テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１３３５

第1話 - あ

2023年11月20日

#スカッと

タナカトシキ

ショウヘイ

まじでお前んちの弁当って犬の餌みたいな内容してるよな

タマキ

うるせーよ

ショウヘイ

からあげとまあマカロニサラダはわかるよ

ショウヘイ

なんだよあのぐちゃぐちゃな卵焼きwwwお前の母さんまじで料理下手くそだな

ショウヘイ

それに栄養バランスもぐっちゃぐちゃだしよw

タマキ

うるせーよ

タマキ

人んちの弁当にケチつけんな

タマキ

高校生にもなって子供かお前は

タマキ

いいだろ、くってみたらうまいんだよ意外と

ショウヘイ

ドブに住んでる奴が

ショウヘイ

「意外とドブは綺麗で住みやすいところです」

ショウヘイ

って言ったってまったく信用できないだろw

ショウヘイ

それと同じでお前がいくらあの駄作弁当を誉めたところで納得できんからw

ショウヘイ

まじでw

タマキ

お前さ唯一いる友達が俺なわけだろ？

タマキ

ほんと、大切にした方がいいと思うけどな友達は

タマキ

俺はそう思う

ショウヘイ

それじゃ俺が明日からお前の分の弁当も持ってきてやるよw

タマキ

いいよ、申し訳ないだろ

ショウヘイ

なにがもうしわけないだよw

ショウヘイ

お前も知ってるだろ？

ショウヘイ

俺の母親はあの有名ファッションブランドUMIGUMOの社長ぞw

ショウヘイ

父さんは資産家で現在海外でバリバリ活動中

ショウヘイ

お前の弁当一つ増えたところでゴジラにうつミサイルぐらいどうってことないんだよ

タマキ

申し訳ないって言うのはお前の家族に対してじゃなくて、俺の母さんにだよ

タマキ

毎朝早起きして俺の弁当を作ってくれてんだよ

タマキ

母さんは母さんなりに考えて俺の好きなものを入れようとしてくれててさ

タマキ

結果弁当全体がまっ茶色になることが多々あるんだけどよw

タマキ

そこで急に

タマキ

「おかねもーちのともだーちのおべんとーうをたべーるからもうつくらなーくてもいいーよ」

タマキ

なんて言ったら母さん邪推して落ち込んじゃうかもしれないだろ

ショウヘイ

なんでイタリア人アクセントで伝えてるんだよ

ショウヘイ

そんなこと気にしないだろ

ショウヘイ

それに逆に朝の時間に余裕ができるし、

ショウヘイ

お前の弁当代も浮くからなけなしの家計も少しは助かるだろwww

タマキ

シングルマザーの涙ぐましい努力の結晶をなけなしの家計とかいうな

ショウヘイ

いいのか？

ショウヘイ

俺んちのべんとう、お前毎日みてるだろ？

ショウヘイ

超豪華３段仕立て、

ショウヘイ

一番下の段には旬の食材と一緒に炊き上げた、日本一の高級米の炊き込みご飯

ショウヘイ

その上の段には自宅でシェフが締め上げた鮮度抜群の海鮮を使ったお弁当仕立ての海鮮料理

ショウヘイ

一番上段には自宅栽培しているオーガニック食品をつかったサラダ

ショウヘイ

栄養バランスがきっちり計算された上に子供が大満足できる原価五千円以上はかかっている

ショウヘイ

超高級スペシャルデラックス弁当だよ

ショウヘイ

どうだこのラインナップ、お前の家では一生お目にかかることないロブスターも入ってるんだぜ

タマキ

よくわかったよ

タマキ

別に裕福な家庭でいいもんだけ食って育ったところで内面まで裕福に育つ訳ではないんだな

ショウヘイ

なんだと！？

ショウヘイ

俺が親切でいってやってるのによ！

ショウヘイ

お前の母さんだって大変そうだろ！女で一つでお前育てて、毎日休まず働いて！

ショウヘイ

でも夜はしっかりと家に帰ってきてお前の分の食事を毎日作って！

ショウヘイ

朝早く起きて犬の飯作ってまた仕事に行って！

ショウヘイ

その中の一つでも俺が負担してやるって言ってるんだから、

ショウヘイ

時間が余ってお母さんも嬉しい、

ショウヘイ

美味しいご飯が食べれてお前も嬉しい、

ショウヘイ

貧乏人が味のわからん高級料理に舌鼓うっておいしいとかいってる

ショウヘイ

滑稽な姿を見れる俺も嬉しい、で全員勝ちだろ

タマキ

明らかに俺だけ圧倒的に敗北してただろ今

タマキ

お前にそんな見下されて食う飯なんか美味くないわい

タマキ

お前が俺の母さんのことを考えてくれてるのはありがたいけどよ、

タマキ

いいよ、俺は母さんの弁当が好きだから

ショウヘイ

お前が良くてもお母さんが良くないだろ

ショウヘイ

まあまあ一回でいいから食べてみろって

ショウヘイ

一回だけだよ

タマキ

しつけーな

タマキ

わかったよ、一回だけだからな

タマキ

母さんに今日行ってみるよ

ショウヘイ

おうw結局高級料理に釣られたか貧乏人めw

タマキ

ぶっ飛ばすぞお前

〜アズサのチャットルーム〜

タマキ

かあさーん

アズサ

どうしたの

アズサ

ごめん今日母さん夜遅くなっちゃうからさ、ご飯だけ炊いといてもらってもいい？

アズサ

二合よろしくね

アズサ

かえったらすぐハンバーグ作るから

タマキ

別に大変だったら毎日無理してつくんなくてもいいから

タマキ

もちろん嬉しいけどさ、俺バイトも始めたし夜ご飯ぐらい自分でもなんとかできるから

アズサ

なにいってんの

アズサ

まだ高校一年のがきんちょなんだから親のご飯をしっかり食べなさいよ

アズサ

自分で働いて稼いだお金はちゃんと自分の使いたいことに使いなさい

アズサ

3食用意するのだって、寝るところを用意するのだって

アズサ

不自由なく子供を過ごさせるのが親の仕事なんだから

アズサ

いちいち息子に金を使わせてたら申し分ないわよ

タマキ

べつにいいよ、おれだって母さんが大変なことちゃんと知ってるから

タマキ

頑張りすぎないでよな

アズサ

そう言ってくれると嬉しいわ、ありがとう

タマキ

それでさ、なんか明日ショウヘイが俺の分の弁当も持ってきてくれるらしいんだよ

タマキ

俺は母さんの弁当が好きだからいらないっていったんだけどどうしてもっていうから

タマキ

明日は朝、ゆっくりしなよ

アズサ

そう？なんだか申し訳ないわね

タマキ

お母さんの弁当が嫌だからとかそんな意味全くないから

タマキ

お母さんが大変じゃなかったら俺は母さんの弁当を毎日食べたいと思ってるからな

タマキ

それだけはいっとくわ

アズサ

ありがと笑別にそんな心配してないわよ笑

アズサ

私の料理が世界で一番美味しいって自負してるからね

タマキ

あ、うん、

タマキ

でもさ、

タマキ

こういっといてなんだけど一応向上心は常に持ち続けて欲しいかな

タマキ

まだ改善の余地はあると思うから

アズサ

なによ、やっぱりもんくがあるわけ？

タマキ

やっぱ全体的にちょっとしょっぱいかな

タマキ

あと砂糖と塩いつも間違えてるし。あれわざとなの？

アズサ

ごめんなさーい

〜次の日〜

ショウヘイ

俺の弁当すーぐ完食してたじゃんwww

ショウヘイ

やっぱりうまかったべ？レベチだってべ？

タマキ

そりゃまあうまかったよ

タマキ

涙が出るほど

タマキ

あれなんだな、ロブスターとかさ納豆とかさ、カニとか

タマキ

こう、見た目がグロテスクなほど味がうまいってもうそういう方程式が世界に組み込まれてんかね

タマキ

かぶりついた瞬間大号泣だったわ

ショウヘイ

あんなにがっついてるところ、お前の母さんの弁当の時は見たことないぞwww

タマキ

そりゃ毎日食ってるからな

タマキ

なれるだろ

ショウヘイ

な？もう戻れないだろ？

ショウヘイ

これから俺が毎日持ってきてやるからwお母さん楽させてやんなよww

タマキ

んー

タマキ

いやいいや

タマキ

明日からはいつも通り母さんの弁当食うよ

タマキ

そうだ、今日のお礼に明日は俺がお前の分も弁当持ってきてやるよ

タマキ

俺も手伝うから

ショウヘイ

は？

ショウヘイ

いやいや

ショウヘイ

意味わからん

ショウヘイ

なんでわざわざもう一回犬の餌に戻るわけ？

ショウヘイ

ばかなん？

ショウヘイ

てか俺が犬の餌を食える訳ないだろww

ショウヘイ

冗談は勘弁してくれでやんす

タマキ

いい加減その口の悪さどうかしたらどうだよ

タマキ

しょうがないか、正してくれる母親も父親もいなかったんだもんな

ショウヘイ

は？

タマキ

そりゃこんなガサツで自己中で怠慢で傲慢な立派な息子さんが出来上がる訳だよ

ショウヘイ

なんだよ急に

ショウヘイ

お前、それがいい飯食わしてもらった友達に対する態度かよ

タマキ

お前なんか友達じゃねえよもう

ショウヘイ

え？

タマキ

お前は悪い奴じゃないよ

タマキ

むしろいい奴だと思ってた

タマキ

口は悪いし生意気だけどよ、

タマキ

優しい部分も持ってるしどこか他人が自分を嫌う部分を恐れているのもわかってた

タマキ

だからお前の芯の部分を見て付き合ってたけどさ、

タマキ

俺の母さんの悪口まで何も思わずに吐き出すなら俺は母さんの名誉のためにもお前とはいられない

タマキ

ごめんな

タマキ

もう連絡してこないでくれ

ショウヘイ

ちょっとまってくれよ

ショウヘイ

何急にキレてんだよw

ショウヘイ

いつものことだろ？

ショウヘイ

俺が本心でこれ言ってると思ってるのかよ！

ショウヘイ

おい！

ショウヘイ

ちょっと

ショウヘイ

俺が悪かったって

ショウヘイ

ブロックしないでくれよ

ショウヘイ

ごめん

ショウヘイ

ほんとに

〜アズサのチャットルーム〜

タマキ

ショウヘイと喧嘩した

アズサ

えーあんなにいい子なのにどうして

タマキ

実はいろいろあってさ

ー数分後ー

アズサ

なるほどね

アズサ

私のために怒ってくれてありがとうね

アズサ

でも、私はショウヘイくんの気持ちもわかるの

タマキ

あいつの気持ち？

アズサ

うん、ショウヘイ君の親は小学校の頃から保護者会にも運動会にも卒業式にも一回もこなかったでしょ？

アズサ

私たち親の間でも昔から少しショウヘイ君には気を配ってたのよ

アズサ

実は子供たちにあんたたちには伝えてなかったけどね

アズサ

ショウヘイくん、中学３年の冬休みに、一回家出をしてるの

タマキ

え？

タマキ

そんなの聞いたことないよ

アズサ

3日ぐらいおうちに帰ってこなかったみたいでね、

アズサ

警察も出動するぐらいの大騒ぎになったんだよ

アズサ

見つかったのは二つ離れた街の路地裏で、段ボールにくるまって寝てたの

タマキ

あいつがそんな汚いところで寝るなんて耐えられる訳ない

アズサ

お母さんにかまってもらいたかったのね

アズサ

ここまですれば必ず心配して迎えにきてくれるってショウヘイ君は信じてたのよ

アズサ

結局迎えにきたのは警察官

アズサ

母親からは1週間の外出禁止が言い渡されたみたい

タマキ

そんなことあったんだ

アズサ

だからね、多分毎日母親の愛情をもらってるあなたに嫉妬してたんじゃないかしら

タマキ

そうだったのか

タマキ

俺あいつに酷いこと言っちゃったよ

アズサ

大丈夫、あんたたちはまだ子供なんだから

アズサ

そんなのごめんねって言い合えばなにも問題ないわよ

アズサ

明日、私がショウヘイ君の分もお弁当作るから

アズサ

あとはもうわかるね？

タマキ

うん

タマキ

ありがとう母さん

アズサ

はいよ！いってこい！

〜ショウヘイとのチャットルーム〜

タマキ

ごめんショウヘイ、俺が言いすぎた

タマキ

明日、俺がお前の分の弁当も持ってくから

ショウヘイ

ごめん！俺こそ言いすぎた！

ショウヘイ

ずっとずっとごめん！

ショウヘイ

お前の家のことが羨ましくてつい妄言を言い過ぎてた！

ショウヘイ

ゆるしてくれ！

タマキ

わかったって

タマキ

俺こそお前の家庭事情とか悪く言ってごめんな

タマキ

やっぱりお前の芯には優しい心があるって知ってたよ

ショウヘイ

お前の母さんの弁当、楽しみにしてる

タマキ

おう、めちゃくちゃしょっぺえから覚悟しろよなw

〜次の日〜

アズサ

ごめーん今日も遅くなるからご飯先炊いといて〜

タマキ

おっけー

タマキ

あ、ショウヘイめちゃくちゃ泣きながら食ってたよ

アズサ

うそ、おいしすぎて？

タマキ

しょっぱすぎて

タマキ

また砂糖と塩間違えて作っただろ

アズサ

ありり

タマキ

でも、けっこう粋なことするじゃん

アズサ

あ、でしょ〜？

アズサ

手紙入れといたの、ショウヘイくんに

アズサ

君のことは小さい時からずっと見てるんだから私の息子みたいなものだよ、

アズサ

いつでも夜ご飯食べにおいで。ドブも愛があればスイートホームだよ？ってww

タマキ

意地悪だなw

タマキ

早速今日ショウヘイが飯食いにくるから

アズサ

わかった！じゃあお米三合で！

タマキ

了解〜

〜後日談〜

タマキ

その後、ショウヘイから弁当マウントをされることはなくなり、

タマキ

むしろ弁当を交換してくれとせがまれる日々が続きました

タマキ

夜ご飯は我が家でみんなで食べることが増え、

タマキ

家族が一人増えたようで僕自身も嬉しいです

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タナカトシキ

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