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5年3組の教室は、今日も騒々しい
紫苑は、自分の席について、みんなの会話を聞いていた
女子
後ろの席の女子が、そう嘆いている
蒼白 紫苑
紫苑は机に肘を付き、心の中で嘲笑った
紫苑の母親なら、そんなことで絶対に叱らない
男子
右後ろの席の子の声が聞こえてきた
蒼白 紫苑
クラスメイトたちは、愚痴を言い合ってため息をついた
女子
男子
蒼白 紫苑
紫苑をつくづく思う
私は世界一、選ばれた子供に違いない
何故かって?
それは
放課後になると、紫苑はいつもわき目をつぶらずに教室を飛び出す
校門を出た所で、母親を呼ぶ声がした
蒼白 夢紫
振り返ると、道のわきに家の車が止まっている。
母親が迎えに来てるのだ
蒼白 夢紫
母親は、運転席の窓を開けて、紫苑に笑いかける
蒼白 紫苑
とっても美しくて、聡明で、優しい母
おまけに料理も美味しく、絶品だ
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
褒められた紫苑は、キラキラと目を輝かせ、助手席に乗った
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
ちょうどその時、車の横をクラスの男子2人が通りすぎだ
紫苑たちを見て何て何かを言っている
男子
男子
男子
男子
全部聞こえていたけど、紫苑は気にしなかった
蒼白 紫苑
車が走り出し、さっき悪口を行ったクラスメイトを追い越していく
紫苑は嘲笑いながら言った
蒼白 紫苑
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
紫苑が世界一選ばれた子である理由はこれだった
母親は紫苑のやることなら、全部褒めてくれるのだ
欲しいものなんていくらでも買ってくれる
ダメだと言われたことなんか一ミリもない
課金した時も
蒼白 夢紫
と、いつも褒めてくれる
誰にも邪魔されない、母親と父親との3人暮らしはとても快適だった
その日も、家に帰るとすぐにお菓子を出してもらった
蒼白 紫苑
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
蒼白 夢紫
母親が持ってきたお菓子の袋を全部開けて、リビングのソファに寝転がる
手にしているのは最新のゲーム機と、今人気のゲームソフトだ
蒼白 紫苑
夢中で遊んでいるうちに、周りは食い散らかしたお菓子のクズだらけになった
蒼白 紫苑
紫苑は、実はゲームが得意ではない
ガチャガチャとボタンを押しまくっていたけど、やがてゲームオーバーになった
蒼白 紫苑
すると、エプロンをつけた母親が呼びに来る
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
蒼白 夢紫
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
紫苑はコップとポテチの袋を持ったまま、ダイニングルームに向かう
料理がたくさん並んだテーブルにつくが、やっぱり食べる気にならない
蒼白 紫苑
蒼白 紫苑
紫苑はジュースを注ぎ、飲む
母親は
蒼白 夢紫
と、首を傾げにこにこと笑った
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
蒼白 紫苑
紫苑の母親は怒らない
せっかく用意した料理を食べなくても、文句を言ったりしない
勉強しなくえも、紫苑を叱ったりしない
その代わり…
蒼白 夢紫
と言ってくれる
風呂キャンしても
蒼白 夢紫
と微笑んでくれる
部屋の片付けはしてくれるし
友達と喧嘩しても、代わりに謝ってくれる
物心ついた頃から、ずっとこうだった
蒼白 紫苑
蒼白 紫苑
それは、家にかかってきた電話に出ること
この間の日曜日の午後もそうだ
紫苑がお菓子を食べながらタブレットでお絵描きをしていると、電話が鳴った
蒼白 紫苑
そう思って放って置いたのだが、電話は一向に鳴り止まない
仕方なく、紫苑は立ち上がり
蒼白 紫苑
受話器を少し持ち上げた瞬間
紫苑の手を母親の、手が押さえた
いつのまにか来たのだろう
最後にいた母親に、ガチャンと受話器を戻されてしまった
蒼白 紫苑
振り返ると、母親はにこやかに目を細めて言った
蒼白 夢紫
蒼白 紫苑
蒼白 夢紫
褒められた紫苑はご機嫌良く、その場を離れた