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主
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主
こちらの作品はirxs様のnmmn作品です BL要素が含まれますので苦手な方はご注意下さい また、コメント欄では 検索避け(例:💎くん、水くん)の方 よろしくお願いします ※ご本人様には一切関係ありません
主
主
青
水
いつもと同じ帰り道
でも、今日は一味違う
だって隣に君がいるから
一緒に帰れることなんて滅多にない
今日はたまたまお互い部活がオフだった
部活がなくてちょっと残念だったが いふくんと帰れるなら最高だ
水
青
青
水
今は梅雨独特の蒸し暑さだけど、 これから夏のカラッとした暑さに変わる
どちらも少しうざったい
体にまとわりつく暑さは いつまでも慣れない
少し動くだけで汗が 滝のように流れてくる
青
水
水
青
学校では言い合いばかり している僕たちだけど、 二人きりだとそんなことない
それがなんだか特別感が あって嬉しいんだ
実は僕は、 いふくんに恋をしている
きっとこの恋は叶うことはない
それでも諦めきれずにいる
約一年の片想いは僕にとって初恋なんだ
初恋が実ることはほぼないらしいは そう簡単に諦められない
水
もっと一緒にいたいのに
もっと話したいことがあるのに
家はもうすぐそこだ
どんなに願ったってそこにあるのは 非情な現実だけ
じめっとした空気が 僕を嘲笑しているようだ
忌々しい分厚い雲をキッと睨む
こんなことをしたって意味がない ことぐらいわかっている
それでも八つ当たりしないと 気が済まない
「もう少し一緒に居たい」
そう一言言えればどれだけ楽だろう
でも僕にはそんな勇気は到底ない
ポツ…ポツ…
水
青
空から水滴が落ちてきた
まるで僕の心をひっくり返したようだ
ザーッ
青
青
水
青
水
青
青
水
青組
青組
いふくんに手を引かれ、 近くの公園のあずま屋まで 走ってきた
雨の中傘も差さずに走ったせいで 全身びしょ濡れだ
いきなり走ったことで 乱れた息を整える
好きな人に手を握られ、 ドキドキしないわけがなかった
水
まだ繋がれたままの手を見て、 顔に熱が集まる
骨ばっていて、スラッとしたいふくんの手
触れているところから君の体温を感じた
緊張で手汗をかいていないか心配だ
青
青
水
離れていく温もりに喪失感を感じる
君と僕はただの友達
だから君の手を繋ぎ止める術はない
青
水
雨音はさっきよりも強くなっている
これはもうしばらくは帰れなさそうだ
いつもなら気分が下がるところだが、 今日はそんなことはない
むしろいふくんともっと一緒に 居られるなんて嬉しいことだ
口角が上がってしまいそうになる
青
水
口ではそう言いつつ、本心ではまだ 止んでほしくないと思っている
雨がやまない限り一緒に居られるからだ
水
青
青
水
少し離れた足元に紫陽花の花が咲いていた
綺麗な青色をしている
水滴が花びらと葉の上を滑り落ちていく
ポタポタと軽快な音を立てている
青
水
水
近くで見るために 二人で並んでしゃがみこんだ
青
水
ポケットからスマホを取り出し、 カメラアプリを起動する
アングルを調整して ベストコンディションを探す
パシャッ
水
我ながらよく撮れたと思う
スマホのカメラの性能に 感謝しながら実物を眺める
小さな花びらが集まって 大きな花となっている
紫陽花を見ると初夏の訪れを感じる
青
ふと横を見るといふくんが スマホと睨めっこしていた
スマホと、というより 写真と、の方が正しいかもしれない
唸りながらいいアングルを 探しているその横顔は、 まるで芸術品だ
雨でしっとりとした 夜空のような髪に スッと通った鼻筋
潤いのある形のいい唇に 少し骨張った男性らしい輪郭
この世のものとは思えない美しさだ
そんな姿に見惚れながら、 スマホをいふくんの方に向ける
パシャッ
軽快なシャッター音が鳴り響く
近くで鳴ったその音に気づいたのか、 いふくんがこちらを向く
青
水
青
青
水
誤魔化そうと試みたが 墓穴を掘る結果となった
言い逃れができないこの状況
まさしく詰みだ
水
水
青
勝手に写真を撮って、 君は怒っただろうか?
下を向いていた視線を上に向け、 いふくんの顔色を窺う
その顔は真っ赤でまるで 熟れた林檎のようだ
照れている?
いや、きっと そんなことはない
いふくんが写真を 撮られたぐらいで 照れるはずがない
女の子にモテモテで よく告白されていて、 その度に表情一つ 変えないのだから
だから僕の行動一つなんかで 照れさせることはできないはずだ
水
青
突然訪れた静寂
き、気まずい…
ザーッ
雨音だけが反響する
少し雨が弱まってきたように思える
青
水
ぎこちなく会話をする
いつまでもしゃがんでいると 足が痛いので、立ち上がった
青組
二人で並んで雨宿りする
さっきまでの気まずさが 嘘のようだ
まるで無言でも心が 通じ合っているようだ
水
無意識に小声でそう発していた
青
水
何故か思っていることを 口に出してしまった
幸い雨の音でいふくんは 聞き取れなかったようなので 必死に誤魔化す
青
水
青
水
内心ほっとする
バレなくて本当に良かった
友達、ましてや男に 好意を抱かれるなんて 嫌に決まっている
きっとこの気持ちはずっと 胸にしまったままなのだろう
少し悲しいが、好きな人と 一緒にいられる方が大事だ
水
青
空はまだまだ暗いが、 やっと雨が止んだ
これで帰れる、という嬉しさと
もう一緒に居られないという 悲しさが入り混じる
青
水
名残惜しくなりながらも 重い足を進める
青組
あぁ、これで二人きりの時間は 終わってしまうんだ
夢のような時間だった
今度二人で一緒に帰れるのは 一体いつになるだろうか
もしかしたら1年以上後かもしれない
それほどにほとんどないことなのだ
青
水
青
水
俺も、好き…?
その言葉が脳を反復する
理解が追いつかない
都合よく解釈すると 両想いということになる
けど、それはただの 早とちりではないか、 と疑ってしまう
と、そんなことを考えている時に 大事なことに気づいた
水
「俺も」、ということは 僕のさっきの発言が 聞こえていたということになる
青
青
青
水
どうやら誤魔化したのが 逆効果だったようだ
水
青
まさか両想いだったなんて
嬉しすぎておかしくなりそうだ
水
青
水
青
水
水
青
告白が成功した喜びで 思いっきりいふくんに抱きつく
これでやっと、 念願の恋人になれたんだ
嬉しく嬉しくて、涙が出そうだ
水
青
それ以来、僕らは毎日 二人で帰るようになった
夢のような時間は 今日一日限りでなく、 毎日へと変わったのだった───