烏野との練習試合終わりの片付けの時間

僕はもうバレーに関わりたくなかった

もう二度とできないのはわかっているから

けど、マネージャーとしてこの場にいて

バレーを見る楽しさがわかった

大切な人が増えた

愛する人ができた

僕は心からこう言える

満面の笑顔で〇〇は言った

その笑顔を見て俺は

ドキッと胸が鳴った

俺は〇〇に恋したんだな

そう思った

なにも言えなかった

その場の空気が一気に凍った

〇〇が歩き出す

〇〇が足を絡ませ転ける

また会えたらいいな

そんな想いを込めてそう言った

僕はまたねが言えない

また会える自信がないから

こんな体だから

言えない

言える体になったら絶対に

またね

って言うからね

痛い

痛い

痛い

どうしよう

痛すぎて立てない

〇〇がうずくまる

なにも考えられない

胸が痛い

返答もできない

薬飲まないと

けど動けない

レンが〇〇のカバンから薬箱を取り出す

〇〇が薬を飲んだ

しばらくて僕の胸の痛みは消えた

お姉ちゃんが嫌な顔をしたのがわかった

お姉ちゃんはこの事について言いたくないのだろう

いつまで言えないの？

苦しい

辛い

久しぶりに自覚した

僕は変われたんだ

生きる為に変われたんだ

僕はずっと苦しくて辛かったんだ

通院治療も辛い

けど

僕が辛く苦しく感じているのは

がんを患ってしまったからだ

心の奥底で死ぬ事を拒んだ

それが今蓋が開いて僕自身で

自覚したんだ