進藤恭也 タクシー乗ったわー
佐々木里奈 もー
佐々木里奈 今日酔っ払いすぎだよ
進藤恭也 ごめんごめん
進藤恭也 メシが美味すぎてさ、つい
佐々木里奈 まあとりあえず無事タクシー乗れたみたいで安心したよ
進藤恭也 でも寝そう
佐々木里奈 ねるなー
進藤恭也 このままチャットしてて
佐々木里奈 私は眠気覚まし用なの？笑
進藤恭也 いやいや
進藤恭也 眠気覚ましっていうなら、このタクシーの運転手さん
進藤恭也 眠気も覚めるほどの美人
佐々木里奈 へー女の人なんだ
佐々木里奈 珍しいね
進藤恭也 いまどきはそうでもないだろ
進藤恭也 あれ、でもなんか遠回りしてるっぽいな
佐々木里奈 えーちゃんと言ったほうがいいよ
進藤恭也 いま聞いてみた
進藤恭也 いつもの道、工事中なんだってさ
佐々木里奈 ほんとー？
進藤恭也 どうかな〜
進藤恭也 俺に見惚れて道間違えたのかもな〜
佐々木里奈 ばかだねー男って
進藤恭也 夢くらい見たっていいだろ
佐々木里奈 夢レベルって自覚はあるんだね笑
進藤恭也 あー
進藤恭也 夢も見られないほど眠気覚めてきた
佐々木里奈 酔いが覚めてきたんでしょ
進藤恭也 うーん
進藤恭也 やっぱりちょっと
進藤恭也 遠回りしてる気がするんだけど
佐々木里奈 たしかに時間かかってるね
佐々木里奈 まだ着かないの？
進藤恭也 なんだこの道
進藤恭也 どこだろう
佐々木里奈 え、ちょっとやばくない？
佐々木里奈 運転手さん、様子どんな感じなの？
進藤恭也 いやなんかにこにこしてて、愛想いいよ
進藤恭也 あれ
佐々木里奈 なに？
進藤恭也 俺この人どっかで見たことあるような…
佐々木里奈 え、うそ
佐々木里奈 どこで？
佐々木里奈 知り合い？
進藤恭也 いや、知り合いってほどではないと思うけど
進藤恭也 待って、思い出す
佐々木里奈 てかまだ着かないの？
佐々木里奈 いつもの倍以上かかってるよ？
進藤恭也 思い出した
進藤恭也 この人うちのマンションの前にいた人だ
佐々木里奈 恭也の？
進藤恭也 うん
進藤恭也 あー思い出した
進藤恭也 今日みたいに夜中に酔っ払って帰ってきた時
進藤恭也 タクシー降りたら、マンション前に突っ立ってる女の人がいて
進藤恭也 全然動かないからちらっと見たらさ
佐々木里奈 うん
進藤恭也 泣いてた
佐々木里奈 え
進藤恭也 ぼろぼろ泣いてて
進藤恭也 でも危ない感じはしなかったから
佐々木里奈 酔っててわかんなかっただけでしょ
進藤恭也 まあ否定はしない
進藤恭也 それで
進藤恭也 今日みたいにお前がくれたミネラルウォーターとポケットティッシュがあったから
進藤恭也 どうぞ、って渡してから部屋戻ったんだよね
佐々木里奈 えー
佐々木里奈 恭也んちって外からどこの部屋に入るか見えちゃうじゃん
佐々木里奈 なんでそんな危機感ないの？
進藤恭也 いやだって、美人だったし
佐々木里奈 はあ？
佐々木里奈 とにかくもう降りなよ
佐々木里奈 どこでもいいから！
タクシー運転手 着きましたよ
進藤恭也 え
進藤恭也 あ、はい
タクシー運転手 このあたり工事が多くて、時間がかかってすみません
タクシー運転手 3050円です
進藤恭也 いえ…あ、ちょうどあります
タクシー運転手 お忘れ物ございませんよう
進藤恭也 はい、あのー
タクシー運転手 なんでしょう
進藤恭也 あ、いえ
進藤恭也 やっぱりなんでもないです……
タクシー運転手 そうですか
タクシー運転手 今夜は星が綺麗ですよ、夜風で酔いが覚めるといいですね
翌朝
進藤恭也 ごめん連絡遅れた
佐々木里奈 恭也！
佐々木里奈 連絡取れなくて心配したよ！
進藤恭也 いやそれがさ
進藤恭也 あの後、部屋が火事になって
佐々木里奈 えっ
進藤恭也 火元は隣の部屋なんだけど
佐々木里奈 あーなんか綺麗な女の人？
進藤恭也 よく知ってるな
佐々木里奈 見たことあるもん
進藤恭也 とにかくさ
進藤恭也 タクシー降りて、その時ふっと上見たら
進藤恭也 隣の部屋から煙がめっちゃ出てて
佐々木里奈 こわい
進藤恭也 俺がもうちょっとでも早く帰ってたら、煙に気づかなくて
進藤恭也 一緒に焼け死んでただろうって
佐々木里奈 そんなに激しい火事だったの？
進藤恭也 うん
進藤恭也 蚊取り線香を使った時限装置だったらしくて
進藤恭也 隣の女の人、亡くなったみたいだ
佐々木里奈 放火ってこと？