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とある物書きの挑戦譚　【第三期】

第10話 - 「これからよろしくね」

513

2022年05月14日

#ファンタジー

#一次創作

#異世界転生

#転生

#異世界

シゼ

えーっと、えっと…。

シゼ

ブラシと、布巾と、枕カバーと…あと、お掃除道具…

シゼ

うん、持ってるね…忘れ物ない。

シゼ

よし、

シゼ

早速マリアのところへ行こう。

「おい、アレを見ろ。」

シゼ

！

「アレがもう1人のクリジア人、シゼ・ノーディンだ。」

「本当だ…なんて醜い女なんだ、田舎臭いったらありゃしない。」

「クマイド・カーリアに情報を与えたのは間違いなくアイツだろうな。」

「ああ、」

「アイツは従者のテストをカンニングした女だ。我々を脅かすことは大抵あの女が起こしているに違いない。」

「のうのうと廊下を歩くなんて、立場を弁えることさえできないようね。」

「主人のマリアごと、とっとと牢屋に入れられて処刑されればいいのに。」

シゼ

…

シゼ

（私に対しての悪口が交わされている…）

シゼ

（前まではこんなことなかったのに、クマイド・カーリアのことが影響してるんだろうな。）

シゼ

（ここは我慢我慢…。）

ミミ

そこのクリジア人、待ちなさい！

シゼ

！

シゼ

（クリジア人…私のことかな？）

シゼ

？…

ルリ

フッフッフッ…。

ルリ

とうとうカンニングしたことがバレて焦ってるようね？

リサ

私の靴を舐めて詫びるなら今のうちよ！

シゼ

！

シゼ

（この声は…）

「帰れ！」

「認めるなら今のうちよ！」

シゼ

あー…！

シゼ

テスト返しの時にいた三人娘か。

ミミ

リサ、ミミ、ルリよ！覚えなさい！！

ルリ

この前はよくも私達を馬鹿にしてくれたわね。

リサ

あの時の罪は重いわよ！！

シゼ

いや通り過ぎただけですけど。

ミミ

黙りなさい！

ルリ

今日は貴方を徹底的に痛みつけてやるわ！！

リサ

今からこの問題を解いてみなさい！そのあと貴方を処刑台に突き出してやるわ！

シゼ

（えぇー。）

シゼ

（今急いでるんだけどなぁ。）

シゼ

後にしてもらえませんか？

ミミ

！…

ミミ

おや、おやおやぁ〜？

ミミ

このクリジア人、カンニングできないからって逃げるのかしら〜？

シゼ

！…

ルリ

っぷ！

ルリ

ぷぷっ、あはは！

ルリ

やっぱり〜！貴方っておバカさんなのね！

ルリ

カンニングできないからって、私達から逃げるのね！？滑稽だわ〜！

ミミ

貴方、馬鹿なの？ねぇ、馬鹿なの？

シゼ

…。

シゼ

ﾁｯ…。

シゼ

ルリ

おーっほっほっほ！

リサ

シゼ・ノーディンのおっばかさ〜ん！

ミミ

ローゼ様にいいつけてやるわ！貴方が正真正銘のお・ば・か・さんだってね〜！

シゼ

ハイ解けました。

ぺっ！（シゼが紙を返す）

シゼ

全問正解して途中式も検算もしてます。

シゼ

それでは。

ミミ

！？

ルリ

えっ！

リサ

ええ…。

リサ

なにそれかっこよ…。

シゼ

（はー、おわった。）

シゼ

（早くマリアのところに行こう）

シゼ

（この階段を登ってー、と）

従者

なぁ、

従者

もし背の高い方のクリジアの女を見つけたら、一足先に牢屋にぶち込んでやろうぜ。

シゼ

！？

（階段の上でギリカール人の声がする）

シゼ

（背が高い方…私だ！）

従者

で、でもいいのか？

従者

ルドルフに無断でクリジア人を捕まえるなんて

従者

別にいいんじゃね？

従者

むしろ、ルドルフが遅すぎるのが悪りぃんだよ。

従者

アイツのせいで最近セオドアがお嬢様にデカい態度をとるようになってるだろ。未熟なんだよ！アイツは！

従者

そ、そうだな。じゃあ捕まえよう！

シゼ

っ…。

シゼ

（やばい…）

シゼ

（やばいぞ、レンのところに帰りたくなってきた。）

シゼ

（私…マリアのところに行けるかな？）

シゼ

（いや、どんな手を使っても行くんだ）

シゼ

（マリアが待ってる、頑張って進まなきゃ…！）

シゼ

よし！

シゼ

（マリアの部屋の前までなんとか辿り着いた！）

シゼ

あとはここに入るだけ、よし…！

タッ！

猫

にゃーん。

シゼ

！？

（突然、一匹の黒猫がシゼの前に現れる）

猫

にゃーん、にゃにゃ！

従者

あははっ！待て〜！

従者

可愛い黒猫め、捕まえてモフモフしちゃうぞ〜っ！

従者

！

シゼ

あ、

シゼ

（さっきの人だ。）

従者

いたぞ！クリジア人だ！！

従者

とっとと捕まえろ！！

シゼ

うわぁぁ！

シゼ

わっ…

シゼ

えっ、え…？

（別室に運ばれたシゼの周りを沢山の男達が取り囲む）

シゼ

（どうしよう、捕まっちゃった！私…殺されるのかな？）

シゼ

（私はただマリアの部屋に行きたいだけなのに、なんでこんな目に遭わないといけないの…！）

従者

ノーディンちゃん、残念だったねぇ？あともう少しでお友達のお部屋だったのにwww

従者

僕達のような優秀種が君みたいな愚劣な女を見つけられないと思った？

従者

残念！僕らギリカール人は特別な人種だから、不可能はないんだよねー！僕ら優秀だからさ！ごめんね！！

シゼ

…。

シゼ

（嘘つけ）

シゼ

（猫のおかげで偶然捕まえられただけのくせに）

シゼ

…。

ギロッ！（シゼが黙って男達を睨む）

従者

？

従者

あ？

従者

なんだよその目は、黙ってないでなんか言えよ！！

ガンッ！

シゼ

うあっ！

（シゼの顔を男が蹴る）

（体が縄で縛られたシゼは抵抗できずに倒れてしまう）

シゼ

うっ…。

従者

お前、自分の立場をわかってんのか。

従者

今この場で殺してやってもいいんだぞ？

シゼ

ッ…。

従者

…。

従者

チッ！

従者

黙ってやがる、やっぱクリジア人はブスだな。

従者

まぁまぁ、怯えてんじゃねぇの？

従者

ていうか、とっとと本題に入ろうぜ。

従者

このクリジア人どうするよ？

従者

え〜…どうしよう…。あ、奴隷にして売るとか？コイツ、肌は綺麗だから高く売れそうだぜ。

従者

それじゃあつまんないよ。

従者

えー？

従者

あ、

従者

じゃあこういうのは？

従者

僕達のご主人様、ベル様の奴隷にする。

シゼ

！

シゼ

ベル様…？

シゼ

（どこかで聞いたことあるような…セオドアのお嫁さんだっけ？）

従者

そういうのベル様好きそうだし、

従者

ベル様の従者なら…

シュッ！（シゼの体に巻き付いた縄を解く）

シゼ

！？

従者

いつでも俺たちの遊び道具にもなれるしね。

シゼ

（え、ちょっと待って！？）

従者

早速遊ぼうぜ。

シゼ

！

シゼ

な、なっ、なんですか。

シゼ

うわっ！

従者

暴れんな。

従者

死にたくなかったら、大人しくしてろ。

シゼ

えっ、ちょっ…やだ！

従者

ベル様は僕らの主人。

従者

だからこの子がベル様の奴隷に似合うか、僕らがチェックしないとね。

従者

18歳のクリジア人とか初めてだわー。

従者

欲を言うなら、この子よりターナーとやってみたかったけどな。あの女、脚だけはイイんだ。

シゼ

ッ…！

シゼ

（やだ！気持ち悪い…！）

シゼ

や…っ

シゼ

やめて！来ないで！！

シゼ

それ以上したら…踏みつけるぞ！！

シゼ

やぁぁぁぁあぁあッ！！

ガチャッ！

シゼ

！…

（突然扉が開いて誰かが入ってくる）

シゼ

？…

シゼ

（誰？横に倒れてるからよく見えない…。）

シゼ

（あの足元は…雰囲気的にセオドア様？）

…。

従者

！

従者

なんだお前かよ

従者

君、取り調べ遅すぎ。僕らの功績を奪いにきたn…

従者

グボァッ！！？

従者

！？

従者

！？

シゼ

？…

シゼ

！

ｺﾛﾝ、（シゼの目の前に一本の歯が転がる）

従者

ぎ、ぎゃぁぁぁぁあッ！？

従者

…は、は、歯がぁぁあぁ！

…。

ハァ、

ルドルフ

そっちこそ、僕のお仕事とらないでもらえますか？

ルドルフ

新人いびりに綺麗な女性を使うなんてナンセンスですよ。

（ルドルフが別の男の顔を思い切り床に叩きつける）

従者

うがぁぁあ…ッ！！

従者

お、おいやめろ！

従者

俺たちが誰の従者だと思ってんだ！お前の主人の嫁だぞ！

ルドルフ

そんなこと知ってますよ。

ルドルフ

あんたらみたいな男を嫁入り道具にするなんて、ベル様しかしませんからね。

従者

！、お前！

従者

俺らのベル様を侮辱するのか！

従者

ギャァァア！

従者

お、おい！お前…っ！

ルドルフ

…ッハァ。

ルドルフ

“俺らの主人を侮辱するのか”？

ルドルフ

このオレを侮辱したお前らが言ってんじゃねぇよ。この格下が。

ルドルフ

いいか？

ルドルフ

オレはセシル様と召使いであり、セオドアの執事だ。

ルドルフ

クリジア人の取り調べは、セシル様が直々に頼んできたオレだけの仕事。

ルドルフ

あの方が

ルドルフ

オレだけに

ルドルフ

この仕事を頼んだんだ。

ルドルフ

ここから先、オレが何が言いたいか分かるか？

（ルドルフが突然、片手で窓を割る）

従者

ひっ…！？

ルドルフ

お前らがやったことは、オレを含めセシル様を侮辱するに等しいことだ。

ルドルフ

ギロチンで最後を迎えたくなかったら、とっととそこらの雑魚まとめて出てけ！！

従者

！！…

従者

く、

従者

くそ！おお…お、覚えてろ！

従者

このクソガキが！…うわぁぁあん！

ダダダダダッ！（従者達が逃げていく）

ルドルフ

…。

ルドルフ

ガキじゃねーし、29の大人だわ。ﾎﾞｿｯ

シゼ

…。

シゼ

（た、助かった…）

シゼ

（入ってきたのセオドア様だよね…声がちょっと違った気がするけど）

シゼ

せ、

シゼ

セオドア様、ありがとうございまし…

ルドルフ

！

ルドルフ

セオドア？

シゼ

ひっ！？

ルドルフ

お、シゼちゃん。

シゼ

（れ、レンが言ってたルドルフだ！！）

シゼ

（やばいやばいやばい！）

シゼ

（一難去ってまた一難とはこのことか！はやく逃げないと！今度はこの人に捕まる！）

ルドルフ

！

ルドルフ

ちょい待て

ガシッ（ルドルフがシゼの手を掴む）

ルドルフ

シゼ

！

ピトッ（ルドルフがシゼの首筋に触れる）

ルドルフ

…やっぱり、

ルドルフ

首に縄の後がついてるな。…冷たいハンカチあるけど、使う？

シゼ

えっ…

シゼ

えっ、えと…

ルドルフ

使う？

シゼ

あっ…えと、

シゼ

じゃ、じゃあ…

シゼ

はい。

ルドルフ

ん、

ピトッ

シゼ

！

シゼ

（つめたい…）

ルドルフ

うわ、脚にも跡ついてんじゃん。

ルドルフ

折角綺麗な肌してんのに…。ごめんね、ウチの先輩が。

シゼ

あ、いえいえ…。

ルドルフ

本当にごめんね〜。

ルドルフ

あっ、

ルドルフ

良かったらチョコレート食べる？セオドアから盗んできたやつなんだけど結構美味いよ。

シゼ

！、えっ

ルドルフ

はい、どーぞ。

シゼ

あっ…。

シゼ

…。

シゼ

い…いただきます。

数分後

シゼ

んん〜…。

ルドルフ

おお、そのチョコ気に入った？

シゼ

は、はい。とっても美味しいです。

ルドルフ

そっか〜、それはよかった。

ルドルフ

またセオドアから盗んでくるよ。

シゼ

それはやめてあげてください。

ルドルフ

いいんだよ、アイツ甘いもの苦手なんだ。

シゼ

！、そうなのですか…。

シゼ

牛乳以外にも苦手なものがあるんですね。

ルドルフ

あ、そうそう。そうなんだよ。

ルドルフ

ていうか、セオドアがミルク嫌いなのよく知ってるね？

シゼ

はい。だいぶ前にセオドア様が教えてくださったんです。

ルドルフ

ふーん、そうなんだ。

ルドルフ

！、あぶね。

ルドルフ

シゼちゃん、ちょっと待っててね。俺この窓の破片回収するから。

シゼ

あ、はい。わかりました。

シゼ

…。

シゼ

（ん？）

シゼ

((((待って？数分前までの私、この人から逃げようとしてたんだよね？))))

シゼ

（なんで今私この人を待ってるんだろう？）

シゼ

（この隙に逃げた方が良かったりする？…逃げた方がいいのかな？）

シゼ

（どうしよう…。）

ルドルフ

シゼちゃん。

シゼ

ﾋﾞｸｯ！

シゼ

あ、はい！

ルドルフ

あのさ

シゼ

（やばい、）

シゼ

（逃げようとしてたことバレたのかな…？）

ルドルフ

ごめんね。

シゼ

えっ？

ルドルフ

レンドール・ブラストくんだっけ？

ルドルフ

その子から大体聞いてるんでしょ？俺のこと。

シゼ

！…

シゼ

はい…。

ルドルフ

そっか、やっぱり聞いてたんだね。

ルドルフ

あの子の言ってることは本当だよ。

ルドルフ

俺は、仕事でシゼちゃんのことをずっと前から調べてた。

ルドルフ

知らない男から自分のことを細かく調べられてて、怖い思いをさせてしまったこと、本当に申し訳ない。

ルドルフ

本当に、ごめん。

シゼ

！…。

ルドルフ

…シゼちゃんとマリアちゃんのことは俺がなんとかするよ。

ルドルフ

調査書には「クマイド・カーリアとの関与無し」って書くつもりだし、

ルドルフ

クリジア人に対しての嫌がらせも出来るだけ減らせるようにする。

シゼ

…。

シゼ

ルドルフ様…。

シゼ

私のこと…本当に細かく調べられてたんですね。

ルドルフ

うん。

シゼ

…。

シゼ

…じゃあ、

シゼ

今度からは気になることがあったら私に直接、聞きにきてください。

ルドルフ

！

ルドルフ

え？

シゼ

ルドルフさんが気を効かせなくても

シゼ

私とマリア様は悪いことなんにもしてません。

シゼ

私達は毎日毎日、仕事と、おしゃべりと、読書で手一杯です。

シゼ

クマイド・カーリアの内通者になる暇、私達にはありません。

シゼ

だから

シゼ

何か聞きたいことがあったら、気軽に訪ねてください。それで良いですから。

ルドルフ

…。

ルドルフ

……。

シゼ

？、ルドルフ様？

ルドルフ

…シゼちゃんって、不思議な子だね。

ルドルフ

俺絶対、もう近づかないでください。とか言われると思った。

シゼ

そんなこと言いませんよ。

シゼ

お仕事なら仕方ないです。

ルドルフ

そっか、優しいね。

ルドルフ

（…シゼちゃん…。）

ルドルフ

（今さっきの発言、あの人と一緒だ。）

昨日の昼

ルドルフ

（…よし、）

ルドルフ

（ここはひっかかるのを待つしかない。）

ルドルフ

（シゼちゃんの主人と繋がりを持って、彼女を2人で待ち構える作戦に切り替えよう。）

ルドルフ

あの、すみません。

マリア

！

マリア

えっ、誰…？

マリア

ちょ、待っ…

マリア

ひゃぁあ！？

ルドルフ

？

マリア

（あらやだ！）

マリア

（この人…！）

マリア

(((((この前読んだ本の攻めにそっくりだわ！！))))))

ルドルフ

？

ルドルフ

あの、大丈夫ですか？

マリア

（はぁ〜駆け巡るわ！）

マリア

（私の性癖に純粋攻め×純粋受けを叩きつけてきたあの作品が！今！脳を駆け巡っているわ！）

ルドルフ

あの、おーい。

マリア

（あの作品の攻め、マルティンは義理の家族としてやってきた可愛すぎる友達レッチュ（受け）と出会うのよね、）

マリア

（初めはその受けをお兄ちゃんとして守るって思って面倒を見てたんだけど、）

マリア

（あまりの受けの可愛さに限界がきてしまって、）

マリア

（最後は手をプルプルさせながら、受けの唇に触れるのよね！あのシーンは素晴らしかったわ。）

マリア

（最初に読んだ時は、結局キスしかしないんかい！もっとアレとかしなさいよ！って思っちゃったけど…）

マリア

（今となっては新しい性癖の扉をこじ開けた新世界への地図といっても過言ではなかった神作だった…）

ルドルフ

あの？僕の声聞こえてます？

マリア

（そして、私が個人的に好きなのが挿絵のネコミミ！）

マリア

（男性のパジャマ姿にあえて獣要素を入れるって発想が天才すぎたわ。）

マリア

（そして、その回ではキスだけで終わってしまったお話…）

マリア

（けれどそれは完全に作者が仕掛けたトラップ！）

マリア

(((((あえてキスで終わらせることによって我々読者がそれ以上のことをさせる作品を書かせるという罠！)))))

マリア

（そしてそれにまんまと引っかかり、一気広まる二次創作！）

マリア

（イラスト！小説！妄想の殴り書き！）

マリア

（あの小説はまさに革命…！少年達が私達を動かしたのよ、受けも攻めも間違いなく天使だったわ。）

マリア

（後でシゼにも書かせよう）

ルドルフ

おーい、おーい。

ルドルフ

マリア様、聞こえてますか？

ルドルフ

マリア様ー。

マリア

！

マリア

ハッ！？

ルドルフ

あ、目が戻った。

ルドルフ

大丈夫ですか？

マリア

！…。

マリア

（しまった！）

マリア

（沼に再突入するあまり、目の前の人の話を聞いてなかった！）

マリア

も、申し訳ございません。

マリア

少し…その、びっくりしてしまいましたわ。

ルドルフ

！、そうですか。

ルドルフ

（にしては長かったな…。）

ルドルフ

僕はセオドア外交大臣補助官の執事、ルドルフと申します。

ルドルフ

本日は、マリア様の侍女のシゼ・ノーディンについてお話を伺いたく存じました。

ルドルフ

…今からお時間大丈夫ですか？

マリア

！

マリア

（セオドア様の執事…？）

マリア

（国の外交を任されている偉大な方の執事がどうしてシゼを？）

マリア

！

「クリジア人が我が国の機密情報をクマイド王にバラしたに違いない！」

「調査なんてしなくてもいい、アイツらはまとめて処刑すべきだ！」

「元々、クリジア人のくせに出世したアイツらには腹が立ってたんだ！特にあのシゼって女！」

「クリジア人のくせに、 10位とかあり得ないだろ！絶対に何かしたに違いない！」

マリア

…。

マリア

（…まさか、この人も）

マリア

…。

マリア

…そうですか。

マリア

そちらのご用件、承りました。

マリア

シゼは今、休んでおりますので、その間、私の方で彼女についてお話ししましょう。

ルドルフ

！

マリア

今日の朝から彼女はフラフラしていて、とてもしんどそうでした。

マリア

私の部屋で取り調べを行い、シゼの回復を待ちましょう。

ルドルフ

…。

ルドルフ

（…驚いたな。）

ルドルフ

（この子、俺が来た（疑われてる）っていうのに拒否しないんだ）

マリア

？、どうされたのですか？

ルドルフ

あ、いえ…

ルドルフ

僕が来たのに怖くないのかな、と思いまして…。

マリア

ええ、全く。

マリア

私は貴方に対して、何の恐怖もありませんわ。

マリア

だって

マリア

私達、なんにもしてないんですもの。

ルドルフ

！

マリア

シゼは本と執筆が大好きな普通の女の子ですわ、内通者などではありません。

マリア

どうぞお好きにお調べになってくださいまし。

ルドルフ

！…

ルドルフ

（マリアちゃんにシゼちゃん、2人とも同じことを俺に言ってきた）

ルドルフ

（この2人は弱い立場にいるにも関わらず、強い自信とたくましさを持っている）

ルドルフ

…。

ルドルフ

いいね、尊敬しちゃうなぁ。

シゼ

？

ルドルフ

なんでもないよ。

ルドルフ

…シゼちゃん。

ルドルフ

俺を許してくれてありがとう。

ルドルフ

これからいろいろ、よろしくね。ﾆｺｯ

スッ

ルドルフが手袋を外しシゼに握手を求める。

シゼ

！

シゼ

あ、はい。

シゼ

こちらこそ、よろしくお願いします。

ぎゅっ、（シゼとルドルフが握手をする）

第10話　おわり

とある物書きの挑戦譚　【第三期】

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513

9件

更新ありがとうございます😭 最初の「え？できますけど？」と大人の余裕を見せるシゼちゃんかっこよすぎ？！と惚れた後直ぐ、ルドルフさんがシゼちゃんを助けに入るシーンでもまた惚れました…💘💘 マリア様が叫んだのは、捕まった訳ではなくて安心しましたがなんともマリア様らしい理由で笑っちゃいました…😄

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