍も、心配するのは無理もないんかもしれん。
自分が親でも、娘を通わせるのを躊躇してしまう。
でも、うちは"普通の女の子"やないから大丈夫や。
えっと、事前に先生からは正門前で待っていればええって言われたけど…。
いるま
背後から声をかけられた気がして、反射的に振り返る。
うちの視界に映ったのは、同じ紫の瞳をした、随分と綺麗な顔をした男の人。
ただ者ではないと、うちの本能が感じた。
彼の全身から漂うオーラは、知性、品性、そしてうっすらと滲み出る脅威。
この人、きっと強い。
にしても…雑誌に出てくるモデルさんみたいに整った容姿をしとる…。
美しくどこかミステリアスなその容姿に、一瞬魅入ってしまう。
いるま
初兎
編入生というのは間違いなく、うちのことだと思う。
でも、『こんな時期に』と言う言葉が引っかかった。
ちょうど後期の始まるキリのいい時期やと思うんやけど…
不思議に思い、ジッと彼を見つめていると、目の前の人は不敵に口角の端を上げ、うっすらと笑みを浮かべた。
いるま
…うっ、否定できん…。
今の自分の姿はもう嫌と言うほど見たから、的確な表現で突いてきた彼に反論しようにもできんかった。
ボサボサ頭にビン底メガネやもん…仕方ない仕方ない。
でも、ガリ勉って失礼やなっ。
いるま
…え?裏口…?
いるま
いるま
先ほどの言葉がどうしても気になって、うちは後ろから声を投げかけた。
初兎
いるま
初兎
彼の言い方は、うちの容姿を見るまでは裏口入学を使ったと思っていた、とでも言うかのような言い方やった。
まるで編入は不可能かのような言い方が、引っかかる。
いるま
知らないのかって…何がだろう?
表情で知らんと伝えると、再び前を向き歩みを止めずに話し始めた彼。
いるま
初兎
いるま
それなりの学力…。
確かに乾学園は暴走族の巣窟と言われながらも、国内トップクラスの進学校だ。
当たり前に、高い学力を求められる。
それは知っとるけど…。
いるま
いるま
いるま
初兎
いるま
いるま
初兎
いるま
初兎
そんなに難易度高かったんや…、ここの編入試験。
全ての謎が解決し、納得したように首を二度縦に振る。
すると、彼が再び振り返り私を見た。
物珍しいものを見るような目で。
いるま
いるま
初兎
…あ、あれ?
うち、今失礼なこと言っちゃったかな…っ。
弁明しようと頭の中で言い訳を考えとると、彼が突然吹き出した。
いるま
初兎
お、怒って、ない…?
いるま
いるま
いるま
いるま
いるま
いるま
…ん?
今さらっと貶されたような…。
けど今の見た目が真面目にしか見えへんのは事実だから、気にせず流そう。
いるま
いるま
いるま
…って、副会長さん⁉︎
このマンモス校の生徒会役員ってことは…やっぱり、すごい人物らしい。
初兎
初兎
いるま
初兎
いるま
よかった…思ったより優しそうな人だ…。
昔から、父さんに初対面には疑心暗鬼なくらいで接するようにきつく言われていた。
だからそれなりに力のある人物は、直感でわかる。
彼もうちのそれに反応があったから怖い人やったらどうしようと思ったけれど…どうやら、常識のあるいい人そう。
初兎
初兎
次の瞬間、なぜか顔を赤らめるいるま先輩。
…あれ?どうしたんかな?
不思議に思いそのままじーっと見つめると、そんなうちに気づいてか、急に顔を背けた。
いるま
いるま
どうしたんやろう…?
いるま
いるま
チラッと覗き込むように顔を見れば、やっぱり赤く染まった頰。
…いるま先輩、風邪気味なんかな…?
それにしても…。
モブ1
モブ2
女の子達からの視線がすごい…。
視線を集めているのは、もちろんうちではなく隣にいるいるま先輩。
みんな目をハートにして、先輩の方を見ていた。
モブ1
モブ2
モブ2
モブ3
モブ3
モブ3
知らない名前がちらほら聞こえるけど、どうやら女の子達は生徒会の話をしているらしい。
生徒会って、人気なんやなぁ…。
モブ1
モブ2
モブ三人衆
よく分からないけど、ないこっていう名前の人が1番人気なのかな…。、
と言うか、いるま先輩はこんなに視線を集められとるのに気にならないのかなっ…堂々としてらっしゃる…。
女の子達は相変わらず、楽しそうに話していた。
モブ3
モブ1
モブ2
そんなに人気な人がおるんや…
モブ3
こ、これ…うちのことやんねっ…。
モブ1
モブ1
モブ2
くすくすと笑い声が聞こえて、恥ずかしさといるま先輩への申し訳なさで視線を下げる。
うちみたいなちんちくりんが隣を歩いてすみません…!
そう心の中で謝罪した時、いるま先輩が口を開いた。
いるま
いるま
あれ…?聞こえとったんや…。
初兎
初兎
ある部屋の前で、いるま先輩は足を止めた。
いるま
いるま
初兎
ここでいるま先輩とはバイバイかと思ったけれど、どうやら先輩も理事長室に入るようで、うちの先を進んでくれる。
三度ドアをノックし、いるま先輩はドアノブに手をかけた。
いるま
いるま
中から、返答はない
しかし、先輩はロックをいとも簡単に開け、私に入るように促した。
初兎
晴翔
晴翔
初兎
晴翔
晴翔
晴翔
初兎
初兎
晴翔
晴翔
初兎
私の隣にいるま先輩も腰を下ろす。
晴翔
晴翔
晴翔
晴翔
…裏?
晴翔
晴翔
晴翔
コメント
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ウタイテ書いてぇ