テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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吃音のふたり

第1話 - チャイムが鳴る

2025年01月01日

#吃音症

#吃音

#学園

Kunyu

高校生3人のお話です。
ざっくりと紹介

マキ

楓楽マキ(ふうらまき)
文武両道お姉さん。
なにかと頼られることが多い。
小さいころ、母親に言葉が詰まることを指摘されてから、ずっと気にしている。
小中では目立ってからかわれたりいじめられたりはしなかったものの、孤独を感じていた。

ヒナ

柚咲ヒナ(ゆざきひな)
運動は人並だが勉強はてんでダメ。
自分の顔が可愛いことを自覚している。
人前に出たり中心に立ったりしたいタイプだが、話し方が変だからといじめを受けた過去があり、本来の自分を出せないでいる。

アヤ

雨入アヤ(あめいりあや)
顔と名前と体格のせいで女に間違えられることがあるが男。
人より頭が悪いことがコンプレックス。でも運動神経はピカイチ。
高校ではたくさん友達を作りたいと思っている。

Kunyu

自己満の文章なので話の中身はたいしてありませんが、よろしくお願いします！

チャイムが鳴る

高校生活が、幕を開ける

教師

1年B組のみんな、はじめまして。担任の──

マキ

(緊張する、うまくできるかな、笑われないかな...)

マキ

(どうしよう、まともに先生の話が入ってこない)

教師

じゃあ、1人ずつ自己紹介していこうか。出席順で、はい。1番から。

モブ

はい！泉ライ、好きな食べ物は寿司！よろしくオネシャッス！

モブ

柿本ミノリです。よろしく。

マキ

(すぐに私の番が来ちゃう、怖いよ)

─自己紹介が進む

モブ

───よろしくお願いします。

教師

...ん？次、楓楽さん、どうぞ。

マキ

っは、はい！

マキ

(大丈夫、あんなに、練習した)

マキ

っ、ふ、楓楽、マ...っ...

マキ

マ、

マキ

マっ...

モブ

っくw

マキ

っ...マ、

マキ

...マキ、です...

マキ

よ

マキ

よっ、

モブ

ふ...っw

マキ

よよよろしく、おっ...

マキ

お...

教師

...緊張しなくて大丈夫だよ？

マキ

っ...

マキ

お、お

マキ

お...願い、します

マキ

(あ、やばい、頭熱い)

マキ

(いつものことなのに)

モブ

────────

モブ

────────

ヒナ

あ、えっとぉ

ヒナ

ゆ...

ヒナ

柚咲、ヒ、ヒぃ...ナ、でぇす。

ヒナ

よ...よぉ、ろしぃ、し...くね。

マキ

(あれ？この人...)

マキ

(もしかして、私と同じ？)

教師

じゃあ、1限が始まるまで自由時間だ。周りの人と軽く挨拶しておけー。

モブ

ざわざわ、くすくす

マキ

(気にしすぎなのは分かってるけど、私のことを笑ってる気がしちゃう)

マキ

(これから、どうなるのかな─)

ヒナ

あっ、あのぉ、

マキ

っは、はい！

ヒナ

ま、ま、マキちゃん、

ヒナ

なぁ、なぁかよ、く...しぃよ、うね。

マキ

う、うん！っよよ、よ

マキ

よよよろしくね、...っヒ、...ヒナちゃん！

こうして、高校ではじめての友達ができた

クラスメイトからの嫌がらせは絶えなかったけど...

モブ

おっおっおっおはよーw

モブ

ねえやばいw障害いじりよくないってw

モブ

聞こえる聞こえるw

マキ

(また...って、なに？これ...)

ヒナ

ま、ま、マキちゃん、こぉ、これ...

机や教科書が落書きまみれだったり

私物がゴミ箱に入っていたり

どれもくだらない、でも確実に私たちを摩耗させていた──

マキ

(結局、誰にも邪魔されないのはここだけだ)

ヒナ

い、いぃ、いただ、きぃ、ます

マキ

い......いただきます

屋上には私達だけ

静かな空気の中で昼食をとる

アヤ

──あれぇ？ここに人がいるなんて、めずらしーな！

ヒナ

っ！？

アヤ

あ、ごめん、ビビらせるつもりはなかった...

アヤ

あー、俺、1年A組の雨入アヤ！2人は？

ヒナ

ゆぅ、柚咲、ヒ...ヒナ

マキ

ふっ、楓楽、

マキ

マ...

マキ

(やばい、またこんな時に限って声が出ない)

マキ

(...でも、雨入さんは、何も言わずに、こっちを見て待ってくれている)

マキ

マ、マっ、...マキ

アヤ

ゆざきと、ふーらだな！よろしく！

マキ

う、うん、

マキ

よ、よ

マキ

よろしくね...？

モブ

うっわ！ガイジ3人が集まってなんかやってる！

モブ

うわ、こんなとこにいたら移りそ、ほか探そうぜ。

マキ

(もう、なんなの！？わざわざ普段来ない屋上に来て大声であんな...)

ヒナ

あ、アぁヤく、ん...？

アヤ

あいつら、中学の時からそうなんだ。視野の狭いヤツら。

マキ

も、ももしかして、

マキ

あっ、あ...

マキ

っあ...

マキ

...雨入さんも...？

アヤ

あー、まあちょっとな。

アヤ

でも、なんつーかさ...俺は2人の味方だからな！

ヒナ

...んなぁ、泣きそ、う...

マキ

あ、あ...りがとう

それから、私たちは

毎日屋上で集まった

誰にも邪魔されない、3人だけの空間だった

──そんなある日

アヤ

あ、ゆざき！遅かった、な──

マキ

ヒ、ナ...？

そこにいたのは、体じゅう傷だらけになったヒナだった

ヒナ

きぃ、

ヒナ

切られ、た...

ヒナ

にぃ、日直のしぃ、仕事、してたら

ヒナ

う、うぅしろから、あ、

ヒナ

あぁ、あいつら、が

マキ

ヒナ...！

私は駆け寄ってヒナを抱きしめた

マキ

だ、だ

マキ

だっだだ、だだ大丈夫、

マキ

わわ、私達は、みっ...

マキ

み、味方、だよ...！

ヒナ

マぁキぃ...

アヤ

俺、あいつら探してくる。絶対許さねぇ...！

マキ

っ...！

マキ

っあ...

マキ

あ...！

雨入くんは、走っていってしまった

マキ

っ...あ...雨入、くん...

ヒナ

...ねぇ、まぁ、マキ...

マキ

っな、なに、？

ヒナ

わぁ、たし、もう、つぅ...つぅかれ、た...

マキ

っ...！！

マキ

だ、駄目ッ！！ああ、あ、諦めないで...！

ヒナ

でぇ、でぇも、

ヒナ

や、やぁ、やぁだ、よ...

マキ

ヒナ...！！

ふらふらのヒナを支えて

だんだん屋上の端に寄っていたのに気づかず

モブ

お前ら、なにしてーんのっ、とw

ドンッ

後ろから押されて

フェンスの脆い部分は2人分の体重に耐えられなかった

モブ

っは！？マジで落っ...！

モブ

ヤバいって、と、とりあえず逃げるぞ...！

アヤ

...！！

アヤ

おい、お前ら...

アヤ

2人は...！？

モブ

チッ、黙れガイジ！！お前も落としてやろうか！？

アヤ

は...？

アヤ

落と、し...

モブ

いっしょにくたばっとけや！！...逃げるぞ！！

モブ

お、おう...！

アヤ

...じゃあ、2人は...

怖いくらいに綺麗な夕焼けが、

世界を染めていた

この事件は、日本中で瞬く間に話題となった

いじめへの関心はもちろん、2人が抱えていた吃音症についても議論がなされた

アヤ

あれから、2年

アヤ

俺は、どうして

アヤ

2人を守ってやれなかったんだろう

アヤ

俺に何が出来ただろう

アヤ

2人は、もういないのに

アヤ

屋上に行ったら、また会える気がして

アヤ

毎日そこに行っている俺を

アヤ

2人は笑ってくれるだろうか

アヤ

...誰も、いない

アヤ

...そりゃそうか

あ、あ...

アヤ

え...？

マキ

雨入くん

アヤ

ふーら...？

あぁ、アぁ、ヤくんだ

ヒナ

ひぃ、さし、ぶり！

アヤ

ゆざき...！

マキ

ご、ご

マキ

ごはん、い...っしょに、た...

マキ

たた

マキ

たた、食べよっ

アヤ

...！お、おう！

ヒナ

はぁ、い、わ、わぁ、たし、の、たた、たま、ご焼き、あぁげ、げる。

アヤ

お、今日もうまそうだな！サンキュ！

アヤ

(なんだ、2人はここにずっといたんだ)

アヤ

(笑ってる、よかった)

───本日あさ7時頃─

───朝霧駅で人身事故があり─

───高校生1名が死亡─

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