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第三十三話 たった一人で戦い続ける者達-閑話2
スマイルの家に帰ってきたきりやんは とりあえずその日は寝ることにした
明日は何をしようと考えながら 眠りに落ちる
こんな時でも人間の体は 素直に休息を貪ってくれた
朝起きたきりやんは 朝ごはんを作って食べた
きりやん
気合を入れると 家の掃除を始める事にした
何かをしていないと 余計な事を考えてしまうのだ
例えば―― 自分がなぜダメだと言われたのかとか
どうしてBroooockとスマイルは Nakamuと会ったことがあるのかとか
きりやん
スマイルは出会ってから約束を違えず きりやんのために酒を上納してくれた
彼の造る酒に加えて きりやん自らも酒造りに参加した
非常に充実した時間だった
自分好みの味を追求するのも悪くない
それに加えて シャークんが作ってくれる肴も良かった
そこまで料理が得意ではないと言うので これもまたきりやんが監修の元
シャークんに 色々なつまみを作ってもらった
二人で暮らしていた頃は
そんなに食に興味がなかったのか レパートリーは少なかった
きりやんが教えてシャークんも 様々な料理を作れるようになっていった
きりやん
きりやん
家を建てる時に部屋数は 多いほうがいいと言ったのはきりやんだ
スマイルの私室 シャークんの私室はもちろんのこと
きりやんも自室を用意してもらった
客室もなんと三つある
これはいずれ
きんときがこの家に住まうように なるのではないかと見越して
一部屋追加してもらった
それに加えてスマイルももう一部屋 ほしいと言い出したのは意外だった
今にして思えばもしかしたら――
Broooockの部屋にすることを 見越していたのかもしれない
余れば自分の研究室にでも する予定だったのだろう
それからリビングも 広めに作ってもらったし
倉庫の広さも充実している
きりやん
六人で一緒に住まうなど 一層騒がしくなりそうだ
それまでの三人、もしくは四人など どちらかと言えば静かな方だ
一番騒がしかったのは きりやんと言えるだろう
それを超える二人がやってくるのだ
毎日でもうるさくなるだろう
そう考えていると きりやんは小さく微笑んでいた
僅かに町から感じる悪意と魔法の気配に きりやんは頭をぶんぶんと振った
きりやん
きりやん
それでもきりやんの意識は 気配に引っ張られ
徐々に掃除すら手がつかなくなる
きりやんは震える手で その場に跪くと祈りを捧げた
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
それは神からの祝福だ
僅かだが―― これだけでも力になれるだろう
感じる巨大な魔法の気配に きりやんは冷や汗を垂らす
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
ぶわっときりやんの体から 神力が込み上げてきて
思わずきりやんは体を抱きしめて 神力を抑え込んだ
きりやん
きりやん
今感じるあの魔法を唱えているのは 間違いなくスマイルだ
それが発動されれば 神罰はもう止められない
きりやんは己の両腕に爪を立て 嫌というほど縮こまる
きりやん
きりやん
輝き始める瞳がちかちかと辺りを照らす
きりやん
スマイル
きりやん
小さく下げられたスマイルの視線
あれは冗談などではない
スマイルはあの時にはもう――
魔法を使う覚悟を決めていた
きりやんは歯を食い縛った
あの時、スマイルと二人で どのようにすれば
Nakamuときんときの死を 防げるか話し合った時を
冷静に思い出す
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
それと同時にスマイルが Nakamuが考案した魔法を
ワイテルズのメンバー全員に かけていた事を思い出した
元々調和性があったかもしれないが
おそらくあの魔法のおかげできんときは 桜の樹を器にする事ができたのだろう
Nakamuももしかしたら死を迎えた際に
その魔法のおかげで きんときと同じように
何かを器にできたのかもしれない
ならば―― あの魔法をかけられた全員は
何かしらの形で 命を別の何かに宿せるのかもしれない
きりやんが一番に思いついたのは 不死のトーテムだった
一度は禁じたそれを きりやんは頭の中に思い浮かべる
チャンスは一度きり
この神罰が下されると同時に 神罰に神の力を載せる
徐々に輝きを増すきりやんの身体は その力を抑えきるのも限界だ
きりやん
――それは祈りだったのだろうか
きりやんの体から放たれた光は
まっすぐ空を駆けていった
きりやん
その場に座り込むきりやんは
呆然としていた
これで二度目だ
きりやんは自らの手で 二人の仲間を葬った
きりやん
ただ大切な仲間に 死を与えるだけの存在じゃないか――
視界の端に
玄関の横に立てかけられた斧が映った
きりやん
きりやん
きりやん
きりやんは立ち上がると ぐい、と目元を袖で拭って
玄関の扉を開けると 外へと歩き出した