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大森は自宅の前で 立ち尽くしていた
大森
大森はもう5分もそうしている
理由は1つ 若井の機嫌が悪いからだ
大森はもう一度 LINEのトーク画面を見る
ー7月6日ー
若井
若井
大森
若井
大森
大森
大森
既読はついたが 返信は返って来ていない
今までの経験上 この流れで 何も起こらなかったことが無い
大森
大森
思考を巡らせても分からない
大森
大森
思考が現実逃避を始める
大森
若井から逃げるという事は ミセスから逃げると同義だ
若井との関係が壊れれば それはミセスが壊れる事と同じだ
大森
大森
若井もミセスも どちらも大森の宝物だ
壊せない大森は また「信じる」を選んだ
ーガチャー
(玄関の扉を開ける音)
大森は玄関のドアを開けた
大森
若井からの返事はない
大森
靴を脱いで 若井が居るはずの リビングに向かう
ーガチャー
(リビングの扉を開ける音)
大森
若井
ソファーに座っていた 若井が笑顔で顔を上げる
若井
若井
大森
一見、ご機嫌に見えるだろう
しかし、本当に機嫌がいい時は 玄関まで迎えに来るはずだ
若井
若井
若井が冷蔵庫に向かう そしてガラスのコップを手に取る
若井
若井がコップを大森に見せる
花の模様が書いてある 花の色は青と赤 若井とお揃いで買ったコップだ
大森
大森
若井がにっこりと笑って コップを大森に渡す
大森
飲もうと口を近づけると ツンとした匂いがする
大森
塩素の匂いだ
食器を消毒した残り香とか そんなレベルじゃない
大森
大森は部屋を見渡す すると台所にハイターが置いてある
若井
若井
大森は高速で頭を回転させる どうにかして飲まない流れに 持って行きたい
大森
大森
若井
若井
若井
大森
大森は若井の様子を伺う
若井
若井
大森
大森
大森
若井
大森
大森
若井がコップを見つめる
若井
若井
大森
大森
大森
突然、若井が大森に踏みよる
大森
腕を強く、ぐっと掴んで 引き寄せる
大森
そして笑顔で言い放つ
若井
若井
もう逃げ道がない 大森は両手でコップを持つ
大森
恐る恐る コップの縁を唇にもっていく
大森
コップを傾けて 中身の液体を口内に流し込む
大森
大森は反射的に 口内の液体を吹き出す
大森
液体は原液のハイターだった
てっきり飲み物の中に 混ぜた程度だと思っていた
大森
台所に走る もう既に舌がビリビリと痛む
水道を出して 必死で口内をすすぐ
若井
若井はその様子をただ眺めた
大森
大森にシンクに手を付けて 下を向きながら咳を繰り返す
若井
大森が顔を上げて 若井を見る
若井
若井
大森
若井
若井
若井が突然、叫ぶので 大森は肩を跳ねさせる
若井
大森
大森
大森
若井
若井
若井がスマホを 大森に差し出す
大森
大森が画面を見ると ネットの記事が写っている
大森とある女性が 匂わせをしているのでは? という記事がまとめられている
大森
大森が顔を上げると 若井の平手打ちが飛んでくる
大森
突然のことに 庇うことも許されず 頬に痛みが走る
ストレスと 耳に手が当たったことにより 耳鳴りを引き起こした
若井
大森は頬を抑えながら 若井を見つめる
大森
若井
若井が大森の上着を掴む そして上下に強くゆすった
若井
若井
反動で頭が、がくがくと動く 若井の怒号がぐるぐると回る
大森は頭を抑えながら叫んだ
大森
大森
大森
大森
必死の弁解も通らず 若井の蹴りがお腹に入る
大森
大森はお腹を抑えて座り込む 呼吸が荒れる
大森
若井
大森
反射的に謝る
若井
若井が膝について 大森の髪を掴んで 顔をあげさせる
大森
大森の身体が恐怖で震える 瞳から涙がとめどなく溢れた
大森
若井の平手打ちが再び 頬に痛みを与える
大森
若井
大森
大森
若井
若井が立ち上がる 大森はただそれを見つめた
若井
ハイターの入った ガラスのコップを手に取る
若井
大森
大森
若井
大森の顔の前に コップを持っていく
大森
大森はコップを受け取る
大森
コップの液体を見つめて思う
飲み干したら死ぬだろう 少量でも喉が焼けて 声が出なくなるかもしれない
大森
そう思うのに心が動かない
コップの縁に口をつける そっとグラスを傾けた
大森
舌に強い痛みが走る
どうにか飲み込もうとするが あまりの刺激に身体が それを吐き出そうと動く
大森
大森
大森は下を向いて吐く 唾液と一緒に ハイターが零れていく
若井
若井
若井
若井
大森
大森は息を飲む どちらも経験があるからだ
痛いを選ぶと 身体中にアザが出来る
気持ちいいを選ぶと 声が枯れるほど抱かれる
どっちもトラウマだ
大森
大森
大森はつい叫ぶ
若井のかかとが 頭を強打する
大森
大森
大森は涙目で見上げる
大森
大森
若井が顔を踏みつける 頭が地面にぶつかる
大森
若井
踏みつけている足に 徐々に体重をかける
大森
若井
大森
ぐっと一気に体重がかかる
大森
大森
若井
若井
若井の足が頭から離れる
大森は震えながら 地面を見つめた
若井
項垂れている大森の肩を そっと抱く
大森
この後を想像すると 恐怖で言葉が出ない
若井
若井
大森
大森は必死で首をふる 永遠に殴られるよりは こっちの方がマシだ
大森
大森
若井
大森