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俺の前の席には片想いの女が座っていた。 コイツとは幼稚園からの付き合いで。 多分、花子についてのことなら 本人以上に理解してる、つもりだ。

花子

じゃーんけん

太郎

何だよ突然

太郎

てか前にいんだから直で言えよ

花子

ぽんぽん

太郎

無視んな

花子

どっち出すの

俺は呆れつつ返信する。 コイツのマイペースは今に始まった事ではない。幼馴染の俺が言うんだから間違いない。

太郎

花子

花子

こっち出すの

太郎

これじゃんけんぽんぽんになるのか?

ただのじゃんけんだろ

花子

アンタちょっと馬鹿ね

太郎

うるせぇ

花子

でもたまにそれが愛おしく思える

太郎

てめぇ後出ししただろ

太郎

さっき返信遅かったの知ってんだからな

、とそこまで打って花子の返しがおかしいのに気付いた。そこは『大馬鹿ね』のはずだ

花子

好きだよ

花子

なんて

花子

前の席の花子がこちらにふりかえった。

彼女は恥ずかしげに、それでいて嬉しそうに、微笑みながら、両手で拳を作りながら顔の横に持ってくる。言うなれば猫だ。

ゆっくりと開かれる手のひら

唾液を飲む俺

開かれた手

そこには、

右手「嘘」 左手「だよ」

太郎

本気にした俺が悪かった

太郎

許さん

花子

ファーーーーwwwwwwwww

俺は花子本人以上に

花子を理解してる。

太郎

なぁ

太郎

知ってる?

花子

何が?

太郎

お前の寝言

太郎

お前、俺が好きらしいぞ?

前の席から小さな悲鳴がこぼれた

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