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ピ、ピ、ピ、ピ

規則的な音が聞こえる

隣で切ない表情でベットに腰掛け、

その目には涙が光っている彼女の姿

亜希

…ねえ、日葵はさ、最後に何がしたい?

今は11時55分43秒。時間が刻々と迫ってきている

日葵

どうしたのよ、急に

日葵も分かっているだろうに。 だけど名のように向日葵のような笑みを向けてこちらを見ている

日葵

最後は、私のままで居たいよ

亜希

へえ…そっか

他愛ないような会話を交わす。 刻々と時間が追い詰めてくるのに

彼女にはもう、時間がないのに

亜希

日葵、愛してるよ─

そう言って彼女にキスをする。だけど─

ピー

医者

…12時0分。ご臨終です

亜希

涙が頬をつたる

彼女ともうちょっといろんなことを話せたら

もっと一緒に居られたら

彼女はいつ死ぬか分かっている病気─。 死時病という病気だった

でもその病気以外に、別の病気を患っていたのだ

いや、病気ではない、後遺症。

その後遺症は一生治らないもので、悪いと死んでしまう

日葵はとても悪くて、死んでしまう運命だった…

その余命が死時病によって分かっていたのだ

俺は何度も後悔しながら家に帰った

彼女があの事故に遭わなかったら

後遺症のきっかけができたあの事故

彼女は俺をかばったから─。

亜希

…後遺症のきっかけを作ったのは俺だ

亜希

最低。…

俺は家のベランダに出た

冷たい風が頬を撫でる

…とても心地よい

亜希

ここはマンションの7階だし、飛び降りたら死ねるよな

俺はベランダの塀に手をかけ、塀の上に登った

亜希

さよなら

ふわっと宙に浮いた感触。

嗚呼、俺は死ぬんだ

神様。もしも居るなら。もしも時間が戻れたら、

また亜希として、あの事故前に戻してください

そして、日葵じゃなくて俺が死時病になっていたことにしてください

お願いします─。

そう願った刹那、強い衝撃と、誰かの囁き声が聞こえた気がした

亜希

…はっ!?

体を起こすと、紛れもない俺の部屋だった

亜希

俺…死ぬ前に願った、あの願いが叶ったのか…?

考えてみれば自分の寿命も分かる気がする…

亜希

俺の寿命は…あと56年…

亜希

日葵もきっとそのくらいだったんだろうな…

亜希

でも事故が起こって…余命が縮んで…

その時

ピコン

LINEの着信音が静かな部屋に鳴り響いた

亜希

んーっと、誰からだ?

日葵

もうすぐ駅前に付くよ~亜希は今どこ?

日葵からだった

これは…紛れもない事故の前の出来事だ

俺の願いが、叶ったんだ─。

亜希

あ、ごめん。寝坊した。今から行くわ

そう返信をして、俺は家を出た

ここはあのときの待ち合わせ場所。

本来は、ここからちょっと行ったところで俺らは事故に遭ったんだ

日葵

遅いよ~?亜希

亜希

ごめんごめんwちょっと寝坊しちゃってw

日葵

まあいいよ、じゃ、行こ?

亜希

そうだねー

俺らはあの日のように、手を繋いで

俺らは信号で止まる

この信号を渡る間に、事故に遭う

守らなきゃ─!

そう思うと日葵と繋いでいる手を強く、強く握りしめた

日葵

ん、どしたの?

亜希

え、いや、うん。何でもない

日葵

なんか今日の亜希おかしいよ?w

俺らは信号を渡り出した

亜希

え、そうかな…

来たっ─‼

亜希

危ない‼

俺は日葵に覆い被さるように前に出て、

その瞬間、俺は意識を失った

目が覚めると、そこは病院で、隣に日葵が居た。

考えてみれば寿命もあと3日だと分かる

"前の世界"で日葵が死んだのも、日葵が目を覚ましたの3日後のことだ

日葵

亜希…!生きてて…良かった…

そう言って日葵が抱き付いてくる

日葵

…医者が言ってたんだけどさ、

日葵

亜希には後遺症が残って、その後遺症がもっと悪くなったら…

日葵

…死んじゃうんだって

亜希

…そっか

俺は作り笑いを浮かべた

亜希

…ねえ、日葵…

日葵

ん?どうしたの?

彼女は涙を拭いながらこちらを見つめる

俺は日葵が俺に死時病を打ち明けたときのように言葉を紡いだ

亜希

俺、死ぬ日が分かるんだ

亜希

俺は、後遺症で死ぬ。

亜希

…俺があと生きていけるのは、3日だけなんだ

日葵

え、嘘でしょ…

日葵は大粒に涙を流している

打ち明けるとき、日葵もこんな感じだったのだろうか

日葵

私を庇ったがために…亜希…ごめんなさい

日葵

私を守らなければ…亜希は生きれたのに…

亜希

…いいんだよ、日葵

俺は少々考えて、その言葉を口にした

亜希

俺が前居た世界では、日葵が事故に遭って、その3日後死んだんだ

日葵

え…?

亜希

俺はお前に生きて欲しかったから

亜希

俺自身よりか、日葵の方が大切だったから

日葵

私もだよ…

日葵

私も…私より、亜希の方が大事…

日葵

だから、今度は私─

俺は日葵が言葉をいいかけたときに話始めた

亜希

やらないで。

亜希

俺のために死ぬとか言わないで…?

亜希

日葵もそうかもしれないけどさ、これは俺の最後の願い。

亜希

自分勝手な願いに聞こえるかもしれないけど、

亜希

お願いだから、俺のために死なないで。

日葵

…分かったよ。

日葵

約束、守ってあげる

亜希

ふふ、ありがと

俺らはお互いを抱き締め合い、愛を誓った

時はあっという間に過ぎて3日後。

俺が死ぬ日だ

ピ、ピ、ピ、ピ、

あの日と同じ、電子音

亜希

日葵、貴女に出会えて良かった、ありがとう…

日葵

うん、私もだよ…

日葵を救うために生まれたこの世界。

日葵を救えて良かった。

日葵が死ななくて良かった…

俺は、彼女の死へのカウントダウンを止めることができたんだ

あの日と同じように、俺らはキスをして

亜希

愛してる…

その瞬間、俺の意識が途絶えた

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