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???
私は処刑台から逃げ出して走った
走って、走って、走り疲れて…
なにしてるんだろう…と思い足を止めた
…私の目的は達成した 後は彼の代わりに死ぬだけ
…死ぬだけ?
死ぬだけならなんで私は逃げてるの?
彼の代わりなのに…彼さえ助かればそれでいいのに
私は…生きたいと思ってしまった
もう一度だけ…彼らの笑顔を見たかった
なのに…どうしてこんなことに…
私が立ち止まっていると、独りの見慣れた男がこちらに向かってきた
???
彼は…静かに私の名前を呼んだ
数日前と変わらない、綺麗な顔だった
彼は微笑むこともなく、持っていた銃を私に向けた
???
彼は何かを小声で言いながら、引き金に手をかけようとした
その時、彼の顔にはうっすらと同情の色
…そして怒りが滲んでいた
その怒りが私にではなく、彼自身に向けたものだと知るのは、また別のお話だ
…彼は中々引き金を引かない
彼の後ろにいる兵達も不思議に思っているようだ
…彼が決断するために
彼が罪の意識を背負わないために、私のすることは…
???
ベッドで声を上げながら私は熟睡していた
…しょうがない、寝心地のいいこのベッドが悪いんだ
私がいつまでたっても起きずにゴロゴロしていると 1人の女性がずんずんとこちらに向かってきた
留華
???
彼女の怒鳴り声に私は小さく息を呑んだ
…この人は留華さん、私を引き取ってくれた人…らしい
なんで曖昧なのか…私にも分からないからと言ってしまえば終わりなんだけど
言うとなれば自分の事が何一つ思い出せない…としか言えない
つまり記憶喪失というやつだ
留華
???
留華さんは朝ご飯が乗ったプレートを持ってきてくれた
…留華さんって料理上手なんだよなぁ…
特にハンバーグがお店を出せるぐらい美味しくて…
留華
???
私はまだ半分寝ぼけている頭を起こしながらご飯を食べた
???
ご飯を飲み込んでから、まだ部屋の中にいる留華さんに目を移す
留華
留華さんは首を傾げる
???
留華
忘れてたよ~と言わんばかりに大笑いする留華さんを冷めた目で見た
留華
留華
留華さんが名案!と言わんばかりに目をキラキラさせてこちらを見る
???
私は笑い返し、朝ご飯を平らげた
???
留華
???
私はドアノブに手をかけ、外へ飛び出した
続く