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第1話 - あ

2023年03月19日

#恋愛

結城真矢

アイ

ハルナさんこんにちは〜！

アイ

聞きたいことあったんだけど、今いい?

ハルナ

アイさん、こんにちは。

ハルナ

あまり関わりがなかったので、少しびっくりしましたが…

ハルナ

どうしましたか？

アイ

あたし達って年齢も全然違うし、ママ友グループも違うもんね〜w

アイ

まぁでもとりあえず聞いてよ！

ハルナ

あ、はい…

アイ

他の人から聞いたんだけど！

アイ

ハルナさん、自宅で服作ってるってマジ！？

ハルナ

まぁ、仕事として服を作っていますよ。

ハルナ

工房兼自宅ですので。

アイ

えー！マジすごいね！

ハルナ

それが何か…？

アイ

あのさ〜

アイ

うちの娘の卒業式の衣装作ってくれない！？

ハルナ

え？

ハルナ

卒業式の衣装ですか？

アイ

そう！

アイ

レンタルも考えたんだけど、結構高いじゃん？

アイ

あたしシングルマザーだからそんな金ないし！

アイ

でもうちの可愛い娘をだっさい服で登場させるわけにもいかないし…

アイ

だから服作って欲しいんだよ〜！

アイ

マジでお金ないから…

アイ

ママ友価格ってことでタダでよろしく♡

ハルナ

タダ！？

ハルナ

ちょっとそれはいくらなんでも…

ハルナ

私、仕事として服を作っていますので無理ですよ！

アイ

はぁ？

アイ

ケチくさ！！

アイ

何が仕事だよw

アイ

自宅でやってんならどうせ素人に毛が生えたレベルっしょ？w

アイ

そんなのに金払うとかありえないってw

ハルナ

え…

ハルナ

アイさん、言い方が少し酷くないですか？

ハルナ

仮にも服を作って欲しいとお願いしている立場ですよね?

ハルナ

なのに、そんな横柄な言い方はちょっと…

アイ

いやいや！あたしの娘の服が作れるんだよ！？

アイ

光栄に思ってよw

ハルナ

言ってることがめちゃくちゃですよ！

ハルナ

それに卒業式時期は一番忙しいんですよ。

ハルナ

他にも注文されている方がいますし、

ハルナ

私の娘も卒業なので、娘の分も作る予定ですから、

ハルナ

分かっていただけませんか？

アイ

は？

アイ

あんたの娘の分をあたしの娘に回してくれればいいじゃん！

アイ

小6のサイズ感なんてほぼみんな一緒でしょ？w

ハルナ

どうしてそんなことしなきゃいけないんですか！？

ハルナ

自分の娘よりお金も払わない非常識な人を優先しろと？

アイ

何その言い方！

アイ

あたしはシングルマザーなんだよ！？

アイ

だから周りに何かしてもらうのは当たり前じゃん！

ハルナ

シングルマザーだからお金を払わず、タダで服を作ってもらえると？

アイ

そうだって言ってんじゃんw

アイ

何回も同じこと言わせるなよw

ハルナ

そうですか…

ハルナ

何度言われても私は絶対に作りませんからね。

ハルナ

あなたの発言や態度のせいで、

ハルナ

服を作ってあげたいという気持ちが一切起きないので。

アイ

マジでだるいね。おばさん！

アイ

頭の硬いおばさんは嫌われるよ〜？w

アイ

何回も同じこと言うのだるいし、卒業式の服は頼んだからね〜w

アイ

しつこくラインしてきそうだから、ブロックするわw

アイ

服出来た頃にまたブロック解除するわ〜w

ハルナ

え！ちょっと！

ハルナ

アイさんってば！！

ハルナ

私は引き受けてませんからね！

〜その直後〜

ハルナ

マツコさん、今忙しいかな？

ハルナ

ちょっと相談に乗ってもらいたくて…

マツコ

ハルナちゃん久しぶりだね！

マツコ

どうしたー？仕事のこと？

ハルナ

うーん…

ハルナ

仕事のことっちゃ仕事のことかな？

マツコ

何かあった?

ハルナ

私達の娘の同級生のママさんで、

ハルナ

アイさんって若いママさんいるでしょ？

マツコ

うん、いるね…

マツコ

確か、20代後半だった気がするけど…

マツコ

まさか目つけられた！？

ハルナ

そうかもしれないの…

マツコ

何があったの！？

ハルナ

私もいきなりラインが来て戸惑ったんだけど、

ハルナ

服を作る仕事してるの?って聞かれて、

ハルナ

服飾の仕事してるなら娘の卒業式の服を作ってって言われたの。

ハルナ

それもタダで！

マツコ

はぁ！？

マツコ

タダで卒業式の服を作れって！？

マツコ

なにそれ…

ハルナ

私もびっくりしすぎちゃって、作りませんってハッキリ言ったんだけど

ハルナ

「あたしの娘の服を作れるんだよ！光栄でしょ！？とか言われたり、」

ハルナ

シングルマザーだからって何かしてもらうのが当たり前って感じだった。

ハルナ

しまいには、頼んだからね〜ってブロックされちゃったし…

ハルナ

こんなこと初めてで…どうしたら良いのかな？

マツコ

出た出た…

マツコ

あの人、非常識クレクレママで有名なんだよ。

ハルナ

クレクレママ？

マツコ

ハルナちゃん知らなかったの?

ハルナ

全然知らなかった…

ハルナ

関わりなかったし、私が標的にされるなんて思ってもいなかったよ…

マツコ

そうだよね〜

マツコ

アイさんって1年前くらいに引っ越してきたんだけど、

マツコ

引っ越してきた直後から近所のママ友に迷惑行為連発して、

マツコ

速攻嫌われたらしいよ。

ハルナ

迷惑行為？

マツコ

今では誰も相手にしなくなったって聞いたから、

マツコ

迷惑行為の範囲を広げた結果、

マツコ

ハルナちゃんが標的になっちゃったんじゃないかなって思う…

ハルナ

えぇ…

ハルナ

結構有名な人だったんだね…

ハルナ

ご近所さんでもなかったから全く知らなかったよ。

マツコ

それにあの人シングルマザーじゃないよ？

ハルナ

え！？

ハルナ

私には何回もシングルマザーだからってアピールしてたんだけど…

マツコ

近所に住んでたママ友に聞いたけど、

マツコ

旦那さんいるけど単身赴任なんだってさ。

マツコ

実の両親には絶縁されてるって噂だよ。

マツコ

義両親も遠方に住んでいるらしいし、

マツコ

ハルナちゃんは少し離れたところに住んでるから、

マツコ

嘘ついてもバレないと思ったんだろうね…

ハルナ

最低じゃん…

マツコ

関わらないのが1番だよ…

ハルナ

そうだよね…

ハルナ

マツコさん色々情報くれてありがとうね…

マツコ

いいえいいえ！

マツコ

卒業式もあってバタバタだけど、お互い仕事頑張ろうね！

〜卒業式当日〜

アイ

ちょっと！！

アイ

あたしの娘の衣装どうなってんの！？

アイ

今日卒業式なんだけど！？

アイ

いつになったら作った衣装を渡してくれるわけ！？

アイ

おい！返事しろってば！！

アイ

ハルナさん！！

ハルナ

なんですか？

ハルナ

卒業式の朝からけたたましい…

アイ

あ！やっと返事してきた！！

アイ

あんたから衣装が届くの、

アイ

あたしらずっと待ってたんだけど！？

アイ

どうなってんのよ！！

ハルナ

え？

ハルナ

作らないですよって言いましたよね？

アイ

へ！？

アイ

はぁ〜！？

アイ

そんな冗談はいいから！！

アイ

作ってるのよね！？

ハルナ

いや、本当に作ってないです。

ハルナ

私、ちゃんと断りましたよ?

ハルナ

あなたの言動や態度のせいで

ハルナ

服を作ってあげたいという気持ちが一切起きないですって。

アイ

ちょっと！！

アイ

ふざけんなよ！？

アイ

じゃああたしの娘は何着て卒業式に出れば良いんだよ！！

ハルナ

知りませんよ。

ハルナ

断っているのにブロックをしたりしたのはあなたではありませんか？

ハルナ

何度も連絡をしたのに。

アイ

マジでいい加減にして！

アイ

あたしの娘の衣装作ってないんだったら、

アイ

あんたの娘の衣装をちょうだいよ！！

アイ

それでチャラってことにしてやるから！！

ハルナ

は？

ハルナ

何言ってるんですか。

ハルナ

いい加減にしろはこっちのセリフですし、

ハルナ

私の娘の衣装をよこせと？

ハルナ

小学校生活6年間の締めくくりにと私が作った衣装を？

ハルナ

お宅の娘が着るんですか？

アイ

当たり前！！

アイ

あんたの娘より、あたしの娘が着た方が似合うんだから！

アイ

あー！もう！

アイ

そろそろ行かなきゃいけないじゃん！

アイ

あんたの家まで行ってやるから、衣装だけ早くよこせよ！！

ハルナ

衣装は私の娘に合わせて作っていますからね…

ハルナ

あなたの娘には…ちょっと…

アイ

は！？

アイ

あんたあたしの娘をバカにしてんの！？

アイ

あたしの娘は痩せてるし、可愛いから何でも似合うんだよ！！

ハルナ

そうですか…

ハルナ

体型をバカにするような発言はしたくないのですが、

ハルナ

残念ながら私の娘の衣装は似合わないかと思います。

アイ

何言ってんの？

アイ

あたしの娘が入らないわけがないでしょ！

アイ

あんたの自慢の娘はどんだけモデル体型なの？w

ハルナ

私の娘、小6なのに164センチあるんです。

ハルナ

身長が高い旦那の家系に似たみたいで。

アイ

へ…？

アイ

164センチ…？

ハルナ

はい。

ハルナ

なので、当然ながら既製品の服は丈が短くなってしまうので、

ハルナ

私服はほぼ私の手作りというわけです。

ハルナ

今回の衣装もあなたの娘さんが着たら、

ハルナ

とんでもないことになってしまいますよねw

アイ

そんな…

ハルナ

痩せてようが、可愛かろうが意味がないというわけですね。

ハルナ

まぁそういうわけなので諦めてください。

ハルナ

卒業式は綺麗めな私服で出たらいかがですか?

アイ

無理に決まってるでしょ！！

ハルナ

どうしてですか？

ハルナ

ドレスや袴を着なきゃいけないというルールはありませんし、

ハルナ

服装は自由だと思うのですが…

アイ

あ、それは…

アイ

義両親が見にくるのよ！！

アイ

ママ友に作ってもらった衣装で卒業式に出るって言ってあるのに…

アイ

こんなんじゃ旦那にも義両親にも会わせる顔がないじゃない！！

ハルナ

旦那?義両親？

ハルナ

あれ？アイさんシングルマザーではなかったのですか？

アイ

あ…

ハルナ

まぁ複数のママ友から色々と聞いていましたが…

アイ

色々ってなによ！？

ハルナ

あなた1年前に引っ越してきてから

ハルナ

ご近所さんに迷惑行為をしまくったそうですね?

アイ

はぁ！？

アイ

そんなことしてないわ！

ハルナ

自覚がないのですね。

ハルナ

突然大鍋持って尋ねて、ご飯のおかずよこせと言ったり、

ハルナ

宅急便が来たのを見計らって、押しかけて貰おうとしたり、

ハルナ

あなたのご近所さんはかなり迷惑されていたみたいですよ。

ハルナ

だからご近所さんから遠巻きにされているんじゃないですか?

アイ

え…

アイ

確かに最近ご近所さんが付き合い悪いなって思ってたけど…

ハルナ

まぁそういうことですよね。

ハルナ

今回の衣装よこせとたかった件については、

ハルナ

卒業式が終わったらあなたの旦那さんや義両親にお伝えしますね。

ハルナ

シングルマザーと名乗っていた件も。

アイ

へ！？

アイ

ちょっとやめてよ！！

アイ

もうしないって！

アイ

ごめんなさい！

アイ

旦那と義両親、めちゃくちゃ厳しいんだって！！

アイ

お願いだから言わないで！！

ハルナ

もう卒業式に行かなきゃいけないので失礼しますね。

ハルナ

お互い感動的な卒業式になると良いですね。

ハルナ

もう連絡を取ることはないと思うので、ブロックしますね。

ハルナ

失礼します。

〜後日談〜

ハルナ

その後、卒業式は無事に終了しました。

ハルナ

アイさんの娘はギャルギャルしい私服で登場。

ハルナ

綺麗めな私服という言葉はアイさんには通じなかったようです。

ハルナ

流石に衣装がない時点で旦那さんも義両親も何かを察したらしく、

ハルナ

卒業式の後に今回のことを全てお話をしたら、

ハルナ

旦那さんも義両親も般若のような顔をされていました。

ハルナ

後日、アイさんは今後人に迷惑をかけないようにと

ハルナ

義実家同居となり、遠方に引っ越して行きました。

ハルナ

情報通のマツコさんによると、姑さんにビシバシ嫁教育をされ、

ハルナ

毎日泣きながら生活をしているそうです。

ハルナ

そんな生活をしていても、ふと目を離した隙に

ハルナ

ご近所さんが受け取るはずの宅急便を勝手に受け取ったり、

ハルナ

「おかずをよこせ！とご近所の家に押しかけているとのことでした。」

ハルナ

義実家同居でも改善しないのであれば、

ハルナ

山奥の寺にでも放り込むか…と旦那さんや義両親が話していたそうです。

ハルナ

私の娘は手作り衣装を沢山褒められ、最高の笑顔で小学校を卒業しました！

ハルナ

これからは迷惑ママ友に邪魔されることなく、

ハルナ

幸せに暮らしていけることを願うばかりです！

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結城真矢

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