そら
「ひっ、ひっ、ふー……! ジェジェ、痛い……痛いよぉ!!」

ついにその時が来た。城中にそらちゃんの声が響き渡り、テンペストの最高戦力たちが一堂に会する。……
が、一番の戦力であるはずのジェジェが、かつてないほど「バグって」いた。
ジェジェ
「そ、そら! 大丈夫です、私が……私が《解析之王》の全演算能力を使い、痛みを数値化して無効化……いえ、物理的に私が肩代わりする術式を今すぐ構築……!」

ジェジェ
《 警告。……個体名:ジェジェ、過度の動揺により演算回路がオーバーヒート。……『私が代わりに産みます』という論理的に不可能な術式を強行しようとしています。……速やかに再起動(ビンタ)を推奨します 》

そら
「ジェジェ、しっかりしてよぉ! 脳内でもパニックにならないで!」

そこへ、一番冷静な助っ人が現れた。そらねちゃんだ。
彼女はそらちゃんの隣に座ると、小さな手でそらちゃんのお腹を優しく包み、キラキラとした光を放ち始めた。
そらね
「ママ、だいじょうぶ。そらねが、おなかのなかに『あったかいの』おくってあげる。……パパ、うるさいよ! ちゃんとママの手をにぎってて!」

ジェジェ
「……っ! は、はい! 申し訳ありません、そらね!」

娘に叱られ、ようやくジェジェがそらちゃんの手を強く握る。
ジェジェ
「そら、私を見て。……呼吸を合わせて。……大丈夫、私が、私たちがついています」

外では、リムルが「よし、《暴風之王》で空気を循環させて、最適な酸素濃度を保つぞ!」と叫び、シュナとシオンが聖なる祈りで部屋を清めている。
そらま(赤ちゃん)
「……ぎゃああ、ぎゃあああ!」

そら
「……あ……。生まれた……」

産声を聞いた瞬間、ジェジェは崩れ落ちるようにそらちゃんの枕元に膝をつき、大粒の涙を流した。
ジェジェ
「……ありがとうございます、そら。……本当によく頑張ってくれました……」

ジェジェ
《 報告。……第2子、誕生。……個体名:そら真(ま)。……銀髪の男の子です。……固有スキル『不動の心(パパのようにはならない)』を初期保持。……非常に将来が有望です 》

そら
「『そら真』くん……。そらねちゃん、弟だよ」

そらねちゃんは、生まれたばかりの赤ちゃんの小さな指をそっと握って、お姉さんの顔で微笑んだ。
そらね
「そらまくん、こんにちは。……そらねが、世界でいちばんカッコいいお姉ちゃんになってあげるからね!」
