花園 アキラ
あー!忙しい!
花園 桜
アキラ、どうしたの?
花園 アキラ
姉さんか
花園 アキラ
委員会の仕事が立て込んでてさ
花園 アキラ
ヤバイんだよ
平田 静子
アキラさん、私も手伝います
花園 アキラ
お、本当か?
花園 アキラ
助かるぜ!
平田 静子
早く終わらせて、帰りましょう
花園 桜
うん!
花園 アキラ
おう!
花園 アキラ
やっと終わったぜ…
花園 桜
良かったねー
平田 静子
放送委員会は一番忙しいと前から聞いていましたが、これほどとは…
花園 アキラ
まあ、それなりに楽しいけどな
花園 桜
あ!
花園 アキラ
?
平田 静子
?
花園 桜
きゃー!カナトくんから電話だー💕
花園 アキラ
姉さん嬉しそうだなー
平田 静子
そうですね
花園 アキラ
私たちは恋愛に全然興味ないもんなー
平田 静子
同感ですね
花園 桜
聞いて二人ともー!
花園 桜
カナトくんが今日家に来ていいよだって!
花園 桜
やったぁー!
花園 アキラ
はいはい
花園 アキラ
母さんには伝えとくから
花園 アキラ
姉さんからも電話しときなよ?
花園 桜
うん!
花園 アキラ
帰るぞ、静子
平田 静子
はい
花園 桜
じゃあ、また明日ねー!
花園 アキラ
おう
叶 誠一郎
アキラ先輩…
花園 アキラ
うおっ!?
叶 誠一郎
どうしてそんなに驚くんですか?
花園 アキラ
いや、お前いきなり現れるからさ
花園 アキラ
ビビっちまったぜ…
叶 誠一郎
ずっと前から先輩の目の前にいましたが
花園 アキラ
悪い!気づかなかった!
叶 誠一郎
僕ってそんなに存在感がないんですか?
花園 アキラ
そのフードかぶるのやめたら少しはマシになるんじゃね?
叶 誠一郎
…
花園 アキラ
えっと…なんかごめん
叶 誠一郎
特に気にしてません
叶 誠一郎
昨日は…残れなくてすみませんでした
叶 誠一郎
バイトが入ってて、シフトをキャンセルできなかったんです
花園 アキラ
まあ
花園 アキラ
仕方ねえだろ
花園 アキラ
バイトしてねえの私と姉さんくらいだしな
花園 アキラ
それに無事に終わったんだ
花園 アキラ
気にすんな
叶 誠一郎
ありがとうございます
桜井 カナト
ねえねえ、桜を見なかった?
花園 アキラ
お前誰だ?
叶 誠一郎
誰ですか?
桜井 カナト
あれー?桜から聞いてない?
桜井 カナト
俺は桜井カナト。桜の彼氏だよ
花園 アキラ
まさかお前、姉さんの…!
桜井 カナト
え?じゃあ君がアキラちゃん?
桜井 カナト
桜と全然似てないねー
姉さサラサラストレートヘアの髪型に長いまつ毛、そして小柄な体型
花園 アキラ
似てなくて悪いかよ
桜井 カナト
別にー
桜井 カナト
俺が聞きたいのは桜のことだし
花園 アキラ
姉さんがどこにいるかなんて知らねえ
花園 アキラ
自力で探せ
桜井 カナト
冷たいなあ
桜井 カナト
性格も全然似てないねー
姉さんは誰にでも優しいことに対して、私は基本愛想が良い方ではない。
初対面の人間には、基本冷たい態度をとることが多い。
花園 アキラ
うるせえ、さっさと消えろ
桜井 カナト
はいはい、邪魔者は消えるよ
花園 アキラ
ちょっと待て
桜井 カナト
ん?何?
花園 アキラ
お前、うちの学校の生徒じゃねえだろ?
花園 アキラ
なんでここにいるんだ?
桜井 カナト
君に話す必要はないと思うけど一応言っておくよ
桜井 カナト
桜を迎えに来たんだ
花園 アキラ
…姉さんに何かしたら
花園 アキラ
お前を殴る
桜井 カナト
心配しないで
桜井 カナト
俺はそんなことしない
桜井 カナト
絶対に
花園 アキラ
…そうか
花園 アキラ
なら良いけど
桜井 カナト
それじゃ、そろそろ行くわ
桜井 カナト
お二人さん、仲良くねー
花園 アキラ
なんだあいつ
叶 誠一郎
さあ…
花園 アキラ
姉さんも、随分とチャラい男と付き合ったな
叶 誠一郎
確かに、金髪にピアスは驚きました
花園 アキラ
まあ、私にそんなことは関係ないけどさ
叶 誠一郎
何故ですか?
花園 アキラ
私、恋愛に興味ないんだよね
花園 アキラ
今の学校生活が一番好き
花園 アキラ
女子に囲まれて
花園 アキラ
一緒に飯食って
花園 アキラ
遊んで
花園 アキラ
帰るって言う何気ない日常が私は好きなんだ
花園 アキラ
だから
花園 アキラ
彼氏が欲しいなんて思ったことはないな
叶 誠一郎
そうですか…
今までアキラ先輩を好きになっていた僕は間違っていたのか?
叶 誠一郎
アキラ先輩
花園 アキラ
何だ?
叶 誠一郎
もし、先輩に告白してくる人がいたら、どうしますか?
花園 アキラ
うーん
花園 アキラ
断るかなー
花園 アキラ
だって興味ないし?
叶 誠一郎
…そうですか
叶 誠一郎
幸村先輩…
幸村裕一郎
ん?どうしたの叶くん?
叶 誠一郎
アキラ先輩って、男嫌いなんですかね?
幸村裕一郎
えー?そうかな?
幸村裕一郎
僕にはいつも優しいよ?
叶 誠一郎
それは先輩が女みたいだからでは…
幸村裕一郎
ええー?そんなぁ…
叶 誠一郎
特に意味はないので適当に流してください
幸村裕一郎
うう…
叶 誠一郎
そういえば僕、こんなこと話すために来たわけじゃないので
幸村裕一郎
じゃあ何しに来たの?
叶 誠一郎
アキラ先輩のことなんですけど…
幸村裕一郎
ん?アキラちゃんがどうかしたの?
叶 誠一郎
実は僕、アキラ先輩が好きなんですよ
幸村裕一郎
そうなんだー!って、えええ!?
叶 誠一郎
そこまで驚かれたら流石に僕も傷つきます
幸村裕一郎
ご、ごめん!
幸村裕一郎
でもなんでアキラちゃんが好きなの?
叶 誠一郎
…こんなのが理由になるかはわからないですけど
叶 誠一郎
この前の文化祭で竹中会長に無理やりウサギの格好させられた時に、アキラ先輩は僕に似合うように服をアレンジしてくれたんです
叶 誠一郎
そして、「私もやる!」って言って僕と同じ格好をしてくれたんです
叶 誠一郎
それと、アキラ先輩といると、自分が女嫌いだって事を考えなくなるんです
叶 誠一郎
男の人同様に接する事ができるんです
幸村裕一郎
うーん…
幸村裕一郎
叶くん、それはただの友達じゃないかな?
叶 誠一郎
いいえ、違います
叶 誠一郎
アキラ先輩と一緒にいると、平常心を装えなくなります
叶 誠一郎
心拍数が上がります
叶 誠一郎
好きじゃなかったらこの気持ちは何だというのですか?
叶 誠一郎
アキラ先輩が好きだってことしかないじゃないですか
竹中 美咲
何話してんだよ?
幸村裕一郎
か、会長!
叶 誠一郎
竹中会長…
竹中 美咲
何だ?相談か?私でよければ乗るぞ?
幸村裕一郎
叶くん、せっかくだから乗ってもらったらどうかな?
叶 誠一郎
そうですね
叶 誠一郎
竹中会長、真剣に聞いてください
竹中 美咲
ん?ああ…わかった
叶 誠一郎
実は僕、アキラ先輩が好きなんです
竹中 美咲
アキラ?それって花園アキラのことか?
叶 誠一郎
はい
竹中 美咲
あいつか…
幸村裕一郎
どうかしたの?
竹中 美咲
いや、あいつ男嫌いだからな
竹中 美咲
私と同じく
竹中 美咲
場合によっては告白したら殴られることもある
叶 誠一郎
…アキラ先輩、乱暴ですね
竹中 美咲
まあ、それはあまりにもしつこい時だけだ
竹中 美咲
そこに気をつければ怪我を負うことはない
幸村裕一郎
叶くん、大丈夫なの?
叶 誠一郎
そんな理由だけで僕は諦めませんよ
竹中 美咲
…ほう
叶 誠一郎
会長、嫌ならいいです
叶 誠一郎
アキラ先輩への告白、手伝っていただけないでしょうか?
竹中 美咲
ああ、良いぞ
叶 誠一郎
本当ですか…!
竹中 美咲
ああ。お前、見る目があるな
叶 誠一郎
どうしてですか?
竹中 美咲
花園桜と花園アキラが双子だということは知ってるだろ?
叶 誠一郎
はい
幸村裕一郎
知ってる…
竹中 美咲
ほとんどの男子達は、わかってると思うが桜を選ぶんだ
竹中 美咲
何故だか分かるな?
叶 誠一郎
はい
叶 誠一郎
桜先輩の方が、優しくて愛想がいいから、ですよね?
竹中 美咲
そうだ
竹中 美咲
だからみんな、桜を選ぶ
竹中 美咲
だが、アキラの方も負けないくらい人気がある
叶 誠一郎
え…?
幸村裕一郎
実は僕も、アキラちゃんのファンなんだ…
叶 誠一郎
アキラ先輩が好きなんですか?
幸村裕一郎
ううん!そういう意味じゃない!
幸村裕一郎
尊敬してるって意味だよ!
叶 誠一郎
そうですか
竹中 美咲
アキラの場合は見た目とのギャップだ
竹中 美咲
見た目はほとんど桜と変わらないが、性格は正反対
竹中 美咲
そこに人気があるらしい
叶 誠一郎
そんなことだけですか
叶 誠一郎
みんな、アキラ先輩の優しさを知らないんじゃないですか?
竹中 美咲
…そうだろうな
幸村裕一郎
みんな、見た目にこだわるもんね
竹中 美咲
見た目も、桜の方が可愛らしいからな
叶 誠一郎
でも、僕はやっぱりアキラ先輩が好きです
竹中 美咲
…そうか
竹中 美咲
出来る限りの事はしてやる
竹中 美咲
そのかわり、生徒会の仕事を少し手伝ってもらうぞ
叶 誠一郎
はい、喜んで
竹中 美咲
桜
花園 桜
どうしたの?美咲
竹中 美咲
実はな…叶がアキラのことを好きらしいんだ
花園 桜
…どういう理由で?
竹中 美咲
どうやら、あいつの優しさに触れたらしくてな
竹中 美咲
それから好きになったそうだ
花園 桜
優しさかあ…
花園 桜
叶くんなら、きっと大丈夫だと思う
花園 桜
私にも手伝って欲しいんでしょ?
竹中 美咲
ああ。そうだ
花園 桜
わかった!頑張るね!
竹中 美咲
本当か!?
花園 桜
うん!
花園 桜
アキラも、ちゃんと愛されるべきだよ
花園 桜
男の人に
竹中 美咲
?
花園 桜
私のせいで、アキラはずっと嫌な思いをしてきた
竹中 美咲
何があったんだ?
花園 桜
私とアキラは、ずっと比べられてきた
花園 桜
結果はいつも同じだった
花園 桜
私の方が可愛いだとか、優しいだとか、話しやすいとか…
花園 桜
男の子達はみんな言ってた
花園 桜
しかも、アキラの前でね
花園 桜
だからアキラは、男の子を嫌いになった
花園 桜
見た目しか見ない男の子達を、嫌悪するようになった
花園 桜
誰も本当のアキラを見ようとしてくれなかったの
花園 桜
私のせいで、アキラに悲しい思いをさせちゃったから
花園 桜
今度は、私がアキラを助ける番!
竹中 美咲
…そうか
竹中 美咲
じゃあ、一緒に頑張ろう!
花園 桜
うん!
花園 桜
静子ー!
平田 静子
どうしました?桜さん
花園 桜
聞いて!
花園 桜
叶くんがアキラのこと好きなんだって!
花園 桜
だから、静子も手伝ってくれないかな?
平田 静子
アキラさんと叶くんが付き合えるように?
花園 桜
うん!
平田 静子
構いませんが…
平田 静子
肝心なのはあなたですよ
花園 桜
何で?
平田 静子
叶くんならともかく、あなたの彼氏さんは何て酷い振る舞いの方なんですか!
花園 桜
ええっ!?
平田 静子
あんなチャラチャラしたヤンキー男の何が良いっていうんですか!!
花園 桜
わああっ!
花園 桜
静子落ち着いてー(泣)
平田 静子
いいですかー桜さん
平田 静子
あの女好きそうな男に本気になってはいけませんよー
平田 静子
だいたいあの桜井カナトというチャラチャラしてる男は…
花園 桜
うわーん(泣)!!
花園 アキラ
おいおい、何してんだ静子
平田 静子
す、すみません、桜さんの将来のことを考えると、つい熱くなってしまって…
花園 アキラ
あの桜井カナトのことか?
平田 静子
はい
平田 静子
私には桜さんを傷つける男にしか見えません
花園 アキラ
考えすぎだ静子
花園 アキラ
あいつは、ちゃんと姉さんを大切にしてくれる
花園 アキラ
目を見たら分かるさ
花園 アキラ
な?姉さん
花園 桜
うん…
平田 静子
桜さんすみません
平田 静子
言い過ぎました…
花園 桜
いいよ静子
花園 桜
私のこと考えてくれたんだよね
花園 桜
ありがとう!
平田 静子
いえ…
花園 アキラ
いいな、姉さんは
花園 アキラ
愛してくれる男がいるんだからよ
花園 桜
ふふ…
花園 アキラ
なんだよ?
花園 桜
アキラ、あなたにもいるよ?
花園 桜
そういう人
平田 静子
はい、その人なら、あなたはきっと幸せになれますよ
花園 アキラ
???
幸村裕一郎
(ちょ、ちょっと叶くん!)
幸村裕一郎
(押さないで!)
叶 誠一郎
(僕に言わないでください…)
叶 誠一郎
(教室の掃除用具箱に男2人で隠れるなんて先輩が無茶なこと言うから…)
幸村裕一郎
(仕方ないじゃん!)
幸村裕一郎
(いきなりアキラちゃんがきたんだから!)
叶 誠一郎
(あ、3人とも出て行きましたよ)
幸村裕一郎
(よし、出よう!)
幸村裕一郎
うわっ!
叶 誠一郎
先輩…!
叶 誠一郎
先輩のドジ
幸村裕一郎
見てないで助けてよー!
叶 誠一郎
わかりましたよ
幸村裕一郎
あれから掃除用具を全部綺麗に片付けるのに
幸村裕一郎
1時間もかかっちゃった…
叶 誠一郎
先輩が箒につまずかなければよかった話ですが
幸村裕一郎
ごめんって💦
竹中 美咲
あ、ちょうどいいところに来た
竹中 美咲
幸村、ちょっとこれ来てくれないか?
幸村裕一郎
これ…女物の服…
竹中 美咲
いいから着ろ
幸村裕一郎
わ、わかった!
竹中 美咲
叶、今から生徒会室に行くぞ
叶 誠一郎
仕事の手伝いですか?
竹中 美咲
いや、今回は違う
竹中 美咲
お前に協力するために、生徒会室でやることがある
叶 誠一郎
わかりました
叶 誠一郎
(嫌な予感がする…)
幸村裕一郎
(僕、どうなっちゃうんだろう…)
幸村裕一郎
うわぁぁぁぁ!
竹中 美咲
おお!似合ってるぞ幸村!
叶 誠一郎
幸村先輩、女だったんですね…
幸村裕一郎
違うよ!
幸村裕一郎
着替えたいのに制服が見当たらないんだよー!
花園 桜
似合ってるよ!幸村くん!
平田 静子
お似合いです
竹中 美咲
じゃあ、始めるぞ
竹中 美咲
まず、幸村にアキラ役をやってもらう
竹中 美咲
そして、アキラ役の幸村に告白をする
幸村裕一郎
だから僕セーラー服着せられたの!?
竹中 美咲
悪いな、幸村
竹中 美咲
終わったら制服はすぐに返してやる
幸村裕一郎
うう…
叶 誠一郎
いきなり告白の練習とか言われても…
竹中 美咲
心配するな
竹中 美咲
相手は幸村だ
叶 誠一郎
いや、アキラ先輩と幸村先輩の性格はかなり違うと思うんですが…
竹中 美咲
細かいことは気にするな!
竹中 美咲
ほら、やる!
叶・幸村
は、はい!!
幸村裕一郎
うう…時間を巻き戻して…
花園 桜
まさか先生が来るとは思わなかったよー
叶 誠一郎
幸村先輩、すみません、僕のせいで…
幸村裕一郎
…仕方ないよ
幸村裕一郎
会長
幸村裕一郎
もう2度とやりたくない💦
竹中 美咲
1回で十分だ
竹中 美咲
ありがとう
花園 アキラ
はぁ…
花園 アキラ
またか…
花園 桜
アキラ、どうしたの?
花園 アキラ
また手紙が入ってんだよ
花園 アキラ
邪魔だから捨てるわ
花園 桜
だ、ダメだよ!
花園 アキラ
えー
花園 アキラ
じゃあ姉さん代わりに行って来てよ
花園 桜
それもダメ!
花園 桜
とりあえず見せて!
花園 アキラ
お、おう…
花園 桜
えっと…
花園 桜
今回は6通かあ…
花園 桜
1通目、「教室に来てください」
花園 桜
2通目、「体育館に来てください」
花園 桜
3通目、「好きです、付き合ってください」
花園 桜
4通目「俺と付き合え」
花園 桜
5通目「校庭に来て」
花園 桜
6通目「部室で待ってます」
花園 アキラ
…
花園 アキラ
なんでクソみたいな男しか来ないわけ?
花園 桜
そ、そんなこと言われても…
花園 アキラ
まあいいや、それ全部捨てといて
花園 桜
ええっ!
花園 アキラ
そんな紙切れとっといたってメリットないだろ
花園 アキラ
よろしくー
花園 アキラ
私先帰るわ
花園 桜
あ、アキラ!
花園 アキラ
はぁ…
そう考えてるうちに、色々とあって疲れていたせいか眠ってしまった。
花園 アキラ
あー放送委員長なんかやらなきゃよかったぜ!
私のために残ってくれている先生のためにも、早く終わらせなければならない。
花園 アキラ
やっと終わった…
花園 アキラ
どうした、姉さん
花園 桜
アキラ!一緒に帰ろう!
花園 アキラ
姉さんも残ってたのか?
花園 桜
うん、美咲の仕事を手伝ってたの!
花園 アキラ
そうか
花園 アキラ
今どこ?
花園 桜
広場!
花園 アキラ
わかった、今から行く
花園 アキラ
あれ?姉さんいないな…
叶 誠一郎
アキラ先輩?
花園 アキラ
誠一郎!
花園 アキラ
なんでお前がここに?
叶 誠一郎
竹中先輩に「幸村が広場にいるから一緒に帰ってやってくれ」と言われたので来ました
花園 アキラ
私は姉さんに「広場にいるから一緒に帰ろう」って言われた…
叶 誠一郎
…なるほど
叶 誠一郎
その手を使ったか…
花園 アキラ
何ブツブツ言ってんだ?
叶 誠一郎
どうやら僕たち、騙されたみたいです
花園 アキラ
騙されただと?
叶 誠一郎
あ、すみません、失礼します
花園 アキラ
お、おう
竹中会長からの「幸村の犠牲を無駄にするなよ!」とのメールが来ていた。
花園 アキラ
誰からだ?
叶 誠一郎
幸村先輩と竹中会長からですよ
叶 誠一郎
「帰れなくなったから、アキラと帰ってくれ」って書いてあります
花園 アキラ
そっか
花園 アキラ
じゃあ…
叶 誠一郎
(もう帰らないといけないのか…)
叶 誠一郎
(どうやって告白しよう…)
花園 アキラ
何ボーッとしてんだ?
叶 誠一郎
はい?
花園 アキラ
遊ぶぞ!
叶 誠一郎
な、何言ってるんですか…!
花園 アキラ
せっかく広場に来たんだ
花園 アキラ
しかも噴水があるんだぞ?
花園 アキラ
ここは、水遊びしかやることねえだろ!
叶 誠一郎
で、でも、先生に…
花園 アキラ
こんな時間にいると思うか?
叶 誠一郎
…思いません
花園 アキラ
よーし
花園 アキラ
それっ!
叶 誠一郎
!!
叶 誠一郎
…やりましたね、先輩
叶 誠一郎
はっ!
花園 アキラ
!
花園 アキラ
あはははは!
叶 誠一郎
ははっ…!
花園 アキラ
っ!
花園 アキラ
(何だ、今の)
花園 アキラ
(ただ誠一郎の笑顔を見ただけなのに…)
花園 アキラ
(何かがおかしい…)
花園 アキラ
(まさか、ね)
花園 アキラ
はい、タオル
叶 誠一郎
ありがとうございます
叶 誠一郎
先輩、こっちに来てください
花園 アキラ
何でだよ?
叶 誠一郎
拭いてあげます
花園 アキラ
(やばい、今そんなこと言われたら…)
花園 アキラ
(でも、せっかくだからお願いするか)
花園 アキラ
おう、頼むぞ
叶 誠一郎
先輩って、男嫌いなんですか?
花園 アキラ
んー、まあ、簡単に言えばそうかもな
叶 誠一郎
じゃあ僕は大丈夫なんですか?
花園 アキラ
そうだね
花園 アキラ
お前とか、裕一郎とかは全然大丈夫!
叶 誠一郎
そうですか
叶 誠一郎
じゃあ、幸村先輩と僕はどっちの方がいいですか?
花園 アキラ
どっちって言われても…
花園 アキラ
迷うなあ…
叶 誠一郎
僕って言わないと…
花園 アキラ
あっ、ちょっ…あはははは!
花園 アキラ
くすぐるなー!!
叶 誠一郎
さあ、どっちですか?
花園 アキラ
ふふふふふふふ…
花園 アキラ
わははは!
花園 アキラ
(もちろん、誠一郎だ)
花園 アキラ
(でも、正直に答えていいのかな…)
花園 アキラ
(まあ、答えないと、このくすぐり地獄は終わらないわけだし…)
花園 アキラ
誠一郎がいい!
叶 誠一郎
…ありがとうございます
花園 アキラ
ふう…
叶 誠一郎
じゃあ、僕の恋人になってくれますか?
花園 アキラ
…は?
花園 アキラ
お前大丈夫か?
花園 アキラ
正気か?
叶 誠一郎
大丈夫ですし、正気です
叶 誠一郎
今から言うことは、本気ですからね
叶 誠一郎
先輩、好きです
叶 誠一郎
(竹中会長にいろんな告白の仕方を教わったけど…)
叶 誠一郎
(そんな言葉だけでの告白なんて、僕にはできない)
叶 誠一郎
(やるなら、正統派だ)
花園 アキラ
!!!
でも、遊びでそんなことを言ってるとは思えなかった。
花園 アキラ
…ん
「絶対に裏切らないと言う約束をしろ」ということだろう。
花園 アキラ
!
叶 誠一郎
僕は、決して裏切りませんよ
花園 アキラ
ふっ…
花園 アキラ
よろしく
花園 アキラ
誠一郎
叶 誠一郎
!
叶 誠一郎
僕と、付き合ってくれるんですか?
花園 アキラ
…ああ
花園 アキラ
私をこんな気持ちにさせたのは、お前だけだ
花園 アキラ
どうやら、お前に惚れたらしい
花園 アキラ
恋など一生しないと思っていたんだがな
花園 アキラ
お前に会えてよかったよ、誠一郎
叶 誠一郎
僕もです
叶 誠一郎
先輩に会えて、よかったです
私たちはそう言って笑いながら、繋いだ小指を見つめていた。
母
アキラ、帰り遅いわねー
父
夜遊びでもしてるんじゃないのか?
花園 桜
さっきから電話してるのに繋がらないー!!
母
あらまあ、ご飯が冷めちゃうわ
花園 桜
あ、メールきた!
花園 桜
「今委員会の仕事が終わったから、走って帰る!」だって
父
委員会かあ
母
放送委員会だったかしら?
花園 桜
そうだよ
花園 桜
一番忙しい委員会なんだ…
父
それは大変だ
花園 桜
ねえ、ご飯食べるのもうちょっと待っててあげようよ!
母
そうね
父
そうだな
アキラが送ったのは、「誠一郎の彼女になった」という一文。
桜は飛び跳ねたい気持ちを抑えて、笑顔で携帯に「良かったね!」と打った。