テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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人に優しくしたら、自分が壊れた。

第2話 - 第２話

2021年03月15日

#ミステリー

#いじめ

#学園

#ホラー

#青春恋愛

#ドラマ

クリオネ

平澤由佳里

え、旧校舎の屋上に…幽霊？

山中真世

そうそう！

山中真世

何でも噂によればね…

山中真世

まだ私たちが入学するよりずっと前にね、一人の女子生徒が…

山中真世

酷いイジメに苦しんだ末に、屋上から飛び降り自殺したんだって…

平澤由佳里

………

山中真世

でね、その自殺した時間の夜中の２時ちょうどに屋上のフェンスを乗り越えて、下を見下ろすと…

山中真世

……その女の子の死体が塀を伝って、登ってくるんだってーっ！！

平澤由佳里

いやぁぁぁ！！

山中真世

ビックリしたぁ…

山中真世

急に叫ばないでよ、由佳里！

平澤由佳里

真世がそんな怖い話するからでしょ？！

平澤由佳里

私…そーゆう手の話ってダメなんだからぁーっ…！

山中真世

あ、そうだった、ごめんごめん（笑）

山中真世

でもね、今はもう使われてない旧校舎のどこかに…

山中真世

その子が残した遺書があるんだって

山中真世

それはそれは、自分をいじめた奴らへの…怨みつらみがギッシリと綴られた遺書がね…！

平澤由佳里

ひぃぃぃぃ…！

山中真世

ちなみにね、その子の名前…

山中真世

「ゆかり」っていうらしいよ

平澤由佳里

……！！

山中真世

……ぷっ（笑）

平澤由佳里

……ちょっと真世っ！

山中真世

部活の先輩から聞いただけだから、ただの噂だってば！（笑）

平澤由佳里

じゃあ、その子の名前っ…！

山中真世

……それは嘘（笑）

平澤由佳里

ま、真世ぉぉ〜っ！！

山中真世

あ、怒った？怒った？！（笑）

平澤由佳里

っもう！！

平澤由佳里

でも、イジメ、かぁ…

山中真世

え？

平澤由佳里

なんか、他人事に思えないなーって…

山中真世

……もしかして、姫川さんのこと？

平澤由佳里

………

山中真世

あのさぁ、由佳里

山中真世

昨日の体育の時も話したけどさ

山中真世

気持ちはわかるけど、あんまり深入りしない方がいいってば…

平澤由佳里

でも…

山中真世

姫川さんがいじめられてるのは、由佳里のせいでも何でもないでしょ？

平澤由佳里

そうだけど…

山中真世

…庇ったりして、もし変に懐かれちゃったりしたらどうするの？

山中真世

それで…もし、宮坂さんたちに睨まれちゃったら…っ

平澤由佳里

………

山中真世

私はね、由佳里のことが心配なの！

山中真世

由佳里は私の大切な親友だから…

山中真世

もしイジメのターゲットにされたら…って…

平澤由佳里

真世…

平澤由佳里

うん…ごめん

平澤由佳里

ありがとね

山中真世

わかればよろしいっ！

山中真世

ほら、次の授業移動教室でしょ

山中真世

コンピューター室行こっ！

平澤由佳里

あ、うん

姫川麗蘭

あの、平澤さん…

平澤由佳里

あ……姫川さん…

山中真世

…何？

姫川麗蘭

あ…ごめんなさい

姫川麗蘭

平澤さん、よかったら一緒にコンピューター室…行かない？

平澤由佳里

えっ？

山中真世

…由佳里！

平澤由佳里

で、でも…

姫川麗蘭

あ、もちろん山中さんも一緒でかまわないから…

山中真世

ちょ、ちょっと…！

平澤由佳里

………

『どんなことがあっても、人に優しく生きなさい』

平澤由佳里

(お婆ちゃん…)

平澤由佳里

…うん、いいよ

山中真世

由佳里っ…

姫川麗蘭

本当？よかった…

平澤由佳里

(ごめん、真世)

平澤由佳里

(真世の気持ちは嬉しいけど)

平澤由佳里

(やっぱり私、姫川さんのこと無視なんてできない)

平澤由佳里

(宮坂さんに目をつけられたとしても…)

平澤由佳里

(私、根性だけは誰にも負けないから大丈夫！)

教師

それでは、今日はワードとエクセルについて学んで頂きます

平澤由佳里

(…ん？)

平澤由佳里

(私のIDでログインしたメールボックスにメールが届いてる)

平澤由佳里

(一体誰が…)

上原勇也

『ビックリした？（笑）』

上原勇也

『俺、勇也！』

平澤由佳里

(う、上原くん？！)

平澤由佳里

『ビックリしたよ（笑）どうしたの？』

上原勇也

『タイピングの練習！…なんつって（笑）』

上原勇也

『あのさ、昨日の体育の授業中の騒ぎ、俺も見てたんだけど…』

平澤由佳里

『体育って…姫川さんとのやり取りのこと？』

上原勇也

『うん』

平澤由佳里

『それがどうかしたの？』

上原勇也

『いや…なんで平澤があんなことしたのかなーってさ』

上原勇也

『だって…姫川のこと庇って、自分までイジメのターゲットにされる可能性だってあるだろ？』

上原勇也

『平澤は…イジメが怖くないの？』

平澤由佳里

………

平澤由佳里

『姫川さんは、何も悪いことしてないから』

平澤由佳里

『それに、あの子は他人を思いやれる優しい子だよ』

平澤由佳里

『悪いのは、寄ってたかって姫川さんのことをいじめてる宮坂さんたちだから』

平澤由佳里

『私が姫川さんを庇った理由は、それだけだよ』

平澤由佳里

『それにね、私…宮坂さんたちのこと、怖くなんかないんだ』

平澤由佳里

『だからもし、私までイジメのターゲットにされちゃったとしても…』

平澤由佳里

『私は正しいことをしただけだから、毅然とした態度で闘う覚悟だよ』

由佳里の返信を読み、パソコンの画面の前でギリッと唇を噛み締める人物がいた

それは、勇也ではなく…

樹里だった

平澤由佳里

『でも、上原くんがなんでそんなこと言うの？』

平澤由佳里

『上原くんって、言っちゃ悪いけど…イジメとかに対してけっこう無関心…じゃない？』

平澤由佳里

『なんか意外だなぁ』

上原勇也

『そんなことないよ』

上原勇也

『俺だって、イジメなんて許せないよ』

平澤由佳里

(上原くん…)

上原勇也

『宮坂はクラスメイトとしては好きだけど…もしイジメの主犯格だったりしたら、見る目変わっちゃうかも』

平澤由佳里

『えっ…じゃあ、上原くんって宮坂さんのこと好きってわけじゃなかったんだ？』

平澤由佳里

『私、てっきり２人は付き合ってないだけで、いい感じなんだと思ってたから…』

上原勇也

『アイツとは、そーいうのじゃないよ』

上原勇也

『正直、一方的に言い寄られてて困ってるんだよな（笑）』

平澤由佳里

『そうなの…？』

上原勇也

『うん』

上原勇也

『それに、なんつーかさ…』

上原勇也

『平澤の、そーゆう強い優しさっていうの？』

上原勇也

『俺、尊敬するよ』

平澤由佳里

(ほ、本当に…？！)

上原勇也

『ご、ごめん…いきなりこんなこと言っちゃって（笑）』

平澤由佳里

『ううん、そんなことないよ！』

平澤由佳里

『ありがとう、上原くん…』

平澤由佳里

『上原くんにそんなふうに言ってもらえて…すっごく嬉しい』

上原勇也

『ほんと？』

上原勇也

『学校のパソコンのメールだけど…話せてよかったよ』

上原勇也

『もし宮坂に何かされたりしたら…俺に相談してくれない？』

平澤由佳里

『い、いいの…？』

上原勇也

『もちろんだよ！』

上原勇也

『俺に何かできることがあれば、いつでも力になるから』

平澤由佳里

『ありがとう、上原くん…』

宮坂樹里

……ふっ

由佳里からの返信を読んで、樹里はニヤリと笑うのだった

平澤梨沙

お姉ちゃん、おかえりなさい！

平澤由佳里

ただいま、梨沙

平澤由佳里

遅くなってごめーん、急いで晩御飯の用意するからね

平澤梨沙

それなら大丈夫だよ、もう私がカレー作っといたから！

平澤由佳里

えっ？あ…ほんと、良い匂い！

平澤由佳里

ありがとね、梨沙！

平澤梨沙

お婆ちゃんが死んじゃってから、2人で助け合って生活しようねって約束したでしょ？

平澤梨沙

私ももう中２だし、ご飯ぐらい作れないとね！

平澤由佳里

梨沙…

平澤由佳里

そうだね、天国のお婆ちゃんに心配かけちゃダメだもんね！

平澤由佳里

あんたみたいなしっかり者の妹を持てて、お姉ちゃんは超幸せ者だよ！

平澤梨沙

はいはい////

平澤梨沙

あ、あとサラダもあるんだった！

平澤由佳里

私が作ろうか？

平澤梨沙

ううん、いいよ、野菜切るだけだし

平澤梨沙

お姉ちゃんは座って待ってて！

平澤由佳里

そっか、ありがとう

ピコン♪

平澤由佳里

ん？LIMEだ

平澤由佳里

(えっ…姫川さんから？)

姫川麗蘭

姫川です

姫川麗蘭

ごめんなさい、突然LIMEなんてして…

姫川麗蘭

クラス名簿の中の平澤さんの電話番号で検索して、追加したの

姫川麗蘭

勝手なことして、ごめんね

平澤由佳里

ううん、大丈夫だよ！

平澤由佳里

でも、どうしたの？

平澤由佳里

…なにか辛いことでも、あった？

姫川麗蘭

ううん、それはいつものことだから

姫川麗蘭

あのね、私…改めて平澤さんにお礼が言いたくて…

姫川麗蘭

私のこと、助けてくれて本当にありがとう

平澤由佳里

そんなの、気にしないで

平澤由佳里

悪いのは宮坂さんたちなんだから！

平澤由佳里

姫川さんは、何も悪いことなんてしてないんだから

姫川麗蘭

平澤さん…

姫川麗蘭

あのね、お願いがあるんだけど…

平澤由佳里

お願いって？

姫川麗蘭

私と、友達になってくれないかな…？

姫川麗蘭

私ね、実はずっと前から…平澤さんと仲良くなりたいと思ってたの

平澤由佳里

そうだったの…

姫川麗蘭

あ、でも…私と仲良くなんてしてたら、平澤さんまでイジメのターゲットにされちゃうかな…？

姫川麗蘭

それは私も辛いから、やっぱりこんなの、ダメだよね…

平澤由佳里

イジメを怖がって、友達も作れないなんておかしいよ

平澤由佳里

姫川さん、私のことは心配しないで？

平澤由佳里

もし私のことまで睨まれても、そんなの跳ね返してやるから！

平澤由佳里

真世もきっとわかってくれるし、姫川さんが私たちと一緒にいたら宮坂さんたちも手出しできなくなるよ！

平澤由佳里

私、けっこう根性には自信あるんだ！（笑）

平澤由佳里

だから大丈夫

平澤由佳里

友達になろう？

姫川麗蘭

平澤さん……ありがとう

姫川麗蘭

嬉しい…！！

平澤由佳里

これからも、よろしくね！

姫川麗蘭

私の方こそ、よろしくね！

姫川麗蘭

あ、あのね…

平澤由佳里

ん？

姫川麗蘭

由佳里ちゃん…って、呼んでもいい？

平澤由佳里

もちろんだよ！

人に優しくしたら、自分が壊れた。

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うああ、主人公ちゃんいい子すぎやろぉぉ

クリオネ

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