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沙羅 サラ

……は…ぁ……は……ぁ……ッ

沙羅 サラ

……ッ……ゆ……め…?

朝の目覚めは最悪の気分で

朝日で心地好く目覚めれるのは御伽噺の話で

私は御伽噺に存在するお姫様のような存在ではないから

朝を楽しみに迎えられることは出来ない

沙羅 サラ

…まだ寝ていてもいい時間だけれど

寝るのは辞めておきましょう

こんな夢をもう一度見るなんて真っ平御免よ

沙羅 サラ

…ふふっ……あんな幸せな夢

沙羅 サラ

今の私には耐えられないわ

沙羅 サラ

……いただきます

小汚い色をしたクロワッサンとコーヒーを交互に口に運ぶ

味は悪くはないけれど見た目は良いとは言えない

沙羅 サラ

…ご馳走様でした

沙羅 サラ

……さて…今日はどうしましょう…

今日の日程を考えていると 携帯から着信音が聴こえてきた

沙羅 サラ

沙羅 サラ

………はぁ 今日は何も無いと思っていたのだけれど

沙羅 サラ

…矢張りあるのね

私は再度溜息をついてから電話を掛け直した

沙羅 サラ

もしもし

沙羅 〈仕事だ〉

沙羅 サラ

…承知しました

ブチッ

沙羅 サラ

……はぁ

重い身体を無理矢理動かし 食器を片付ける

沙羅 サラ

頭痛がするわ…

そもそも〈仕事〉はあまり好きではない

その理由はすぐに解る

赤々と燃え上がる炎にその中で踊り舞う黒々しい影

そう これが現在の世界だ

うわぁぁッ!もうぅッ人を…殺したくないッ!

そうこの世界は争いという醜いものが溢れていて

それ自体を拒絶する者がいる

沙羅 サラ

…本当に

沙羅 サラ

人間って複雑ね

人間を辞めたあの日以来私は

人間を複雑な生き物だと考えるようになった

争いの炎は何処までも続く

姿形を変えて

からんっ

洒落たバーの中をより彩るのは 可愛らしい音を響かせる ベルだ

ふと何処からか視線を感じ ゆっくりと真後ろに目線を向けると

店のオーナー 通称 マスターが此方へと目線をとろんと向けていた

マスター

おや……黒瀬様
お久しぶりですね

沙羅 サラ

…そうね
マスター

マスター

半月ぶりでしょうか…

マスター

お仕事帰りですか?

沙羅 サラ

…ええ
そうよ

マスター

ふふっ…でしたら何時もので宜しいですか?

沙羅 サラ

ええ
お願いするわ

此処は 魔法使い専用のバー

«healing»

基本的には 魔法使いが飲み食いする為の場所で

政府からの労働金がきちんと出る為

私たち魔法使いは 何を頼んでも無料なのだ

だが毎度毎度思ってしまう

沙羅 サラ

…世も末ね

こんな事 一般人から恨みを買っている様な物なのに

マスター

お待たせしました

マスター

«blackrose»です

沙羅 サラ

ありがとう

飲み物を口に含み 喉を潤す

沙羅 サラ

何時もより甘く感じる

沙羅 サラ

……ねぇ マスター

マスター

はい?

沙羅 サラ

もしかして…
これ…味変えたの?

マスター

いいえ?
黒瀬様のお気に入りの飲み物ですので、
変えていませんが…

沙羅 サラ

…そう
疑って御免なさい

マスター

いいえ 構いませんよ

沈黙が流れゆく

この時間はとても複雑だ

マスター

_あの黒瀬様

沙羅 サラ

なにかしら?

マスター

最近は如何なさいましょうか?

沙羅 サラ

…何がかしら

マスター

……本当は判っておられるのでしょう?

沙羅 サラ

…魔法使いとがらくたの争いの事?

マスター

はい

〈何故 人は何時も争いに食い付いて来るのだろうか〉 そんな疑問を胸の中にそっとしまい 口を開けた

沙羅 サラ

……五分五分といったところかしら

マスター

…そうですか

沙羅 サラ

…貴方から聞いた癖に随分と不服そうね

マスター

…いえ

マスター

ただ…これだけ社会の為に尽くしているのに五分五分なのだなと思いまして

マスターの瞳が一瞬揺らいだのが判った

沙羅 サラ

…そうね

飲み物を再度口に含み 喉へと流す

沙羅 サラ

でも争いなんかを正しいなんて思っているからそんな考えが生まれてしまうのかもしれないわね

マスター

ッ……は…はっ…そうかもしれませんね

沙羅 サラ

お代は置いておくわね
…美味しかったわ

マスター

ッ!お代なんて要りませ_

沙羅 サラ

私が払いたいだけよ

沙羅 サラ

勘違いしないで

マスター

ッ……ですが

沙羅 サラ

…嗚呼 それと

沙羅 サラ

ご結婚おめでとう

マスター

…え?

沙羅 サラ

そのお金は色々と奥さんの為に使ってあげなさい

マスター

…ッ…は、はい

マスター

…(何故判ったんだ?)

マスター

(私が結婚したって…)

沙羅 サラ

それと…そういう事がバレたくないのだったら

沙羅 サラ

職場に結婚指輪を付けてくるのは辞めた方が良いわよ

マスター

ッ?!

マスター

あは…はっ…以後気をつけ…ます

沙羅 サラ

からんっ 硝子瓶の中で氷が可愛らしい最後の声を出した

沙羅 サラ

かんかんかんかんかんっ

踏切の音が辺りに広がる

沙羅 サラ

……バレバレよ 〈翔大〉

翔大 ショウタ

…ふ~ん…バレてたんだ

沙羅 サラ

それで…一体何の用かしら?

翔大 ショウタ

……本当は知ってる癖に

沙羅 サラ

翔大 ショウタ

…はぁ
……まぁいいや

翔大 ショウタ

がらくたのアジトの尻尾が掴めた

沙羅 サラ

……そう

翔大 ショウタ

…前の時に気になってる素振り見せてた割には興味なさそうだね

かんかんかんかん

沙羅 サラ

そうね

かんかんかんかんかん

沙羅 サラ

でも私は

沙羅 サラ

___________

がたんごとんがたんごとんっ

翔大 ショウタ

……あっそ

翔大 ショウタ

それと 明日はどうするの?

沙羅 サラ

…そうね

沙羅 サラ

19時 いつもの場所で集合と伝えておいて

翔大 ショウタ

はいはい

翔大 ショウタ

ぁ…あと最後にいい?

沙羅 サラ

なにかしら?

翔大 ショウタ

彼奴 沙羅の事殺そうと
狙ってるよ

沙羅 サラ

…そう

沙羅 サラ

伝えてくれてありがとう

沙羅 サラ

でも大丈夫よ

沙羅 サラ

想定内ですもの

翔大 ショウタ

……あっそ

翔大 ショウタ

じゃ

沙羅 サラ

さよなら

沙羅 サラ

魔法使いの夜 - 許されない約束

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122

コメント

7

ユーザー

見るの遅くなりました! 素敵な出だしで続き楽しみです…!🥰

ユーザー

ついに始まったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!(っ'ヮ'c)<ウッヒョォォォォオ

ユーザー
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