新設定⬇
桜桃 亜蘭(LAN)
岩崎 風雅(If)
Are you OK?
Three
two
one
GO!!
濁り色の空を見上げ
もうそろそろ雨でも降りそうだなと
ぼんやりと考える
冷え込んできた
北風も俺に向かって容赦なく吹いてくる
早く帰った方が良いなと思いつつも
一向に足が家の方向に動くことはなく
気づけば
「自殺の名所」と呼ばれる海にきていた
え…海ッ!?
🎼L
🎼L
自殺の名所?w
何言ってんだか
んな事でメンタルがダメになるなんて俺らしくない
帰ろう
そう思ったがここに来たのも何かの縁だと思って…
俺は靴下を脱いで
足だけ水の中につける
🎼L
水は氷の如く冷たく
一瞬にして俺の足は麻痺していった
何も冷たさが感じなくなると
今度は急に眠気が襲ってきて
知らず知らずのうちに深く憎い夢の世界に入っていった
昔から感受性が豊かだと言われ
子供の頃から目指してきた声優の道
1日10時間を超える練習量
高校も大学も
声優科のあるところに進学した
それでもそれを職とするのは簡単ではなくて
何度オーディションに参加しても
ポストに入っているのは
「不採用」の葉書だけ
ずっと応援してくれていた親も親友も
いつしかもう俺の事なんて気にかけてくれなくなって
それでもどうしても諦めたくなくて
もう後には引けなくて
寝ぬ間も惜しんで練習を重ねた
その努力が実って
「採用」の葉書が来た時の感動は忘れられない
同時期にもう1人
事務所が採用した人がいた
岩崎 風雅
後にいれいすの「いふ」として活動をする事になる男
彼とは本当に仲が悪かった
いや、一方的に俺が嫌っていたという方が正しいだろうか
理由?
全てと言っても過言では無いくらい仕事を取られていたからだよ
俺を採用してくれたのは英語を得意とする事務所だった
帰国子女の彼はそれを知った上で受けたのだろう
もちろん、俺も本気で取り組んだ
あの頃と同じ一日の大半を英語に費やした期間もあった
だけどさ
ただの一般人
それも演技の練習しかして来なかった人が
いきなり帰国子女に勝てると思う⋯?
答えは当たり前だけどNO
でもまぁそこは
彼と同期になると分かっていた時から覚悟は決めていた
悔しかったが
彼の英語は嫌いな俺でも聞き惚れるくらいネイティブだったから
だけど、事務所が取ってくる仕事の中には
恋愛モノも少なからずあった
俺たちの代は
女性で声優を目指す人が少なかった
だから多くの監督や脚本家が
「女の子の声が出来る男性」を求めた
俺はこうなる事を見越して
ずっと前から練習を重ねてきていた
元々地声が高い俺に取って
女声の習得は苦痛でなかった
俺は清々しかったよ
彼が悔しそうな顔をみせるのが
ずっと仕事を奪ってきていた彼から
今度は俺が奪うのは
彼のような声では女声は出ない
その時には段々、恋愛モノの方が力をつけていき
俺の時代も遠くはない
今度こそ、主役になれる
そう、思っていた
だけど
焦りを感じた彼の成長速度は凄まじく
いつしか、俺よりも上手くなっていた
それに加えて社交性が高く現場やファンに好かれやすい彼と俺では
結局、俺が優先される事は一度もなくて
何も残らなかった
そんな状態が1年近く続いたある日
俺だけが残っていた事務所に1つの連絡が入った
「岩崎 が来ていない」⋯と
彼が主役を担当する大人気アニメの生放送声優番組
1話放送から絶望の人気を誇っていた
監督の声色は怒りに震えていて
電話の向こうから聞こえる現場の声もザワついていた
彼は2時間近く前に事務所を出ていた
事務所から現場までは40分くらい
遅くても1時間も掛かれば着く距離だ
交通網の遅延の可能性も考えたが
何処にもそんな記事はなく
朝からいつもより顔色が悪かった事が気がかりになり
俺は監督に「分かりません」とそれだけを告げ彼が行ったであろう道筋を追いかけた
彼の身に危険があるかも知れないと分かっている以上
いくら嫌いだといっても
放っておく事は出来なかった
現場からの最寄りについた頃
ザワザワとした人混みをみつけた
俺は身バレ防止の為に声を変えて
人混みの中の一人に話しかけた
まぁ⋯身バレなんてする程人気じゃなかったけどね
話を聞いていると
「青髪」「高身長」
など彼の事を連想させる単語がズラズラと並んだ
体調が悪く動けないが病院には行きたくないと言っているらしかった
知り合いかもしれない
そう言うと周りの人は安心した様に散っていった
案の定、囲まれていたのは彼だった
呼吸が落ち着いてから話を聞くと
彼曰く
朝から体調が悪かったのに加え人が多い電車で人酔いをして動けなくなったそうだった
その日はとりあえず
監督に「みつけた」という事だけ伝え
事務所に帰った
次の日、事務長から呼ばれた彼は「引退」を迫られた
彼が居ない事にファンが怒り炎上したらしい
⋯彼奴は何の抵抗もなく辞めていった
許せなかった
散々⋯散々俺の声優人生を奪った結果がこれか⋯と
俺もその翌日に声優を辞めた
あんな奴の事を嫌いながらもライバルとして観ていた事実を
自分の中から消し去りたかったから
あ…そうそう
あの後、その事務所は大手声優を失って潰れたらしいよ…w
まぁ…俺には関係のない話だけど
コメント
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見るの遅れた! 2人とも残酷やな((そりゃそうなる..やっぱこなみちゃん神!