「要らない」は、最強
職場の休憩室で交わされる、「要らない」という言葉。
それは冷淡にも、残酷にも聞こえるが、
口にする側は誰かの生を否定も肯定もせず、
ただ“そうなった事実”として受け止めているだけだった。
一方で、「要る」「欲しい」と言い続けなければ、
自分の存在を確かめられない人たちがいる。
リストラされた男は、「要らない」とされたあとも静かに生き続け、
インフルエンサーの女は承認欲求に疲れ、
恋を終えた女は感情を煽らずに関係を手放す。
誰かの「要らない」は、別の誰かの「欲しい」になる。
だが、その交差は必ずしも救いや暴力を生むわけではない。
価値を急いで決めないこと、欲望に応えないこと。
その“余白”にこそ、人が壊れずに生きるための静かな強さがある。