桐谷 風音
はぁぁ…
月見里 圭
…なんすか,らしくもなく深刻そうな顔して
桐谷 風音
いやぁね…この前魔の13階段の検証,したじゃん?
月見里 圭
あぁ…はい
桐谷 風音
で,私が実証,ねこちゃんが撮影でやってたんだけど…
根古谷 蜜
これがそのカメラやったもんや
月見里 圭
…ん?なんで過去形…?
根古谷 蜜
ほれ
月見里 圭
わっ,投げたら危なっ…!って…これ…
壊れてるじゃないすか…
壊れてるじゃないすか…
桐谷 風音
そうなのよ…あのとき…
根古谷 蜜
階段から落ちた先輩とお前が踏み潰して,見事にこのザマや
桐谷 風音
やっぱ痩せとけばよかった…!
月見里 圭
いや体重とかに関わらず階段から落ちた高校生二人分の体重とか…
そりゃあカメラも耐えられませんよ…
そりゃあカメラも耐えられませんよ…
月見里 圭
データは残ってないんすか?カードも割れたとか?
桐谷 風音
いやね…データを保存するカードは生きてたのよ…でも…
桐谷 風音
なかったの!検証の写真やら動画が!
月見里 圭
…それは,まさか…
根古谷 蜜
……
桐谷 風音
そう,ねこちゃんが…撮ってなかったのよ…
根古谷 蜜
いやだってほんまに起こるなんて思わへんやん!
桐谷 風音
折角のネタが…カメラが…
月見里 圭
その2段パンチでこの落ち込みってわけですか
根古谷 蜜
そういうことや
月見里 圭
…蜜さんもうちょっとなんかないんすか…?
根古谷 蜜
いやいやあんなん信じる方がおかしいやろ…
根古谷 蜜
次からはちゃんと撮る。はよ機嫌直してや先輩
桐谷 風音
…「次」?今,次って言った?
根古谷 蜜
げっ
桐谷 風音
じゃあ,次の八不思議に行こう!
根古谷 蜜
くっそ口滑らした…
月見里 圭
ドンマイっす蜜さん
桐谷 風音
何言ってんの,圭くんも行くに決まってるでしょ
月見里 圭
なんでなんですか…
桐谷 風音
危ない時に助ける担当
月見里 圭
不名誉なこと この上ないすね
桐谷 風音
そんで次の八不思議がね…
「見返り地蔵」
根古谷 蜜
名前からして…なんかしてくれるけど見返りがいるってとこか?
桐谷 風音
そういうこと
根古谷 蜜
そういえば…なんか古くて小さい木造のなんかがあった気も…
桐谷 風音
祠だね。そこがお地蔵様の家みたいなものだよ
月見里 圭
これにも噂が?
桐谷 風音
大雑把にいえば「願いが叶う」って噂のお地蔵様なんだけどね
桐谷 風音
名前の通り「見返り」を求められるらしくって
月見里 圭
なにを見返りにすればいいんですか?
桐谷 風音
そこが問題なのよね
桐谷 風音
で,ある生徒が…
サクラ
はよーっす!
クラスメイト
ねぇ聞いた聞いた?
サクラ
え?なにが?
クラスメイト
ハナの話だよ!
クラスメイト
なんでも,佐藤先輩と付き合い始めたんだって!
サクラ
佐藤先輩って…あの文武両道でイケメンな?いや別の人?
クラスメイト
その佐藤先輩!
サクラ
いや嘘でしょ。あんな地味子が?
佐藤
ごめん,ハナいる?
ハナ
タクヤくん!
クラスメイト
うっわ,もう名前呼びまでしてる…ガチじゃん
クラスメイト
ハナちゃん,本当に佐藤先輩と付き合ったんだね!
ハナ
あはは…お恥ずかしい…
クラスメイト
ねぇねぇ,どうやったの?
ハナ
えっと…ね,信じてもらえるかわからないんだけど…
ハナ
「宝物地蔵」って…知ってる?
クラスメイト
あぁ,なんか願い叶うって言われてる…?
…まさか…
…まさか…
ハナ
そう,それにお願いをしたら…付き合えたの!
クラスメイト
うっそぉ!…でもあれって,「宝物」がいるんじゃ?
ハナ
うん…だから宝物のぬいぐるみを見返りとしてお供えしたの
クラスメイト
マジか〜。じゃ,私もお願いしちゃおっかな?w
ハナ
ほんとに叶うんだってばー!
ハナ
じゃあ,私ここだから!
佐藤
うん。気をつけてね!
ハナ
うん。タクヤくんもね!
佐藤
じゃあ,また明日!
ハナ
うん!じゃあね!
ハナ
私本当に…佐藤先輩と…ううん,タクヤくんと付き合ってるんだ…
ハナ
信じられない…!
ブロロロッ…
浮かれたハナは気付いていなかった
横を通り過ぎたトラックの紐が緩み…
グシャッ!
積まれた鉄板が落ちてきていたことに
ハナ
っ…ぎゃあああああああっ!!!
「コレジャナイ…」
─to be continued…