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古野 ゆきな
杉谷 サラ
古野 ゆきな
体育館裏。いつものように杉谷さんに呼び出されて、こうやってストレス発散の道具にされる。1か月前からずっとだ。髪を引っ張られたり、蹴られたり、殴られたり。服で隠れる場所だけに痣をつけられて、誰も気付いてくれない。例え、気付いていたとしても、助けてはくれないのだろうけれど。
杉谷 サラ
サラの取り巻き
満足したのだろう。彼女たちは何事も無かったかのように体育館裏を去った。
古野 ゆきな
もう生きる気力すら失っていた。生きていても辛い思いをするだけ。これを乗り越えれば、高校生活が終わるまで耐えれば、なんて自分を奮い立たせてきたけど、それももう無理。明日が来るのがこんなに怖く感じるなら、もう、生きていたくない。
古野 ゆきな
そう思い立った私は、ある場所へと足を運んだ。
踏切に来た。電車に轢かれようと思ったのだ。電車の遅延とか、運転手の人を轢き殺してしまった罪悪感とか。そういうので、最後くらい自己主張をしたかった。私は、生きていたんだよって。生きた証を悪い形でもいいから、鮮明に遺しておきたかった。
古野 ゆきな
もう少しで電車が来る時間帯。もうちょっと。あと、もうちょっとで。 そんな時、目を惹かれたんだ。線路の真ん中で、綺麗に咲き誇っている一輪の花に。 気付けばそこにしゃがみこんでいた。その花と目線を合わせるように。
古野 ゆきな
突然、涙が溢れてきた。 いつ轢かれてもおかしくない危険な場所なのに、花が綺麗に咲いていて。私も、いじめられても強く咲いていられる、こんな花のようになりたい。 生きて、強くなりたい。強くなって、負けないように。 生きたい。生きたい。生きたい!
古野 ゆきな
カーンカーンカーン。踏切の音が鳴り始める。棒が落ちてきて、奥に電車が見える。生きたいと思ったその瞬間にはもう、大きい踏切の音に足が重たくなって、線路から出られなかった。 大きい電車がもうすぐ、目の前に来ていた。
古野 ゆきな
その花は、死神の花と呼ばれている。 自殺願望のある者の前に突如現れては、見事な大輪を見せ、生きる希望を与える。 しかし、見入ってしまった者は既に手遅れ。死ぬ運命がそこに待ち受けている。 先程の、不幸な少女のように。
次は、あなたの番かもしれない。