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我が軍では、食事当番というものがある。

とはいっても。 昼飯は各自で作るようになってるし、晩飯は届くようになってるから、正味作るんは朝飯だけやねんけど。

当番は1日交代で、グルさんを覗いたメンバーで回してる、…ねんけど。

平和なはずの食事当番にも、問題児はおるんや。

コンコンコンコンコン、コンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!!!

トントン

おい、シッマ!起きろ、ドアぶち壊すぞ

コネシマ

うぉっ?!おは、おはよぉ!おはよぉ!!!

コネシマ、問題児1人目。

まずこいつは、食事当番になっても起きない。 マイペースというかなんというか、結局俺が毎回起こしに行ってんねんけど。

激しくノックすると、中から焦ったような声が聞こえた。 今日も素直に起きたか、よし。

過去に、あまりにも起きひんかったから、1回シッマの部屋のドア壊してん。

そっからは、呼んだらわりと早くに起きてくれるようになった。

成長やね、よかったよかった。

ガチャ

コネシマ

トントン、おはよう!!!

勢いよくドア開けて、コネシマが出てくる。

赤と黒の縞模様のサッカーシャツを着ての登場。

窓の外では、桜がひらひらと舞っているのに半袖シャツです。

けど、お兄さん寒ないんすか?

こいつ絶対おかしいわ。

シッマの部屋から食堂へ歩いて数分

ぼんやりぼんやり。 まだまだ輪郭が朧げな空をバックに、灯りがついてる食堂に入る。

トントン

おはよう、シャオロン

シャオロン

おー、トントンー!おはよー

食堂の椅子に座ってコーヒー飲みながら新聞読んでたシャオロンは、俺に気づくと赤色のマグカップにコーヒーを淹れてくれてる。

問題児2人目はこいつ、シャオロン。

ただしこいつは、コネシマとは違って自分で起きるし、何なら約束の時間よりはよ来て俺の分までコーヒー沸かしてたりしてる。

こういうとこ、真面目やねんな。

青色のエプロンを付けたシャオロンは、沸かしてくれたコーヒーを俺に渡すと、キッチンに立って手を洗いだした。

あの問題児2人が当番のときだけ、俺の見張りが規則化されてる

じゃあ俺が作ればいい話やねんけどな。 そこはお勉強ということで。

2人とも、毎回作るんは「スクランブルエッグとトースト」。

トーストはトースターにセットするだけやけど、スクランブルエッグは調理器具使ってちゃんと作ってもらってる。

というかこれ以外はまじでやばいから、これしか作らしてない。

2人が作ってる間は、俺は応援したり、危なかったらちょっと止めたり。あんまし口は出さへんようにしてる。

それじゃあ、見ていこか。

コツコツコツコツコツ…

キッチンに響くのは、慎重に卵を割る音。

真剣な顔して、ボウルの中に割り進めていくのはコネシマ。

こいつ普段の行いからはあんまり想像できひんねんけど、こういう細かい作業はめちゃめちゃちゃんとするやつや。

ボウルの中に殻が入ることもなく全部綺麗に割り終えると、棚から菜箸を取り出してチャカチャカ混ぜていく。

コネシマ

えー、塩胡椒はひとつまみずつ。中火に熱したフライパンにバターを入れて、溶かしていく…と

ふんふん、とレシピをよく読んでまるっきりそれ通りに作っていく。

塩胡椒をひとつまみ。ビビってんのか少々少なめ。

コネシマ

よしっ…!

コネシマはその量で満足して、次に進んでしまった。

シャオロン

シッマ、順調やん

コネシマ

やろ!プロですわ

そのうち食堂の机に座る俺の鼻にも、バターのいい匂いが届いてくる。

十分にバターは溶けて、卵の入ったボウルをフライパンに近づける。

ジュワァーーーーー…パチパチパチ

火が通った途端、固まりだす卵。

コネシマが、若干焦ったようにヘラを動かしているのが見えた。

シャオロン

よっしゃ!次俺の番!!

待っていた、かのように嬉しそうにコネシマと交代する。

交代するとシャオロンは作業へと取り掛かった

ゴンッパカッゴンッパカッゴンッパカッゴンッパカッ…

卵を割るというよりは叩きつけるようにして、強制的に黄身と白身を取り出していく音が響く。

コネシマの半分くらいの時間で全ての卵を割り終えたシャオロンが、右手に持った菜箸で卵を混ぜていく。

その左手には、ん?

トントン

…シャオさん、あんた、左手何持ってんの?

シャオロン

え?マヨやけど

当たり前やん、と言わんばかりの表情で返ってくる。

いや、マヨネーズ!?

トントン

卵に卵て、かぶってるやん!

思わずツッコんでしまう。

だが俺がそう言うと、シャオロンはチッチッチと指を動かした。

シャオロン

まあまぁ、見とけって

そう言って、次に彼が冷蔵庫を開けて取り出したんは、…とろけるチーズ。

トントン

はぁ…

もうええわ、そっとしとこ。 俺は飲みかけのコーヒーを手にとって、コクリと飲んだ。

ロボロ

おは、うわぁ…今日の朝飯当番コネさんかよ…

ショッピ

コネシマさんだけは勘弁ですわ

鬱先生

シッマ、頼むから食えるもん出してな

コネシマ

うるさいわお前ら!せめて見てから文句言え!

コネシマはプリプリ怒りながら、朝練を終えて食堂に来たロボロとショッピくんと大先生、あと俺に朝飯を出していく。

トントン

あ、ありがとう

目の前のスクランブルエッグを一瞥。

黄色くて端の方がとろけているそれは、横に並べたレタスといい感じに色が対比していて、普通に美味そうな見た目。

匂いも凄いいい感じ。

シッマ、これは過去最高傑作やないか?

めちゃめちゃな文句言ってた輩3人組も、「美味しそうやな」なんて会話を交わしている。

ロボロ

いただきまーす

ロボロがそう言ったのを皮切りに、俺らも手を合わせてフォークをとった。

美味しそうなスクランブルエッグを、フォークにとって口に含んで。

トントン

………

うんうん、なるほどなあ。

食堂にいる全員が、黙々と咀嚼する。

その様子を不安そうな顔で見守るシッマが、俺たちに水を配ってくれた。

するとスクランブルエッグを飲み込んで、水をひと口飲んだ大先生が口を開いた。

鬱先生

シッマ、味付けちゃんとした?

コネシマ

え?普通にしたけど

キョトンとした顔で答えるシッマ。

あー、こいつ分かってないんか…

そう、この美味しそうなスクランブルエッグ。

実は絶望的に味がなかった。

ただただ素材の味。 なんて例えたらいいんやろ、これは…

ショッピ

コネシマさん、これ離乳食みたいです

ショッピくんがもぐもぐ口を動かしながら、シッマに向かってそう言った。

それや!離乳食や!

ええ…、と訝しげなシッマに、ショッピくんは自分のフォークにスクランブルエッグのせて、はい、と食べさせる。

シッマはあー、と開いた口をパクっと閉じて、腰に手をあてて咀嚼する。

目を閉じて眉を潜めて、しばらく吟味したところで

コネシマ

あ、味ないわ

鬱先生

wwwwww

あっけらかんとばっさり1言。

シッマのその顔を見た大先生が、ツボったのかめちゃめちゃ笑う。

だがシッマは、そんな大先生を無視してキッチンの奥に戻った。

トントン

(何するんやろ…?)

全員の視線と疑問符を集めながら冷蔵庫を開くと、後半組のスクランブルエッグに静かにケチャップをかけていった。

ちなみに、その目はどこか悲しそうであった…

結果→見た目:5、味:2 感想→シンマのスクランブルエッグは    赤ちゃんも食べれる優しい味でした。

ゾム

うぇ、シャオロンお前これ何なん…?

鬱先生

シャオちゃん、嘘やろ…

コネシマ

シャオロンお前、こんなとこまで尖らんでええんやで…

料理が出てきた瞬間、口を揃えてそう言う3人。

こいつら、めちゃめちゃ言うなあ! かという俺も、流石に目の前のこれには絶句やけど。

シャオロンがドヤ顔で、食堂に来たゾムと大先生、コネシマと俺の前に置いていった料理は、真っ黒でどことなく焦げ臭い、もはやダークマターと呼ばれてしまいそうなスクランブルエッグ。

3人は朝練を終わらしてきたあとやから、お腹はペコペコなはずやけど、一向に手が進まない。

何なら、ゾムなんかは完全に引いてるようにも見える。

味にこだわるあのゾムがやで????

4対1の静かな攻防はわりと長い間続く。

するととうとう痺れを切らしたんか、シャオロンは大先生の背後からスクランブルエッグののった皿を手に取ると、油断していた大先生の口の中に無理矢理突っ込んだ。

鬱先生

うええ!?

大先生は突然のシャオロンの奇行に声をあげてと驚いてるけど、シャオロンはニヤニヤ笑って、そのまま大先生が食べ終わるまで背後から首に手を回してもたれかかる。

大先生は始めは青い顔で、途中からは普通にもぐもぐと食べ終えた。

そうしてシャオロンの方を向くと、その目に驚きと感動を浮かべて。

鬱先生

シャオちゃん…

シャオロン

なに?

鬱先生

これ普通に美味しいわ!

そのほか3人

えっ!?!?

予想外の大先生の発言に、傍観者だった俺ら3人が驚きの声をあげる。

シャオロン

やろ!お前らも食わず嫌いしてんと1回食べてみぃや!

ほらぁ!とドヤ顔でそう言うシャオロンと大先生の言葉に興味がわいたんか、コネシマが一口だけ口に含む。

コネシマ

あぁ、美味しいわ

ゾム

えっ!?

コネシマはそう言うと、真っ黒に焦げた部分だけを取り除いて食べ始めた。

コネシマに釣られたんか、ゾムもフォークを手に取った。

俺も一口分だけフォークにのせて食べてみる。 もぐもぐと咀嚼して。

トントン

普通に上手いやんけ…

見た目どおり、明らかにこげているので苦い。

でもその部分を上手く取り除いて食べると、塩分濃いめな味付けは俺ら好みだし、隠し味として入れていたマヨネーズとチーズがコクとまろやかさを全面的に出してくる。

ちょっとパサパサしてるけど、味がめちゃめちゃいい。

ゾム

あー、これは普通にいけるわー

コネシマ

シャオロンお前腕上げたな!

ドヤ顔をキメる料理長シャオロンに、次々と称賛の言葉が送られる。

そんな中、コネシマが興味津々といった態度で シャオロンに質問する。

コネシマ

シャオロン!どうやってつくったか、オレに教えてくれや!!

それを聞いて、ニヤリと笑うシャオロン。 シッマの目の前で、パチンッと指を鳴らして。

シャオロン

コツはなぁ…常に強火や!!!!

コネシマ

お前何しとんねん!!!!!

結果→見た目:1、味:4 感想→奇想天外スーパーミラクルな味

前回のコネシマとシャオロンの朝飯を思い出して、思わずため息が漏れた。

そういえば明日は誰だっけ。

システム手帳を取り出して、明日の枠を見る。

なになに……えーっと、あっ…

手帳に水色のペンで書かれていたのは、「コネシマ」という4文字。

明日はすぐに起きてくれるとええなあ。

そんなことを思いながら、俺はベットに潜り込んだ。

はい。皆さんおはようございます。みいですっ

ここの垢では最後の投稿となります。

まぁ、お詫びとしてと思ってください*_ _)

それでは、じゃあの!

この作品はいかがでしたか?

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コメント

4

ユーザー

シャオロン......やっぱり可愛いけど、料理は💦。この作品とても面白かったです!

ユーザー

いやいや、卵料理で強火はあかんwww弱火でやらなあかんwww 届いてないと思うけど、いい作品でした!

ユーザー

2019年からこんな神がいたとは ..

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