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そして土曜日、バイトに出勤したさくらはお土産を休憩室に置いて、メモに「お土産です」と書いた。

そして自分と悠哉の名前を書こうとしたところで手が止まった。

大須賀さくら

(なんかすごく恥ずかしいな…)

隣に書くのも二段に分けて書くのも何故か恥ずかしくてすごく嫌だった。 考えあぐねたさくらは名前は書かずに「お土産です」のままメモを置くことにした。

そして働いて休憩室に戻ると、真島と深川がいた。

大須賀さくら

おつかれさまでーす

深川あみ

あ、これ大須賀さん?

大阪のお土産のお菓子を深川が掲げる。

大須賀さくら

えーと…私と悠哉くんです

さくらはここで嘘をつくことはできなかった。つくべきだとも思えなかった。

深川あみ

そっかー、ありがとー
大阪行ったの?

大須賀さくら

はい

深川あみ

…ん?二人で行ったの?

大須賀さくら

えっと…そうですね

深川あみ

あぁ、付き合ってるの?

大須賀さくら

付き合ってないです〜
一緒にライブ行ったんです

深川あみ

え、そうなんだ!
大須賀さん音楽とか聞くんだ
ていうかまーしーなんでそんなにやにやしてんの?

真島歩夢

あ、いや、そんなつもりは

大須賀さくら

(真島さん面白がってる?)

深川あみ

大須賀さん何聞くの?

大須賀さくら

邦楽ロックが好きで…

そしてまた別の休憩で別の社員の鈴木に話しかけられた。

鈴木麻里子

あ、これさくらちゃん?

大須賀さくら

あっ、私と悠哉くんです

鈴木麻里子

さくらちゃんと中村くん…?
えっ、二人で行ったの?

大須賀さくら

えっと…はい…

篠原圭子

えっ、二人⁉︎

酒井杏奈

付き合ってるの⁉︎

一緒にいた篠原と酒井も一斉に反応する。

大須賀さくら

付き合ってません…

鈴木麻里子

付き合ってはないんだ

篠原圭子

付き合わないの?

大須賀さくら

それは…私の気持ちだけでどうにかなる話でもないので…

はっきりと「付き合わない」と否定しても良かったのだがなんとなくそれは惜しい気がしてさくらは曖昧な返答をした。

鈴木麻里子

あ、さくらちゃん的にはアリなの?
というか好きではないの?

大須賀さくら

うーん…
あ、でも男友達の中では一番好きですね

酒井杏奈

えっ、そうなんだ!

大須賀さくら

たぶん一番仲良しなので

篠原圭子

なるほど〜

大須賀さくら

(もちろん悠哉くんのこと人間的に好きだとは思うけど、恋愛かって言われるとはっきりとはわからないんだよな)

ここでさくらが言ったことに一つも嘘はなかった。何人か男友達はいるが、悠哉のことがその中では一番好きだ。

そしてその日帰る時に、三浦がさくらのそばにやってきた。

三浦まゆ

お土産ありがとうございます
大阪楽しかったですか?

大須賀さくら

うん!すごく楽しかった
ドロスめっちゃかっこよかった…

三浦まゆ

大阪で何か食べましたか?

大須賀さくら

あー…観光は特にしてなくてスタバ入ってずーっと喋ってた

三浦まゆ

えぇ!もったいない!
大阪まで行ったのに!

大須賀さくら

まぁ、確かにそうだけど…
楽しかったしいいかなって

三浦まゆ

それで、えっと大須賀さんは中村さんのこと好きじゃないんですか?

大須賀さくら

いや、好きだけど…人として

三浦まゆ

でも二人で出かけたらそれはもうデートですよ!

大須賀さくら

まぁそうだよね…

三浦まゆ

付き合ったりはしないんですか?

大須賀さくら

それはほら…私の気持ちだけでどうにかなる話でもないからさ…

三浦まゆ

くっついて欲しい…

大須賀さくら

ははは…

さくらは曖昧に笑ってその場をやり過ごすことにした。そういえば昨日も同じような会話をした。

さくらは大阪から帰ってきた金曜日、家に帰ってシャワーを浴びてから、大学に行った。卒業論文のゼミがあったから参加したかった。

あかり

あ、さくらおはよー

おはよー

大須賀さくら

おはよー

あかり

…なんか疲れてない?

大須賀さくら

あー…実はね今朝大阪から帰ってきて大学来たから…

えっ!昨日大阪行ってたの?

大須賀さくら

うん、授業サボっちゃった

あかり

…もしかして中村くんと行ったの?

大須賀さくら

…うん

えーっ!やばっ!

あかり

泊まったの⁉︎

大須賀さくら

うーん、泊まってはない
夜行バスで帰ってきた

あかり

でも夜行バスで一夜を共にしたってことでしょ⁉︎

ちょっと言い方

大須賀さくら

本当に言い方

あかり

もう付き合いなよ!

大須賀さくら

そんなこと言われても…

あかり

でも誘ってくる時点で絶対中村くん?はさくらのこと好きでしょ!

大須賀さくら

いやー…

でもそれはあるよ
たぶん好きでしょ

大須賀さくら

うーん、嫌われてはないと思うけど…

あかり

さくらはどうなの?

大須賀さくら

いや、まぁ好きだけど…好きか嫌いかで言うなら確実に好きだけど…よくわからない

そっかー…

そこは教授がやってきてとりあえず話が終わり席に着くことになった。

大須賀さくら

ただいまー

さくらは昨日のことを思い出しながら家に帰った。 今日、悠哉とシフトが同じでなくてよかった。ここまで色々言われると意識してしまいそうだ。

大須賀さくら

(でも私、本当にどう思ってるんだろう)

22時間そのうち2時間くらいはライブだったし、寝ていた時間もあるけれどそれだけの時間を一緒に過ごしても全く退屈しなかったどころか楽しかった。

物理的な悠哉の隣がさくらにはすごく心地よかった。

大須賀さくら

(私って零さんのことが好きなんじゃなかったっけ…)

零と悠哉を思い浮かべてみる。思い浮かべてもどう考えてもタイプなのは零だ。

大須賀さくら

(そして誘ってきた悠哉くんはどう思ってるんだろう)

さくらは自分に好意を持たれるとなんとなく気づく。「好きなのかな」と思う。でも悠哉の態度は微妙だ。「好きなんだろうか」と思うが本当にわからない。

その時さくらのスマホがピロンと鳴った。

大須賀さくら

あ…

磯村康史

明日何時にする?

大須賀さくら

明日バイトが16時までだから17時とかでいい?

磯村康史

了解!
さくらちゃん何食べたいとかある?

大須賀さくら

特に大丈夫

磯村康史

おっけー

大須賀さくら

はぁ…

明日、磯村と会う日だったことをすっかり忘れていた。 親に言ってはいたがさくらの意識的な記憶から消えていた。

磯村というのが悠哉に話した「面接で会った男の子」だ。「さくらちゃん」と呼ばれるのは慣れてない。ぞわっとする。でもそんなことは言えない。

大須賀さくら

(どうせ呼ばれるなら磯村くんより零さんとか悠哉くんに「さくらちゃん」って呼ばれる方がいい)

失礼極まりないがさくらはそんなことを思った。

そんなことを思っているのに、なぜ会うのかと言うと「断る理由が特にないから」なのだが、もう一つある。

何回か会って磯村の態度を見ていてさくらはなんとなく勘づいてしまった。「私のこと好きなのかな」と。

大須賀さくら

(呼ばるのが嫌なのはそう思ってるからかもしれないけど…)

もちろんバイト先が同じ悠哉の方が会ってる回数は多いが、遊んだ回数は磯村の方が多いのに全く磯村にさくらの気持ちは向かない。

大須賀さくら

(良くないのかもしれないけどでも言われたわけでもないし断る理由もないし)

「断る理由がない」みたいな理由で会うから相手も誘ってくるのだが、断ることに労力を使うのも最早さくらには面倒だ。 そもそもさくらから誘ったことなんて一度もない。

大須賀さくら

しょうがないよね…

さくらはそう呟いて明日のバイトに備えて寝ることにした。

片想いでも恋だと思いたかった

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