笑顔が造れない私と誘拐犯の彼等

涙が切れた後

そう問いかけられた

私は息を小さく吸って

吐きながら言った

親が必死に考えて つけたのではない .

自然と

感情が

" 無 "

に近づいていったから

ロボットみたいで

無情で

無価値で

私にかけるもの 全てが無駄で無意味で

だから 、適当に

世間体の為だけに

付けられた名前 .

正直 ，この名前で よかった .

自分には綺麗な名前 なんて無意味だし

たまたま 機嫌のいい母が

嘲笑う感じだったけど

笑顔でつけてくれたから

これでよかった .

つけてくれたのは 母親 だから . 母 から貰えるものは 私の中で " 特別 " だったから .

少し笑う

大丈夫 .

今まで通りの生活に

戻るだけ .

そんな事を考えていると

頬をつねられた

つねられた頬をさする

その時通知が鳴った

携帯を見ると 不在着信が入っていた

メッセージが

次々と来る

どうせ 、はやくても

殴るくせに .

携帯の画面に 涙が落ちた

あーあ .

なんか馬鹿みたい .

天井を見つめるように 上に視線を向けた

急に携帯を 手から取られる

何をするのだろう

すると 、彼は

急に携帯を 地面に投げつけた

画面のガラスの 割れる音

欠ける音

地面に叩きつけられる音

彼はそのあと

フライパンを持ってきて

何度も携帯を殴った

一つ一つが パラパラ漫画のように

写真が重なるような

そんな風に見えた

彼は粉々になるまで

壊し終えると

額の汗を拭って

言った

ニカっと子供のように 笑って .

肩を組んで

戯れるように笑う 彼らの中で

黛さんと呼ばれる彼は

口元を袖で隠し

微笑みをこぼしていた

私も

つられるように

笑った .