テラーノベル
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朝の病棟は、いつもより音が少なかった。 足音も、機械音も、どこか遠い
恋愛ナースはカルテを整理しながら首を傾げる
恋愛ナース
失恋ナースは一瞬だけ目を伏せた
失恋ナース
そう言いながら目線は合わない
囚恋ナースは自分の腕をギュッと握っていた
初恋ナース
初恋ナースがそう言って、医院長室へ向かう
扉は閉まっていた
ノックをしても反応がない
中は整然としていて まるで''さっきまで誰かがいた''みたいだった
机の上には一冊のノートが置いてあった
初恋ナースは少し迷ってからノートを開いた
○月12日 最近、囚恋ナースの様子が不安定。 指示が通りにくい。感情が先に出る。 一度、距離感を教え直す必要あり
○月18日 注意したあと、しばらく大人しくなる。 これでいい。 迷いが減ると、仕事は安定する
○月25日 「怖い」と言われた。 理解されていないだけだと思う。 怖がるということは、まだこちらを見ているということ。
○月30日 守るというのは、選択肢を減らすこと。 余計な考えを持たせない。 それが一番、本人のためになる。
○月1日 戻ってくるなら、それでいい。 戻らないなら、それまで。
日記はそこで終わっていた その先のページは全て白紙
初恋ナース
初恋ナースがボソッと呟いた
その日医院長は戻らなかった
連絡も、理由も、記録もない ただ不在という事実だけが残る
初恋ナースはノートをそっと閉じ机に戻す
初恋ナース
夕方、初恋ナースが病棟を見回す
医院長はいない
けれど…………
病棟は静かなのに、完全に空いた感じがしなかった
夕方の病棟はやけに静かだった
囚恋ナースはいつものように患者の対応を終え病室のドアを閉める
その瞬間ほんの少しだけ肩が落ちた
誰にもみられていないことを確かめてからナースステーションに戻る
ナースステーションに戻ると初恋ナースが顔を上げる
初恋ナース
呼ばれて振り返る けれど続く言葉はなかった
初恋ナース
初恋ナースは小さく笑う
夜 病棟の明かりが一つずつ消えていく
医院長室の机の上にはあのノートが手付かずのまま残っていた
囚恋ナース
廊下を歩く囚恋ナース自分の胸にそっと手を当てた
何も言わない ただーーーーーーーー
ここにはもう戻れない何かがあった
病棟は今日も何事もなかったように夜を迎えた
コメント
2件
わあ 初恋なーすさん出てきた … !!