俺の前の席には片想いの女が座っていた。 コイツとは幼稚園からの付き合いで。 多分、花子についてのことなら 本人以上に理解してる、つもりだ。
花子
じゃーんけん
太郎
何だよ突然
太郎
てか前にいんだから直で言えよ
花子
ぽんぽん
太郎
無視んな
花子
どっち出すの
俺は呆れつつ返信する。 コイツのマイペースは今に始まった事ではない。幼馴染の俺が言うんだから間違いない。
太郎
✋
花子
✌
花子
こっち出すの
太郎
これじゃんけんぽんぽんになるのか?
ただのじゃんけんだろ
花子
アンタちょっと馬鹿ね
太郎
うるせぇ
花子
でもたまにそれが愛おしく思える
太郎
てめぇ後出ししただろ
太郎
さっき返信遅かったの知ってんだからな
、とそこまで打って花子の返しがおかしいのに気付いた。そこは『大馬鹿ね』のはずだ
花子
好きだよ
花子
なんて
花子
ね
前の席の花子がこちらにふりかえった。
彼女は恥ずかしげに、それでいて嬉しそうに、微笑みながら、両手で拳を作りながら顔の横に持ってくる。言うなれば猫だ。
ゆっくりと開かれる手のひら
唾液を飲む俺
開かれた手
そこには、
右手「嘘」 左手「だよ」
太郎
本気にした俺が悪かった
太郎
許さん
花子
ファーーーーwwwwwwwww
俺は花子本人以上に
花子を理解してる。
太郎
なぁ
太郎
知ってる?
花子
何が?
太郎
お前の寝言
太郎
お前、俺が好きらしいぞ?
前の席から小さな悲鳴がこぼれた