sparkle

文化祭当日

衣装に着替えて一番に ゆあんくんに見せに行ったんだけど

ゆあんくんの様子が変。 私見てガチガチに固まったと思えば

眉を顰めた。

水色のアリスの服の裾をもち 右左とふってみせる。

この期に及んで 何を言ってるんだろう。

いつもと違うるななんだけどな。

言って欲しい言葉がなかなか カレシから聞けませんケド。

呆れてるえとちゃんが ヒロくんを指さした。

朝は普通だったのに いまは落ち着かないっていうか…

上着は抜いているけど ゆあんくんのトランプ兵姿は かなりかっこいい。

凛とした雰囲気でいつもと違う。 またモテちゃうじゃん…

とにかく

文化祭がスタートです。

賑やかな校内のエアスポット 保健室。

まだ始まったばかりだからと たかを括って仮眠をとっていた。

たっつんとかシヴァさんに よく起こされたな。

"うりりんってばまた寝てんの？"

深く沈まりそうになる思考を停止させた。

窓のそばにより正門あたりを眺めた。

今日は文化祭初日 一般枠ではなく保護者のみ公開日だ。

食べ物の運搬は前日に全て終わっているし、出入り業者もなかったはず。

にしても ここの全生徒の保護者把握するの めっちゃしんどかったぞ…！！

香りと空気でじゃぱぱさんだと わかっていたけれど。

じゃぱぱはオレの隣 ベッドに腰を下ろした。

最近じゃぱぱさん外出増えてるんだよな。 とは言っても 軽いお出かけばかりだけど…

少し前まではあまり外にも 出歩かないようにしていたし。

いったいなんの心境の変化なんだか…

ｺﾝｺﾝｯ

音がした方に振り向くと まさかの桃色のセミロングがちらり

二人とも単体できたらしい。 シヴァさんもなおきりさんもいない。

危なすぎる… いや、そんなの 二人ともわかってるはずだ。

絶対的な安全を確信したから こうして学校に赴いたのだろうか。

気づいたらイヤミが出てしまった。

指揮能力はあるけどじゃぱぱさんは 五人のナカでもわりと力はない。

ぶっちゃけのあさんのが強いのでは…

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ！！

勢いよく扉が開く 次に現れたのは手を怪我した生徒だった。

腫れた手にアイスノンをあてていた。 火傷だ。

見慣れない大人に 怪我をした生徒は首を捻る。

恋バナ好きなのあさんが 目をキラキラさせて身を乗り出した。

一同爆笑である。 なんだよ退場って

オレの言葉で 怪我した生徒の表情が曇った。

その手でか？ 歌ならともかく楽器は難しそうだ。

きっとたくさん練習せたんだろう。 だからと言って 今すぐこの手を治すことはできないし…

文化祭は数少ないステージだもんな。 オレもかつてそっち側だったからわかる。

なんて声をかけていいか分からず あぐねいていると

じゃぱぱが とんでもないことを言い出した。

いきなりなにを言い出すんだ。 仮にも裏の顔があるのに そんなステージなんか…

のあさんのまっすぐな瞳

そんなこと言われてしまったら

含みを持たせた言い方をして じゃぱぱの表情を伺った。

一度だけ言葉を詰まらせたが のあさんと同じようにお願いされた。

パタン

じゃぱぱは眉間に皺をよせ、頭を掻く。

じゃぱぱがのあさんの前に 手を差し出した。

ぎこちなく二人の手が絡み合う

正門付近

ただいま呼び込み係で 風船配り中

アリス姿の私とトランプ兵のゆあんくん

それなりに目立つみたいで

正門で入ってきた人たちの注目を 一番浴びてる気がするよ。

シュガーたっぷりの素朴なドーナッツ

甘さが沁みる♡おいしっ

ゆあんくんが私にドーナツを渡すと 何かから受け身を取るように腕を上げた。

シヴァさんがゆあんくんの後ろから ドーナッツを取ろうとしたところを

ゆあんくんが察知して手で払いのけた。

この間のお誕生日会の時 やたら行きたがってたものね

シヴァさんの後ろから なおきりさんがひょっこり現れた。

何故か間が空くゆあんくん

ゆあんくんの照れ隠しだ。

報告連絡相談 じゃぱぱさんはシヴァさんやもふくんと いつもうるさいくらい共有してるのに

のあさんと二人が良かったのかな

なんだぁ

じゃぱぱさんなんだかんだで 上手くいってるんだぁ

なおきりさんがスマホを掲げた瞬間 クラスの子たちがゆあんくんに駆け寄ってきた。

見慣れないと思ったら アリスの衣装ではなく黒いスーツを着てる。

シヴァさんもゆあんくんも 自分を指さして目を見合わせた。

ゆあんくんが困っていると なおきりさんが

ゆあんくんの手から 握られていた風船をとった。

全てわかってるみたい。 なおきりさんが綺麗に片目をつぶった。

なんだかんだ言って なおきりさんはゆあんくんのお世話係さんだ。

ここまで背中を押されたら ゆあんくんも何にも言えないだろうな。

ゆあんくんが 演劇部の子達と行ってしまった後

二人の前に人だかりができたとか。