さばお
秋最大のコミックマーケット
さばお
秋コミにやってきた!
さばお
今回もコスプレしたけど、張り切り過ぎたかな?
カレン
あなた!
さばお
え?
カレン
それ、「異世界に召喚されたら勇者にされた件」の魔王カツベルのコスプレ?
さばお
えっと…は、はい!そうですよ。
さばお
あなたは、魔王カツベルにさらわれちゃう姫カレンのコスプレですよね?
カレン
正解!私、本名もカレンっていうの
さばお
そうなんですね!僕は…さ、さば…お!
さばお
さばおっていいます!
親しく話しかけてくれたカレン。
でもごめん。僕は君に2つ嘘をついている。
さばお
あ、あの漫画の作者知ってます
カレン
あの作者の漫画、面白いよねー
カレン
あ、私買いたい漫画あるんだ!
さばお
さばお
え、あ、それって…
カレン
BLコミックはお嫌い?
さばお
え?あ〜、専門外、かなぁ
カレン
あらそう。残念。
さばお
は、はは…
僕達はいつの間にか一緒に会場をまわっていた。
さばお
もうそろそろ終わりに近いですね
カレン
そうね。
コミケ終了のアナウンスが流れる。
カレン
終わっちゃったね
さばお
ほんと…悲しいです。
カレンさんと離れるのが
さばお
…………
コミケが終わると会場のみんなは拍手をしてしめるのが暗黙のルールだ。
拍手が会場に鳴り響く。
僕達は拍手もせずに見つめあっていた
うるさくて仕方ないはずの拍手の音は
カレンさんの顔を見つめているうち
耳に入らなくなった
カレン
その、良かったら、また会ってくれない?
さばお
……ご、ごめんなさい。
さばお
ごめんなさい…それは、無理です…
僕は肩を震わせた。涙を見られたくなくて、下を向く。
カレン
変なこと言ってごめん。嫌だったらいいよ…
さばお
ち、違う!
さばお
僕は、僕は、
意を決してコスプレを取る
さばお
これが本当の姿だよ…
さばお
この角は、コスプレなんかじゃない。
さばお
この黒い羽も、本物。
「僕の正体は悪魔なんだ。」
伝えたいけど、伝えたくない。
さばお
ごめん。姿も、名前も嘘ついて…
カレン
カレン
本当の名前は…?
さばお
え?
意外な第一声に戸惑った
さばお
サ、サバス・テシュタール
カレン
ふふっ
カレン
長い名前ね
カレン
あなたの名前はさばお!
カレン
さばおはさばお!
カレン
何も嘘なんかじゃない。
カレン
もう会えないなんてこともない
カレン
コスプレ…コミケだったら、会えるんでしょ?
震えた声だった。
カレン
だったら、待ってる。
カレン
次は、冬コミ、かな…?
彼女は泣きながら笑った。 笑いながら泣いた。
さばお
…会えるね…絶対、会える
会える確証も無いのに…僕は誓うように言った。
僕らは自然と抱き合っていた。
柔らかな腕で僕の背中を掴むカレンは とても綺麗だった。
さばお
次は、冬コミで