月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
注意!! ・地雷さんは今すぐUターン! ・まろにきが付き合ってます ・あにきの体調不良&まろにき喧嘩ネタです ・nmmn ・ご本人様方とは何も関係のないフィクションです ・口調&キャラ崩壊あり ・通報❌
月見。
部屋の扉を開く。ないこの家、久しぶりに来たな。
部屋に一歩足を踏み入れ、ベッドで眠るその姿を見て、俺は思わず足を止めた。
If
ないこが言っていた通り、あにきは眠っている様だった。大きな音を立てない様に扉を閉め、俺は恐る恐るあにきのところへと足を進めた。
If
その顔を見て、俺は息を呑んだ。額に貼られた熱冷まシート。残る涙の跡。眠っていても何処か不安げなその表情。
If
仕事が溜まっていた。前々から約束していた久しぶりのあにきとのお家デートだと言うのに、持ち帰らないと終わらない仕事があって、最近あにきと会えてなかったのとちゃんと休めてなかったのもあってか、俺の中でストレスが溜まりに溜まっていた。
あにきが家に来た時、なんだか体調が悪そうだと思った。まだ仕事が残ってるからと、あにきを休ませる目的を含め俺は仕事を進めた。
パタン、という扉が閉まる音を聞いて、気付くとあにきが部屋を出ていた。追いかけてみればあにきはキッチンにいて、ご飯を作ろうとしていたと言う。
その顔色は、やっぱりどう見ても悪かった。
体調が悪いのは明らかで、なんで言ってくれないんだとか、どうして自分の体調が悪いくせに俺の心配ばかりするのか、もっと自分を大切にしてくれないのかとか、様々な感情がぐるぐると俺の中で渦巻いた。
自分の心配よりも俺を優先するあにきに思わずカッとなって冷たく言い返し、声を荒げるあにきに対して鬱憤を晴らす様にストレスをぶつけてしまった。
・・・なんて、都合の良い言い方だ。
実際、俺があにきにしたのは許されないことで。
心配して料理までしてくれようとしたあにきを、俺は否定した。珍しく感情を昂らせ叫ぶあにきを、俺は冷たく突き放した。
そして、言ってしまった。
───あにき呼ばなければ良かったわ。
一瞬だったけど、あにきの傷ついた顔を見逃さなかった。
ごめんな、と彼のものとは思えないか細い声で謝り、あにきは家を飛び出した。
なのにあの時の俺は本当にどうかしていて、まだ残っている仕事をさっさと終わらせてしまおうと部屋に戻り、バン、と荒く部屋の扉を閉めた。あにきを追いかけなかった。
さっきないこから電話が来た時。その口から、あにきが倒れたと聞いた時。心臓が止まるかと思った。
ツー、ツー、と無機質な音を鳴らすスマホを、思わず床に落としてしまった。
そして、見ないフリをしてきた事実を思い知る。
俺は、あにきに。大切な恋人に、酷く最低なことをしたと。
悠佑
If
ぴく、とあにきの瞼が動いた。そして、ゆっくりと開かれたその瞳と目が合う。
悠佑
あにきは俺を見つめたまま、パチパチと何度か瞬きをした。
そして、今のこの状況を理解したのか、目を見張ってガバッと上半身を起こした。
If
悠佑
その目が瞬く間に潤んでいく。悲しげに、不安げに下げられた眉に胸が痛む。
悠佑
If
涙を流しながら謝るその姿に言葉を失っていた。けど、あんな最低なことを言った俺に、自分が悪いんだと言わんばかりの言葉を言い出すあにきに、思わず叫んでいた。
びく、と肩を揺らした反動で涙がまた一粒こぼれ落ち、その頬を伝う。今すぐ拭ってあげたいと思う。でも今、俺にそんな権利はきっとない。
If
謝っても許されないくらいのことをした。沢山酷いことを言った。悲しませた。泣かせた。最低だ。
でも謝ることしか出来ない。こうやって頭を下げることしか出来ない。
If
声が震えて、視界が滲んだ。泣きたいのは、苦しいのはあにきの方だ。俺に泣く権利なんて無いのに。
あにきっずとか、彼氏だとか、普段声高に言っているくせに、聞いて呆れる。
もう、あにきの顔を見ることが出来なかった。ギュッと固く拳を握り締め、床を見つめる。涙がぼろぼろと、床に落ちていく。
あにきからの返答は無い。当然だ。俺となんて、もう口も聞きたくないだろう。
自分が一番近くで笑顔にしたいから、付き合ってるんじゃないの!?
りうらの言葉が蘇る。その通りだ。あにきの笑顔が大好きで、その笑顔を見るのも、笑顔にさせるのも、一番は俺が良くて。
幸せにしたい、一緒に幸せになりたいと思っていたのに、俺は今、その顔を悲しみに染めてしまっている。
・・・恋人、失格だ。
悠佑
その時、あにきの声が、なんだかとても近くで聞こえた気がした。
気のせいだろうかと顔を上げようとした時、体に温もりを感じた。
If
悠佑
いつの間にかベットから抜け出していたあにきが、俺の目の前に来て、俺を抱き締めていた。
If
悠佑
そう言うあにきの目からは、依然涙が溢れていて、床のシミは増える一方。
If
優しい。優し過ぎる。
俺は、あんなことを言ったのに。
許されなくても仕方ないことを言った。最悪、別れようと言われても仕方ないことを言った。
なのに、なんであにきは。──悠佑は。
If
悠佑
涙を流しながら笑うその姿がぼやける。赤くなった目でも、小さく笑うその姿は何より綺麗で。
If
悠佑
悠佑の指が俺の目元に触れ、涙を拭った。自分だってずっと泣いてるのに。
指先から伝わる温もりが、心地良い。
悠佑
If
悠佑
涙を流しながらも戻ってきたその笑顔と、悠佑の言葉に。俺は勢い良くその体を抱き締めた。
If
悠佑
If
悠佑
その言葉に、バッと悠佑の顔を見る。涙を流すその目が、愛しいものを見る様に細められ、潤む瞳に俺が写されている。
胸の奥から湧き上がってくる大きな感情を感じながら、俺は悠佑の涙を拭い、そのまま頬に手を添えた。
悠佑
If
表情を和らげ、ふっと小さく息を吐いた悠佑が目を瞑る。
もう二度と、傷つけないと。次泣かせる時は、嬉し涙にすると。
そんな意思を深く胸に刻み込んで、俺は静かに、唇を落とした。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
コメント
21件
時差コメすいません。私初めて物語で泣きました。ほんっとに初めてです。フォロー失礼しますm(*_ _)m
やっぱり月見。さんの原点って最高ですね。ありがとうございます、ほんとにこれ大好きでもう何回も何回も読み返してるんです…短編小説集出しません??((
ほんとに神作品 ブクマ失礼します