リーナ・アイアン
大災害……?

国王
ああ。現在あそこには、ドラゴンの巣があってな

リーナ・アイアン
ドラゴンの巣…!?

そのドラゴンが、巣を作り滞在しているとなれば、皆水EATDAI史登の周辺に住んでいる国民は皆安全なところに避難しているだろう。
リーナ・アイアン
そうですか…

国王
火の海に包まれる前に国民たちの避難は確認できている

リーナ・アイアン
…被害は、出てるのですか?

国王
……ああ…今のところ少しな

リーナ・アイアン
……見てるだけなんですか?

国王
いや、それは…

リーナ・アイアン
何か力を尽くすことはできない状態なんですか!?

国王
そういうわけじゃないんだが…

国王
すまん…わしにもう少し力があれば…

国王
見ての通り、魔力はもう弱まってしまっているのだよ

リーナ・アイアン
っ…それなら!!それなら私に…

国王
それは駄目だ。あのドラゴンはとても危険すぎる

リーナ・アイアン
……そんな…

国王
それに、きみも…

リーナ・アイアン
っ、、ですが…っ、、

リーナ・アイアン
努力すれば、諦めなければいけるはずです!!!

リーナ・アイアン
希望を…捨ててしまえば、ここの周辺だって…ドラゴンに襲われてしまいます……

ヒンドラ・イーベラ
努力か…"あの公爵令嬢"とは真反対のことを言うんだな

リーナ・アイアン
…え?

リーナの疑問に答えはせず、だが、落ち着かせるためにゆっくりできるだけ優しく話す。
ヒンドラ・イーベラ
アイアン姫がそんなに心配なら、俺に任せてくれ

リーナ・アイアン
…イーベラ王太子殿下に…?

ヒンドラ・イーベラ
ああ。だから気にするな

頭を撫でて、ニッコリと笑いヒンドラが暖かみのある笑みを見せると、リーナは安心したのか さっきみたく声を荒げることはしなかった。
リーナ・アイアン
そうですか…なら、お願いします!

国王
ヒンドラ…いいのか?

ヒンドラ・イーベラ
はい。それにオレは、この国随一の魔力を持ってるんです

ヒンドラ・イーベラ
と言っても、油断はしませんが

国王
ああ…油断は禁物だぞ

ヒンドラ殿下、こちらのお召し物を

ヒンドラ・イーベラ
…ああ、久しぶりに着るな

リーナ・アイアン
久しぶり…

ヒンドラは、国王の側近に渡された衣服を受け取り、自室へ向かった。
リーナ・アイアン
……

……

リーナ・アイアン
…あの

は、はい?

リーナ・アイアン
国王様のこと尊敬しているんですか?

…ええ?!

それ聞きます…?

苦笑いをしてはいたが、すぐに「尊敬していますよ」と優しく言っていた。
国王
ふん。尊敬されていなかったら側近にはさせておらん

リーナ・アイアン
あ、はは…そうですよね

…アイアン姫様に逆に捉えられたのは、私の王への態度でしょうか?

リーナ・アイアン
あ…まあ…そうです

国王
ふむ…確かに貴様は近頃調子に乗ってきていたな

まあ…それは王自身のせいもありますからね

国王
なんだと!?

リーナ・アイアン
…っふ笑

リーナ・アイアン
仲良しなんですね

国王
仲良しだと…?

仲良しじゃないんですか〜?国王様ぁ〜

国王
鬱陶しいわい!!

側近にそう言われて、王様はなんだか照れているような気がした。気のせいかな?
…そういえば、私の名前…聞きたいですか?

リーナ・アイアン
え?聞きたいですかって言われても…

国王
はっはっは。こやつの名前は大したことないぞ!

どういうことですか??

リーナ・アイアン
うーん…笑 気になりはしますけれど…後でお聞きになりたいです!

あとで…?もしかしてお預けくらってる?

国王
うむ…貴様がそう言うならそんな気がしてきたぞ

……中々酷くないですか?それ

リーナ・アイアン
……

国王は、心の許した側近の前では本来の自分で接している。
リーナ・アイアン
なんだか…素敵な関係ですね!

国王
そうだろう?

リーナ・アイアン
はい!

ヒンドラ・イーベラ
只今戻りました

ほぉ…やはり、イケてますね

国王
おいこらっ!その褒め言葉、わしの頃は言わんかったろ!

んーそうでしたっけ

国王
とぼけるんじゃないぞ!

はぁーい笑

ヒンドラ・イーベラ
……本当に、仲が宜しくいらっしゃいますね…

リーナ・アイアン
(なんでだろう?)

リーナ・アイアン
(呆れてるのかしら?)

ヒンドラ・イーベラ
ごほんっ…では、行ってまいります

国王
待っておるぞー

リーナ・アイアン
わっ、私も一応待っておきます、!

ヒンドラ・イーベラ
…はい

国王
なあ、わしの息子と結婚しないか?

リーナ・アイアン
………は?

リーナ・アイアン
いや、っ…え?

リーナ・アイアン
いやいやいや…!!そんな、しませんよ!釣り合いません!

国王
…そんなに否定しなくとも…

国王様。ヒンドラ様には素敵な御相手がいらっしゃいます

不貞はいけません

国王
ぐっ…それは、そうだがな…

はあ…アイアン姫様にも、心に決めている人だっているんですよ?

国王
む…?ミハエル三男とは、破談になったのだろう?

いえ…そういうことではなくて

アイアン姫様にだって、好きな人がいる…ということです

人の意見を聞かないことは、国王様が嫌ってたんじゃないですか?

国王
……全て図星だ

リーナ・アイアン
あ、あの…

国王
なんだ?

リーナ・アイアン
イーベラ王太子殿下のお相手様は、どのような御方なのでしょうか?

国王
気になるか?

リーナ・アイアン
はい!とても…あの方のお相手様が気になりまして

国王
はは!気になりもするか

国王
あいつの相手はとっても美しい女だ

リーナ・アイアン
へぇー…

国王
それでいて、強い

リーナ・アイアン
強いのですか!?憧れます

国王
そうじゃなー…リリース公爵令嬢は女性の憧れの的でもある

私あの人好きですよ

強くて芯があって、周りを見ていないと思われがちですが、結構見ているところとか…本当に、好きなところをあげるとキリがないんですよ

国王
惚れてるのか?

…惚れてる?

リーナ・アイアン
尊敬な感じでは?

あー…そうですね

リーナ・アイアン
……?

国王
はは。こいつはそういうのに疎いんだ

リーナ・アイアン
は、はい…?

疎いってなんですか

国王
自覚してからがなんちゃらかんちゃらって言うからのー

リーナ・アイアン
(国王様、面白がってる?)

国王
だがまあ、疎い方がお前にとってもヒンドラにとっても、いいからな。知らぬが仏って言うだろ?

はあ……?そうですね?
