ダイト
…うーん
ダイト
…
シェル
おー、なんか行けそう?
ダイト
ちょっとお前は黙ってろ
???
わ、私、どうなるんですか?
ダイト
上手く行けば元の世界に帰れる、上手くいかなければ…
ダイト
…この世界で過ごすことになる
いつのまにか、眩しい光を放っていた魔法陣は今にも消えそうなくらい薄くなっていた
ダイト
…
ダイト
…ダメだ
ダイト
色々試してみたが、現段階ではお前を元の世界に返す方法は無い
シェル
あれ?でも昔、同じようにほかの世界から来た人はすぐ帰ることが出来てたよね
ダイト
あぁ、普通なら、この魔導書に書いてある通りにすれば問題なく元の世界に帰還できるはずなんだが、
ダイト
何故かお前だけは、魔法が発動しない
シェル
はぁ?魔導書の通りにやってできないことなんてないでしょ!
シェル
本気出せば行けるって!ほら!やってあげなよ!
ダイト
あ"ー…できないもんはできないんだ、俺も信じられないが…
シェル
はぁ、平和ボケして腕が訛ってるんじゃない?
ダイト
…そう言われれば、そうなのかもしれないな
ダイト
何せ、数年前から大事件が1つも起きていない、だから実力を試す機会がないんだよ
シェル
私ならいつでも修行相手になるけど?
ダイト
お前とやったら本気の戦いになるからダメだ
シェル
えーなんでよー私だって空間制御魔法くらい使えますけどー?
ダイト
お前の場合、戦いに集中しすぎて途中で切れるだろ
シェル
うっ…そ、それは…
ダイト
はぁ…気が逸れても切れないように修行してから挑んでくれ
シェル
ちぇっ、はーい
ダイト
で、お前の話に戻るが、
ダイト
なんかお前"感じ"が違うんだよ、魔法を使った時もなんかこう、引っかかるっていうか…
シェル
そんなこと言って、ホントは自分が出来ないからって言い訳してるんじゃないのー?
ダイト
違うんだって…
???
なんか、すみません…
シェル
君は気にすることないよー
ダイト
お前が謝ることは無い、あと、なんでシェルが仕切ってるんだよ
シェル
ふっふーん!1回やってみたかったんだよねー
シェル
…で!結局この子はどうすんの?
ダイト
帰らせることはできないと分かった以上、コイツのことは一旦保留だ
ダイト
先に例の御札について話そう
シェル
りょーかい!
ダイト
この御札を軽く解析してみたんだが、中に何かが封じられていることが分かった
シェル
ふんふん
ダイト
そして、この御札は継続的に湧いて出てきているということもわかった
シェル
確かに、昨日まではこんな御札なかったのに急に出現した、って街の人が言ってたんだよね
ダイト
で、まだ解析途中ではあるんだが、今のところは特に害があるものではなさそうだ
シェル
ふーん、それなら放置でいいんじゃない?
ダイト
害が出る前に対処したいが、どうしようもないからな…
ダイト
ん、誰か来たみたいだ
シェル
私出てくるねー!
アンドラ
急に押しかけてしまいすみません
ダイト
アンドラか、別に大丈夫だ、それで何か用か?
アンドラ
実は、例の御札を持ち帰り、城で解析をしようと試みたのですが、
アンドラ
…解析を始めた途端、大爆発を起こしました
シェル
大爆発!?アンドラとマリンは大丈夫だったの?
アンドラ
幸い、二人ともその場を離れていたので怪我はしませんでした
アンドラ
今はマリン様が復旧に当たっています
ダイト
大爆発…まさかこの札がそんな危ない物だったなんてな…
シェル
あれ?でもダイトが解析したときには爆発なんて起こらなかったよね
ダイト
確かに、そうだな、何故アンドラのときだけ爆発が……
ダイト
…まさか、細工なんてしてないよな?
アンドラ
えぇ、拾ってきた物をそのまま解析しました
ダイト
それなら何故……
???
…場所が関係してるとか、ないですか?
ダイト
場所…か、確かにあるかもしれないな
シェル
ダイトの家にはピルスの魔力源があるから、それに反応したのかなぁ?
???
魔力源?
シェル
その名の通り、魔力の源だよ、これがなきゃ私たちは魔法を使えてない
ダイト
ピルスが存在するためには必要不可欠なものだ
ダイト
…そういえば、俺が解析を始めた時も、爆発はしなかったが中から何か出てきたんだよな
シェル
その「何か」って何なの?
ダイト
それが俺にも分からないんだ、出てきたと思ったら派手に飛んで行ったんだから
ダイト
ちょうど、森の方にな
ダイト
…今思い返すと、出てきたものからは魔力を感じなかったな
シェル
ちょっと待って?その出てきたものってもしかしてさ…
???
…私、だったりして
ダイト
はぁ?そんなことありえるのかよ
シェル
こんな物の中に人が入ってたなんて信じられないけど…
アンドラ
ふむ、確かに一理あるかもしれないですね、魔力を感じないなんて、この世界では珍しい存在ですし
ダイト
だが他世界を繋ぐ力なんて、いったいどうやって…
シェル
もう1回解析してみれば何かわかるんじゃない?
ダイト
それでまたコイツみたいな奴が出てきたらどうするんだよ
シェル
まぁまぁ!物は試しだって!
ダイト
はぁ…もう1度やってみるか…
シェル
じゃあ、はいこれ!私が見つけたヤツあげるよ!
ダイト
ん、ありがとな
ダイト
それじゃあ、始めるぞ
ダイト
『解析魔法 開始』
御札が一瞬光ったかと思うと、小さい手帳のようなものが現れた
???
これは…?
アンドラ
…ミニノート、ってやつでしょうか
シェル
あれ?
ミニノートを拾い、開こうとしているようだが接着剤でも塗ったかと思うくらいページが動かない
シェル
なにこれ!開かないんだけどー!
ダイト
…特定の人物じゃないと開けられない、とか?
シェル
そんなことあるー!?
ダイト
とりあえず…おい、お前開いてみろ
???
は、はい!
???
開きましたね…
アンドラ
御札から出てきたミニノートを貴方しか開くことが出来ないのなら、
アンドラ
やはり、貴方もこの御札によってこの世界に来た確率が高そうですね
シェル
それでそれで!なにか書いてある?
???
えっと…『赤は出口、黒は入口』…だそうです
ダイト
どういうことだ?さっぱり意味がわからん
アンドラ
きっと、現段階の私たちではこの謎は解明しないでしょう
アンドラ
…それより、この子は元の世界に返さないのですか?
ダイト
あぁ、実はもう試したんだ
ダイト
…だが、何故か返すことができなかった、こんなことは初めてだ
アンドラ
まぁ、それは無理でしょうね
シェル
どういうこと?
アンドラ
他世界から渡ってきた者を返すには、同じ道を経由しなければならない、
アンドラ
ダイト様なら知ってて当然ですよね?
ダイト
…
シェル
…まさかダイト、知らなかったの?
ダイト
うっ…
アンドラ
はぁ、まったく…とりあえずは、この御札について調べましょう
アンドラ
そうすれば、"道"も判明するでしょうし
シェル
なんだか、アンドラに任せれば全部解決するような気がしてきた…
アンドラ
それは困ります
アンドラ
シェル様も、ダイト様も、しっかり働いてもらいますからね
ダイト
はぁ…分かったよ…
シェル
はぁい…
???
私が原因でこんなことに…
ダイト
それは別にいい、もっと大変なことを起こすやつがいるくらいだしな
シェル
…そういえば君、名前はなんて言うの?バタバタしてて聞き忘れてたよ
???
えーっと…うーんと…何だっけ……
ダイト
記憶が曖昧って言ってたよな、名前も思い出せないとなると…
アンドラ
一時期とはいえ、ピルスに滞在するなら名前がないと不便ですね
シェル
じゃーさ!みんなでこの子の名前を決めてあげるってのはどう?
ダイト
俺はそれでもいいが…お前はどうだ?
???
私も、それで大丈夫です!
シェル
よし!それじゃあ私から!
シェル
キスイとかどうかな!
ダイト
うん、いいな
アンドラ
私も、いいと思います
シェル
お?私のおかげで速攻決まっちゃう感じかー?
???
…私は、
???
…私も、その名前がいいです!
シェル
よっしゃ!じゃあ決定!
ダイト
それじゃ、これからよろしくな、キスイ
ダイト
俺の名前はダイト、この世界の存在を保つ役を担っている
シェル
最近はサボってばっかだけどねー
ダイト
余計なこと言わなくていい!
シェル
だって事実だもーん
シェル
それで、私はシェル!ダイトの友達だよー!
ダイト
お前がどこにでも着いてきてるだけだろ
シェル
そんなことないし!
アンドラ
私はアンドラです、マリン様の従者をしています
シェル
たまに怖い
アンドラ
何か言いました?
シェル
なんでもないよ〜!
???
皆さん、よろしくお願いします!