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コメント
1件
いるまくんのいない静けさが、三人の日常の輪郭を浮かび上がらせていて切なかったです。特に、食事のシーンで「嫌いなやつを後回しにして食べていた」と思い出すこさめの言葉に、日常の小さな記憶が愛おしくなる気持ちが詰まっていました。すち先生の隠している事情も気になります。早く三人に会えますように…🤍
➰ ✿ nrkr
32
りおん
5,264
みかんのかんずめ
246
いるまが研究区域へ移されてから、数日が経った。
それでも、こさめとなつは毎朝、いるまのベッドを見ていた。
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いるまがいなくなった理由は、二人には何も知らされていなかった。
ただ、
「検査が長引いている」
それだけ。
だから、今日もきっと帰ってくる。
そう思っていた。
コンコン。
扉が開く。
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すちは二人を見る。
いつもより少しだけ、表情が硬い。
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すちは静かに扉を閉めた。
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声が震える。
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目に涙がたまる。
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なつは俯いたまま、何も言わない。
けれど、握った拳は小さく震えていた。
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自分に言い聞かせるように、何度も繰り返す。
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その言葉に、すちの胸が痛んだ。
待っても。
いるまは戻ってくることはない。
それを知っているのは、研究者側だけだった。
すちは何も言わず、部屋から出ていった。
扉が閉まる。
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昼。
食事が運ばれてくる。
二人分。
こさめが並んだ皿を見る。
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一瞬だけ笑う。
けれど、その笑顔はすぐに消えた。
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夕方。
こさめは、いるまのベットに座っていた。
枕を触る。
数日前から使われていないのに、
まだ、いるまがここにいるような気がする。
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返事はない。
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なつもベットの横に立つ。
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夜。
部屋の灯りが消える。
こさめは目を閉じる。
けれど眠れない。
いつもなら、聞こえる声がない。
いるま「うるせぇ。」
なつ「お前もな。」
こさめ「二人ともうるさーい!」
そんなくだらないやり取りが、今日はない。
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隣を見る。
空いたベット。
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小さく息を吐く。
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なつも目を開けていた。
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二人は、それ以上何も言わなかった。
ただ、空いたベットを見つめる。
その頃。
研究区域。
いるまは一人、机に向かっていた。
白衣の袖を握る。
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今日も、こさめたちに会えなかった。
会いたい。
声を聞きたい。
けれど、戻ることは許されていない。
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机の上には、明日の研究資料。
その横には、今日使った被験者の記録。
いるまはそれを見つめる。
そして、小さく呟いた。
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もちろん、返事はない。
同じ建物中にいるのに。
同じ夜を過ごしているのに。
三人の間には、もう簡単には超えられない白い壁があった。